表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジェリック・マジシャン  作者: べべ
不死身の少女編
11/35

第4話 彼岸花その2

4–2 彼岸花その2


「あのさぁ…」

麗華さんは呆れた目をしながら言った。

「普通2日連続遅れてくるかなぁ?確かに私はすこし早いかなって思ったけど、時間を言ったのは柚月くんのだよね」

面目申し分無い…

俺は勘違いをしていた。

目の前にいるのはあの生徒会長なのだ。

あの凍てつくような目をしていた生徒会長…

女子という何よりも待たされることを嫌う生き物に一番やってはいけない愚行をやらかしてしまった。

「き い て る ⁉︎」

「あぁっ⁉︎ごめんなさい…これでどうか…」

俺は二つ買ったコンポタの内一つを生徒会長様に献上した。

「え…コンポタ…くれるの?」

「ええ、遅れてしまった代わり…で…だめすか?」

まだ暖かい缶を手で渡すと、彼女は黙りこくり俯いた。

「うぅぅぅ…」

な、なんだ。

唸りだしたぞ。


「コンポタァァァ///やったぁぁぁ…本当にくれるの⁉︎愛しのコンポタァァァ///」

………


えっ。


「ちょ、麗華さん?」

俺のことなどアウトオブ眼中でコンポタへ恍惚の目を向けている。

「うぅぅぅ///ふふふ」

コンポタに頬ずりしてる…

え、なにこのコンポタに対する反応。

普通じゃない…よな。

いや、亮平もこんな反応だったような…

「気に入ってもらえたみたいで…よかったです」

「うんっ!ありがとう!!」

まてまてまてまて

おかしい、おかしいぞ。

普通じゃないって。

どんだけコンポタ好きなのこの人。

普段とのギャップが…

まぁ…普段が冷静というか、あまり感情を出さないだけなのかも…?


「じゃあ…行こうか、柚月くん」

「はい!……ん?」

どこに?

麗華さんはコンポタをシャカシャカ振りながら真っ直ぐ歩いている。

「あの、麗華さん?どこへ行くつもりですか?」

「どこって…例の少女の場所でしょ?柚月が案内してくれるんじゃないの?」

ええっ⁉︎

普通案内する人の前歩くか⁉︎

てか知らねーよ場所!

「うーんと、取り敢えずもう一回事務所に行ってみましょうか」

「わかったわ。行きましょ」

この人…だ、大丈夫かなぁ…

初めて麗華さんに不安を感じた…


でも、逆に少し嬉しかった。

麗華さんの、隠れていた部分を垣間見ることができた気がする。

少し優越に浸ってしまった自分を戒めつつも、方向性の定まらない妙な探訪が始まった。

「曇りですね、今日は」

「そうね。まだ少し肌寒い」

白を基調とした春らしい格好の彼女。

スカートでなくパンツだったが、それもまた似合っていてなんだか大人っぽくみえた。

「今日、何か予定はあります?」

「うーん、特にないかな。今日は1日かけて能力者を探すと思っていたし…違うの?」

「いえ!そうです。行きましょう」

本当は、今でも少し夢見心地な気分だった。

自分がアニメや漫画のような能力者になって戦う。

そんな空想物語がこんなにも身近で起こるだなんて。

僕はそういった類のものは好きじゃない。

けど自分が持ってしまったからには、できるだけ誰かのため、正義のために使いたいと思った。


本物の正義なんて、全然しらないのだけれど。


「なんか、いいね」

「何がです?」

「こうやって町を歩くの。ほら、自分の住んでる町でも、あまりしっかり歩き回ることってないじゃない?」

「そうですね、通学路くらいで」

「だから、こうやって町を歩くのって、なんだか小さい頃みたいで楽しい」

小さい頃か…

彼女は、この町が好きなんだろう。



四月の曇り。

この曇天の空のように、どこか僕の心は曇ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ