序
初めまして。作者です。
これからじわじわ書いていこうと思います。
どうぞよろしくお願いします。
男は立っていた。
白い絵の具をぶち撒けたような、ただひたすらに真っ白な空間に。
物は何一つ無く、何処までも白、白、白。
俺は何故こんなところに…?
こんなわけのわからない場所にいる理由を求めて記憶を辿ろうとするが
ーー何も思い出せない。
男は気付いた。何も思い出せないのだ。
ここの場所に関することだけでなく全て。
自分が誰なのか、何処に住んでいるのか、家族は、友達は…『いやぁ!よく来たねぇ!』
何もない空間に突如響いた声に男は振り返る。
黒。それだけがあった。
人の形をしているがその全てが黒。この白い空間でその人型だけが妙に浮いて見えた。
「…誰なんだお前は。ここは何処だ」
『ボクは…そうだねぇ、ラスト。ラストと呼んでくれ』
幾人もの声を混ぜ合わせたようなぼかしたような声でラストと名乗る人型。
「名前はいい。それでここは何処なんだ」
ラストはケラケラと笑った。
『ひどいなぁ。君が名前を聞いたんじゃないか…そんな怖い目で見ないでおくれよ。此処がどこなのか、だったね。ーーここは全ての終わりの場所であり始まりの場所、そういうところさ』
人型、ラストと名乗る黒はニタァと笑った。