表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジェリック・マジシャン  作者: べべ
不死身の少女編
19/35

第6話 アフターケアは丁重にその3

6-3 アフターケアは丁重にその3


家に帰ってきても、特にすることはない。

学生というものは、学校が無ければ暇な平日を過ごすものだ。

「昼飯…つくらないとな…」

なんとなく、病院に向かったところ辺りから足元がフラつく。体もだるい。

そのときだった。

「っ…うう」

足を引っ掛けてしまい、体制を崩した。

鈍い痛みが頭をよぎる。

そのせいで、自分が寄りかかっているものがなんなのか気づくのに約8秒を要した。

「…ん?…ん!」

あろうことか、俺は彼女に抱きつくような形で寄りかかっていたのだ。

ボクシングのクリンチの様に、腰を曲げてうなじに頬を当て腕で首をホールドしていた。

「あ…⁉︎」

やばい。

また鎖骨を折られるかと覚悟した。

しかし。

「…///」

彼女は薄っすら顔を赤らめるだけで、怒っている様には見えない。

と思ったら、今度は俺の意識が薄れていき……





おい、なぁ!

待ってくれよ!

俺を、置いていかないでくれよ!

「マミさん!!」

「⁉︎」

びっくりした。

どうやら寝言みたい。

ユズキさんは、家に帰るなりあたしに抱きついてきた。

わけではなく、急に意識を失って倒れてしまった。

額を触ると、ものすごい高熱だった。

あたしの手が冷たいのもあるんだけど…

とりあえず、二階に運んで(あたしの力なら容易い)ベッドで休ませてあげた。

「マミ…って言ってた…」

いったい誰なんだろうか…?

「んん…?」

「あっ…気がつきました?」

「ああ…運んでくれた…ありがとうね」

「まだ起きちゃダメだよ。すごい熱だよ?」

「え?ああ。そうか…ごめんなさい、迷惑かけて」

「ううん、大丈夫…です」

なんだか、敬語が所々混ざっておかしな会話になっている。

「…」

「…」

すごく微妙な空気だ…気まずい…

どうしてかな?

「あ、あの。ユズキさん」

「えぇっ?ユズキさん⁉︎」

「えっ!ごめんなさい」

「え?ごめんなさい?」

「…」

「『あのっ!』」

「…」

「ど、どうぞ」

「いや、そっちこそどうぞ…」

き、気まずい。

「なにか欲しいものとかある?買ってくるよ」

「あ、じゃあ…りんご。冷蔵庫にあるから」

「皮は?」

「そのままでいいよ、ありがとう」


正直、りんごの皮剥きは自信があった。

見せつけてやりたかったけど、我慢しながらりんごを切った。

「はい、どうぞ」

「おお!ありがとう!」

シャクッと美味しそうにりんごを頬張る彼。

なんか、かわいいな。

「ユズキさん…」

「ユズ。でいいよ。どうせこれから同じ家に住むんだし。敬語とか、毎日顔合わせるのに気疲れするよ」

「ユズ…君?でいいかな」

「うん、まぁ」

「ユズ君、歳いくつなの?」

「16だよ」

「そうなんだ!あたしの方が年上だー!」

…!なん…だと…?

「え?」

「あたし、こう見えても18だもん!そんなに幼く見える?」

はい、見えます。

「い、いやぁ。見える…いや、見えないこともない…です」

「あはは!年下だと思ってたんでしょー。いいよ、タメで」

「じゃあ、なんて呼んだらいいかな?」

…!

そう、名前。

あたしには名前がない。

正確には、本当の名前を思い出せない。

「あ…ごめん。名前、わからないんだったっけ…」

ユズ君は、申し訳なさそうにしてる。

「あたしね。思い出したんだ、名前」

「え⁉︎本当に⁉︎」

「うん、今さっき」

「なんて名前なの?」

そう、あたしの名前はね。

あたしは…

「真未っていうの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ