第9話 扉の鍵その4
9−4 扉の鍵その4
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
長針と短針が時計を真っ二つにしていた。
もう6時か…
「遅いな、そろそろ来る頃かと思うんだが」
「お客さん?」
「あぁ、なんかあったら連絡するように言ってはあるんだが、万が一ってこともな」
一体誰なんだよ、そのお客さんって。
「少しそこらを見てくる。迷ってるかもしれん」
「気をつけてよ、暗いから」
「おう」
玄関に歩いていくじいちゃんにおでん温めておこうか?と問うと、手を振って合図を見せた。
すぐ戻る…と。
「なんか、独りになるの久しぶりだな…」
扉の鍵のことを知ってから数週間、いつも頭のどこかにそのことがこびりついていた。
扉を開く、鍵たる能力。
それが一体どんなものなのか。
ふと、思い出した。
真妃瑠さんの友人が、能力者狩りにあったと。
確か、初めて会った日真妃瑠さんが言っていた。
能力者達を襲う能力者…
何故、そんなことをするのだろう?
それは、扉を先に開かせないため。
そう聞いた。
本当に、そんなことなのか?
暗くなった部屋に電気を点けながら、更に考える。
彼らは、なんらかの手段で扉の存在を知った…何故?
僕が初めて能力を宿した時、僕はなにがなんだかわからないままで、呆然とするしかなかった。
じいちゃんと真妃瑠さんにあの話をされて、扉のことを知った。
扉のことを知っているならば、当然その扉の開き方にも思考は至るだろう。
それに加えて、丸尾君が言っていた別の目的。
開いたものの願いを叶える、なんてものは噂に過ぎない…
扉と鍵の正体。
僕は今、恐ろしい推測をしている。
もし、敵が扉と鍵の関係について知っているのだとしたら…
ピンポーン。
突然のインターホンに、はっと我に帰る。
考え過ぎかな…
サンダルに足を突っ込み戸を開ける。
「はーい…?」
「遅くなってごめんなさ…え?」
僕は面を食らった。
鳩が豆鉄砲を食らったというような、そんな顔だ。
それはむこうも同じに見える。
「ま、真未ちゃん…?」
「ゆ、ユズ君‼︎」
「どうしてここに…!」
「ここにって、おじいさんから聞いてないの?」
「お客さん…のことか?そりゃ聞いてたけど、まさか真未ちゃんだなんて」
思わなかった。
「お客さんって…私、今日からまたここにお世話になるって、聞いてないの⁉︎」
キュ~…
もう、なんだか、アタマが痛い。
「とりあえず…おでん…食べる?」
「あ……うん」
あのクソジジイ、早く帰ってこい。
約3ヶ月の更新停止…申し訳ありませんでした…
次回からまた続けていけたらと思います。
次回に続きます




