第8話 降臨その1
8−1 降臨その1
「えっとぉー…これはですね…」
「見ての通り、鬼ごっこだけど?」
これを見て鬼ごっこに見えるかと問えば万人が首を横に振るだろうに…。
「鬼…ごっこ。へぇ…ところであなたは?」
「クララ・シュリュッセル。名乗らずに名前を問うのは無礼でなくって?」
「これは失礼。この学校の生徒会長、兼風紀委員、兼学級委員の氷室麗華です」
なんと丁寧で皮肉さを帯びた自己紹介だ…
てか麗華さん仕事しすぎだろう。
「その学級委員さんが、私に何に用で?」
「あなたに用はないわ。あなたの知っている扉についての情報だけ」
「ち、ちょっと麗華さん⁉︎」
「あら、これは驚いた。この学校に既に2人も能力者?お二人はお顔見知りのようですし」
「顔見知り“程度“じゃないわ。それに、なんの為に鬼ごっこなんか?」
今度はこちらに顔を向けて聞いた。
「彼女の条件なんです、鬼ごっこに勝てば教えてくれると…」
「あなた、本当にそれが条件なの?」
「クララよ。そう、鬼ごっこに勝って私に力を示してくれれば話してあげる」
「どうして鬼ごっこなの?この雨の中、私にはわからない」
俺にもわからない…
「別にいいじゃない。私の勝手でしょ」
「いいえ、協力が必要なのはあなたもでしょう?」
「なぜ?」
「敵は扉と能力者を狙ってる。私達は共通の敵を持つ仲間よ?」
その通りだ。
正直、この行いになんの意味があるのか…
「あなたたちの力をみたいの。みせてくださる?」
「そ。わかった。じゃあ柚月君がんばって」
「え」
そそくさと麗華さんは踵を返す。
「鬼が2人になる訳にはいかないでしょ。それに、私は濡れるの嫌だから」
ちぇっ!!
もっともクララの方は鬼2人でも構わなくってよ?みたいな顔してツンとしてるけど。
「仕方ない…続き…」
始めようと思ったところで、土砂降りとスコールが体を襲ってきた。
「うぉ!」
落ちる雨粒が泥を弾き、ドス黒い雨雲からは雷鳴が轟く。
あまりの激しさに
「続き…やるの?」
「え…ええ」
自分で言った手前後には引けなさそうだな、彼女。
「まじかよ……うわっ!!」
「きゃっ!」
視界を眩い光が埋め尽くす。
それとほぼ同時に、轟音が目の前に響いた。
「えっ…ゆ…づき?」
目の前の光景を、クララは信じられなかった。
更新が遅れて申し訳ありません。
次回に続きます。




