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須磨創一 2
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須磨創一、否、須磨殿は私の家で働くこととなった。表向きだけの使用人だが、それでも一日中何をするでもなく私の部屋に居ては、彼の素性が疑われるだろう。というか、この髪形を何とかしなければならない。もひかんと言う、この珍妙な髪形を。
「須磨殿、その髪型、何とかできぬのか?」
須磨殿は頭に手をやる。これですか、と言う須磨殿を見ながら、心の中でまで殿をつけているとどうにもやりにくいと思う。……では心の中では呼び捨てにさせてもらおう。創一、と。
「この髪を下せばまあなんとか……」
「では、下してください」
「水があるといいのですが」
水ならそこに井戸がある、と私が教えてやると、創一はふらっと立ち上がって部屋から出ようとした。
「待った、着替えてください!」
服装も珍妙である。
「父上のものを借りてきますから!」
「ばれやしませんか?」
「たくさん持っているから、大丈夫です」
私は急いで立ち上がる。