第4話 彼岸花その3
4–3 彼岸花その3
ただいま、午後1時30分
アホみたいに早く時間が過ぎた。
何故かといえば、麗華さんが途中3回も自販機でコンポタを買い、途中迷子の子供を交番に案内し、雨が降ってきたためカフェに雨宿り。
「早いけど、昼食にしましょ」
なんて麗華さんが言うので特に進展もないままこの一日は午後へと突入した。
「雨、上がりましたね」
「ええ、そろそろ行きましょうか」
やっとこさ着いた事務所前の通り。
住宅街の外れ、近くには川があって、そこを辿って四百メートルほど歩くと古く寂れたスーパーマーケットがある。
と言ってもただの空きになり新たな店が入ることなく約2年半が過ぎただけの建物だ。
ここら辺は近々、区画整理で大幅な工事が行われるらしい。
あの少女がロッカーに隠れていた理由はわからないが、ずっといた訳ではないだろう。
なので怪しげな場所を洗っていこうということになったのだった。
「ここね」
「はい、けどやはり正面は閉まってますね」
中がガラス越しにみえる。
ガランとしていて、灰色のコンクリートが剥き出しになっていた。
「おそらく、裏口の職員用出入り口の方ね。野菜とかが運ばれてきたところ」
右の細道を歩き、トイレの手前には開きっぱなしのシャッター。
そこから先へと職員用出入り口が続いていた。
「これは…いきなり当たりかも」
「何故です?」
「雨風の影響を受けるシャッター付近は比較的少ないけど、四隅にはホコリやら落ち葉が溜まってる。それに比べて中に続く扉の辺りには蜘蛛の巣やホコリが一切見当たらない。つい最近人の通りがあった、ってことね」
「なるほど…」
さっきのコンポタ変態はどこへやら…
「先を急ぎましょう」
「はい!」
中は少し日光が差し込むため、そこまで真っ暗ではない。
「私が二階を探すわ。柚月くんはここをお願い」
「でも、離れるのは危険じゃありませんか?」
この広い建物の中で、二手に分かれるべきか否か。
「確かに、そうね。一緒に行動したほうがいいわね」
二人で建物の奥へと向かう。
そして、ちょうど日が当たらない暗い角。
ところどころコンクリートが崩れている場所の中に、何かが見えた。
「待って。何かいるわ」
咄嗟に電気を纏い、臨戦態勢に入る。
「まず私が行く、柚月くんは後ろをお願い!」
そう言うと、麗華さんは返事も聞かずに飛び出した。
「麗華さん!!」
目視した、昨日の少女だ。
「…ぁ…」
今気づいたらしい少女は、ゆっくりとこちらを振り向いた。
距離が近づくにつれて、麗華さんが氷の甲冑を身に纏う。
「遅いッ!」
完全に振り向いた時、麗華さんのレイピアの先が、少女の喉を狙い据えていた。




