表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジェリック・マジシャン  作者: べべ
幻魔の扉編
23/35

第7話 幻魔の扉その2

今回は更新が遅れてしまい申し訳ありません。

話し自体の用意は出来ているのですが、更新する余裕がありませんでした。

詳しいことは活動報告にてお知らせさせていただきます。

7–2 幻魔の扉その2


「まず、最初に扉の在りかについてだがな」

「ええ」

「扉は今、この町にある」

なんだって…?

「本当かよ、じいちゃん⁉︎」

「え?知らなかったの?柚月くん」

麗華さん達はシレッとしている。

どうやら周知の事実だったようだ。

「この町に扉があるから例の犯人は能力者狩りを始めたわけだろう?自分以外の能力者に先を越されないためにな」

た、たしかに。

「じゃ、じゃあこちらの圧倒的有利な状況じゃないか!扉を奴の手から守るだけで済むし、うまくやれば利用することだって…」

「〝守るだけ〟ね…」

真妃瑠さんが静かに呟いた。

「果たしてそう簡単なものかしら。むしろ扉の保持を悟られれば全力でこちらを消しに来るでしょうね」


「俺もそう思う。それにおそらく敵は複数だろう。原則能力は一人につき一つだけ。失踪事件の犯人と、真未を能力者にした人間は別人の可能性が高い」

「けど、奴らは知り得ない情報を持っているのは大きなアドバンテージね。扉の座標。それが私達の最大のカード」


「どこなんだ?じいさん。扉の座標は」


「先日、シュリュッセル家がこの町に入ったという連絡があった」

「シュリュッセル家?」

「ああ、現在扉を保持している一族だ」

「なんだって…⁉︎」

「じいさん、あんた一体どんな繋がりを持ってんだ?」

「なに、シュリュッセル・ヴァルド…昔共に盃を交わした仲じゃよ」

何者なんだ…俺のじいちゃんは…

「今は彼の孫娘が当主と聞いている。かつての彼の付き人が連絡を寄越してくれた」

「そうですか…一度会った方がいいのでは?」

「そう思ったのだが…肝心な彼の孫娘と連絡がつかない。この町のどこにいるかもまだわからん」

「法之さん、シュリュッセル家…と言いましたよね」

「うむ、それがどうかしたか?」

「つい先日、うちの学校に転校生が来まして。彼女の姓も〝シュリュッセル〟でした」

転校生…?

それってまさか…

「なるほど。彼女で間違いなさそうだ」

「明日、柚月くんと二人で彼女に会ってみたいと思います」

同じクラス、だとはな。

「わかった、頼んだぞ二人とも」

「わかりました、大丈夫よね?」

「はい、きっと彼女は俺と同じクラスですから」

「ふふ、知ってるわよそんなこと」

「え?どうして?」

「私は〝生徒会長〟よ?甘くみないでよね」

フフン、と鼻を鳴らす麗華さんは誇らしげに言った。

明日、彼女は学校に来るのだろうか…







昨日はよく眠れなかった。

扉の事を考えていたからだ。

冷静に考えれば、突拍子もなく馬鹿げてる話だ。

開けば願いが叶う?そんなもの、あるはずない。

しかし、魔法という概念を身をもって知った以上、納得するほかないのかもしれない。


ここのところあまりよく寝れていないな。

そんなことを思いながら、朝の席に着いた。

「うん、やっぱりじいちゃんの卵焼きは最高だね」

「流石に飽きるだろ?もう何年も食べてるんだ」

「飽きないね。唯一無二だよ」

「ありがとな、その卵焼きは元々ばあさんのものでな」

「そうなんだ。羨ましいね」

「なにがだ?」

「若い頃から、食べてたなんて」

「ふふ、まぁな」

じいちゃんとばあちゃんは、それはそれは仲睦まじいおしどり夫婦だったそうだ。

俺の記憶の中の2人も、幸せそうに写っている。

「それじゃ、行ってきます」

「おう、彼女のことよろしくな」

「わかった」



雨の朝。

どんよりとした雲が大地を圧迫している。

「よーし、出席をとるぞー」

今日は月曜。

週が明け、再び学業の日々というわけだ。

俺の後ろには、未だ無人の綺麗な机が置かれていた。

「ん?彼女は今日も休みか?」

担任の西田が俺の方をみる。

「みたい…ですが」

「そうか、まぁいい。あとで確認を取っておくか」


「失礼します」

その時、教室の前の扉が音を立てて開いた。

流れ込む新しい風。

「遅れて申し訳ありません」

長くたなびくブロンドの髪。

見惚れるほど透き通った白い肌。

「通学路に慣れていなくって…ごめんなさい」

「そうか。わかった、席についてくれ」

背は、さほど高くない。

大きな青い瞳が、こちらを見つめながら近づいてくる。

まるで高貴な人形のように、綺麗な雰囲気だ。

お嬢様のオーラといってもいい。

「ごきげんよう、あなたは初顔合わせね」

まさか声をかけられるとは思ってなかったのでびっくりした。

「あなたもテンコーセー?」

「いや、俺は怪我で休んでて。君がクララさん?」

「あら、名前をご存知で?ええ、よろしくね」

ビンゴだ。

彼女が、幻魔の扉を保持している。

「ああ、よろしく」



組成式も、平方完成も、現在完了形も、ラ行変格活用も、全て完璧だった。

高校の授業なんて、正直退屈だ。

体育はちょっとばかし疲れるけど。

「なぁ、クララさん」

「クララでいいわ。私も柚月と呼ぶので」

「クララ、後で話したい事があるんだけど」

「話?ナンパというものですか?それは」

「…ごめん、違う」

外国人のノリは、よくわからない。

「扉…って言えばわかると思う」

その言葉を聞いた途端彼女の目つきが変わった。

「扉…ねぇ。法之おじ様に聞いたのね?」

「じいちゃんを知ってるんだね。その通りだよ」

「わかった、放課後に校庭に来てくれる?」

「校庭?雨だよ?」

「だからよ。言ったから」

それだけ告げると、彼女は教室を出て行った。


「あら?ユズちゃん帰っちゃうの⁉︎私さみしい!」

亮平の不気味な声が聞こえるが、適当にあしらう。

こんな雨でも、サッカー部は室内トレーニングがあるらしい。

麗華さんに報告しておくか、一応。

雨は静かに窓を叩いている。

なんだか心を曇らせる天気だ。

ノートをカバンに入れると、湿気を帯びた床を意識しながら俺は教室を出た。

次回に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ