婚期を逃した私は、ハーレムの主人公っぽい生徒に求婚されたんですが
なんとなく、出先でぽんと思い付いて書いてみました。
ハーレムものではないです。
純愛かな?
では、どうぞ(  ̄ー ̄)ノ
「島田由梨絵さん、俺と結婚してください。」
卒業式の日に、校舎裏で私は告白・・・を飛び越して求婚されていた。
求婚している彼は、この学校で一番のイケメンで何人か女子生徒を囲っているハーレムの主の草壁奏太。
爽やかイケメンタイプの彼は今日、この学校を卒業した。
そして、本日の卒業式の後で彼が誰か想い人に告白するだろうと、ハーレムの女子生徒達は期待していたことだろう。
だが、告白・・・いや、求婚されたのはハーレムメンバーでもなければ、彼を好いているわけでもない、どこまでも平凡な私。
しかも・・・
「えっと・・・草壁くん。一応、私は君の担任だったんだけど・・・」
「はい。だから、今日卒業したので、プロポーズしました。これで生徒と教師の禁断の愛とか言われませんよね?」
いや、関係性はそうでも、元教え子に手を出したと言われそうなんだけど・・・
私は草壁くんのクラスで担任をしていた。
名前は島田由梨絵。
職業は数学教師の、婚期をのがした42歳(独身)だ。
別段容姿がいいわけでも、お金があるわけでもなく、なんだかんだで恋愛に興味を持てずにいたら気がつけばアラフォーどころか、あと数年でアラフィフまっしぐらな年齢になってしまい、だからと言って周りからの圧力に負けて適当な人と結婚するのもあれなので、仕事に生きようと思っていたのだが・・・
「えっと・・・草壁くんの周りには沢山可愛い若い女の子いるよね?なにもこんなおばさんにプロポーズしなくても・・・」
「いや、由梨絵さんじゃなきゃダメだ!俺には由梨絵さん以外は考えられない!」
ふざけているわけでもなく、草壁くんは真面目な表情でこちらをみていた。
しかも、いつの間にかファーストネーム呼びされてるし・・・
そもそも・・・
「草壁くんは私なんかのどこが好きなわけ?もっといい女の子は沢山いるよ。」
「いえ、あなた以上の人はいません。覚えてますか?昔あなたがひき逃げされて重体だった男の子を助けたことを。」
「あー、そんなこともあったね。・・・ん?なんで君がそれを知ってるの?」
あの時は運が悪くてほとんど人気のない場所だったから、引いた運転手はさっさか逃げたらしく、近くにいた私一人がなんとか救急車を呼び、まだ意識のある男の子を励ましてたんだっけ・・・
そのあとに病院まで付き合ってから、親御さんが来たあたりで一命をとりとめたらしく、私は警察に事情説明をしてからさっさか帰ったのであれから男の子には会えてない。
だから、これを知ってる人はそんなに多くないはずだけど・・・
不思議そうな私に草壁くんはくすりと笑ってから言った。
「簡単ですよ。その男の子が俺ですから。」
「は・・・?」
「あなたに助けて貰ったことは今でも心に残ってます。訳がわからなくて、ただ意識を保つのもやっとな俺に優しく、真っ直ぐに語りかけてくれたあなたの姿・・・ずっとお礼を言いたくて、探していたんですよ。そしたら、ここで教師をしていると知ったから急いで志望校を変えてここに来たんです。」
あまりの内容に私の頭は理解が追い付かなかった。
あの男の子が草壁くん・・・?
「ここで再会してからも、機会をみてお礼を言おうとしたんですけど、覚えてないみたいだし、仕方なく少しずつ仲良くなろうと近づいたら・・・見事に惚れてしまいまして。」
「は、え?」
「だって、由梨絵さん優し過ぎるんですよ。俺って女性からは頼られることが多いからあんなに優しく頼らせてくれたの初めてだし・・・しかも、由梨絵さんは結婚どころか彼氏すらいないときたら、俺もそりゃ陥落しますよ。」
「えっと・・・私は大人として当然のことをしたんだけど・・・」
そう、決して草壁くんを特別扱いしてはいない。
ただ、他の生徒と同じように困ってたら大人として導いてあげただけだ。
だから惚れられるようなことはないと思うけど・・・
しかし、そんな私の言葉に草壁くんは首を縦にふって言った。
「それはわかってます。教師として向き合ってくれていたのは。でも、由梨絵さんの本質は変わらないでしょ?俺はそんな由梨絵さんが好きなんですよ。」
「あ、え、あ、ありがとう・・・?」
真っ直ぐにこちらを見つめるイケメン(年下)に私の頬は自然と赤くなる。
しかし、私は簡単には頷けない。
告白どころか、求婚されたのは初めてで嬉しいが、彼の人生をこんなおばさんに捧げさせるのはもったいない。
「で、でもね。私は年齢がもうあれだから、ご両親も反対されるでしょ?」
「それは大丈夫です。母と父も喜んでくれます。何せ俺の気持ちは家族に伝えてありますし、両親からも由梨絵さんの人柄を好ましく思ってますから」
「そ、そう・・・で、でも、ほら、私って容姿はよくないから・・・」
「そんなことないですよ。確かに世間一般の美形には当てはまらないでしょうが・・・十分魅力的ですよ。」
「で、でも他の女の子達が・・・」
「みんな友達ですよ。確かに告白されたこともありますが・・・同年代は俺の守備範囲外です。」
「じ、じゃあ、私とは遊びにして、他の女の子とでも・・・」
「あり得ません。あ、ちなみに俺と結婚したら浮気なんてしませんし、させませんよ?最近知ったんですが俺は独占欲が強いらしくてですね。そんなことになったら・・・監禁してしまうかもしれません。」
「え、えっと、あとは・・・」
「由梨絵さん。」
なおも逃げようとする私に草壁くんは距離を縮めてから真っ直ぐに私をみた。
「俺はいい返事しか聞く気はありませんよ?結婚できる年齢に俺はなりましたし、由梨絵さんにはこれにサインを絶対もらいますから。」
そう言ってどこからか取り出したのは「婚姻届」と書かれた一枚の紙。
そこには、草壁くんの欄はすでに埋まっており、あとは私のところだけだった。
「由梨絵さん。それとも俺のこと嫌いですか?」
躊躇っている私に草壁くんは悲しげな表情をしてみつめてきた。
「そ、そんなことないよ!草壁くんのことはむしろ好きだし・・・」
「じゃあ、問題ないですね。では、サインを。」
慌てて否定すると草壁くんはけろりとして婚姻届をなおもこちらに出してきた。
そんな彼に私は頭をおさえて言った。
「・・・後悔してもしらないわよ?」
「むしろ、俺に愛されすぎて由梨絵さんは後悔するかもしれませんね。」
「そうね・・・はぁ・・・草壁くん。本当に私だけを愛せると誓える?」
「無論です。」
「本当に私でいいんだね?」
「むしろ、それ以外に選択肢はないです。」
「私・・・重いかもしれないよ?気持ち的な問題で。」
「俺も重いので丁度いいですよ。二人でイチャイチャしたいです。」
「じゃあ、最後に・・・私のこと好き?」
「大好きです。愛してますよ。由梨絵さんはどうですか?」
その質問に私は少し考えてから言った。
「多分、好きかな・・・?真っ直ぐにプロポーズされたどころかまともに彼氏もいなかったから特にね。」
「では、俺が由梨絵さんの初めてを貰えるのですね。」
「妙な言い方しないでよ。」
「事実ですから。それで返事は?」
「そうね・・・」
分かりきっているだろうに草壁くんは私をみて聞いてきた。
ここまで言わせておいて、返事など一つしかない。
私は婚姻届を草壁くんからもらうと、必要欄を埋めていく。
すべて埋めてから、私はそれを彼に渡して言った。
「それを今から届けにいきましょう。草壁くん私と結婚しましょう。後戻りはできないからね?」
婚姻届を受け取った草壁くんは笑顔で言った。
「もちろんです。大切に・・・いえ、幸せにしますよ。由梨絵さん。」
そうして、その日のうちに市役所に婚姻届を届けて私は草壁くんと結婚した。
私の名前が「草壁由梨絵」になったのと、彼のご両親にえらい歓迎されたのと、その日のうちに彼に激しく求められてそれから間もなくして妊娠したりしたが、どれもが幸せだった。
後にハーレムメンバーが私の存在を知り、過激な子が私に手を出そうとして草壁くん・・・いえ、奏太に返り討ちにされたりはしたけど、そのあとに私は高齢出産にあたるはずなのに、5人の子供を産んで、年々落ちていく体力で、若い彼の無尽蔵な性欲を受け入れてヤバイときもあったけど・・・晩年まで仲良く夫婦として過ごせた。
宣言通り、彼は浮気をしなかったし、私もできない・・・というよりする気もなかったので、彼に合わせて根性で長生きして・・・奏太と一緒にお墓に入れた。
最後の瞬間まで一緒にいれて、私は彼と結婚できて本当に幸せだと思えた。
あの日の選択で・・・私は幸せになれた。
お読みいただきありがとうございます。
今回はいきおくれの女教師とハーレムイケメン年下くんの話でした。
なんとなく、アニメをみていて、いきおくれの女教師の恋愛を書いてみたくなりまして・・・
ヒーローさんは若干ヤンデレ気味です(笑)
主人公の由梨絵さんは・・・描写はしてませんが、メンヘラorヤンデレ予備軍だったり・・・
ではではm(__)m