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最凶チート殺しの英雄迷宮  作者: 神楽 佐官
第二章 黒水晶のダンジョン編 邪神・大松清明
46/54

046 経過

 大松清明は避けきることができなかった。


 光の洪水に巻き込まれた。


 光の洪水は大松清明の身体を押し上げ、はるか彼方まで吹っ飛ばした。


 戦士Aたちは、

(この世のものではないものを見てしまった……)

 と言わんばかりの表情でアルブレヒトを見た。


 だが、アルブレヒトの攻撃はこれでは終わらなかった。


 さらに呪文を唱える。


 するとアルブレヒトの手から白い雲のようなものが飛んだ。


 そして白い雲は、ぱっと弾けた。




 衝撃波だった。




「うわっっ!!」


 踏みとどまっているのがやっとなほどの圧力がリウィアたちを襲う。


 轟音。


 圧倒的な衝撃。


 そして……。


 目の前に広がった凄惨な光景。


 ぽっかりと開いた穴。


 巨大な穴である。


 『迷宮そのもの』が破壊されていたのだ。


「…………」


 この場にいたすべての者の思考が止まった。


 アルブレヒトの魔力はあまりに強大であった。


 大松清明は間違いなく木っ端微塵になっていることだろう。


古代魔術エンシェントよ!」


 ほとんど狂乱せんばかりの勢いでエルフBが叫んだ。


「こんなの現代の魔法じゃ不可能よ! 古代魔術エンシェントよ!」


 伝説の古代王朝エンシェント


 その力は一人で一国を滅ぼすといわれいてる。


 だが、そんなのは所詮は伝説に過ぎないと思っていた。


 王子たち一行は、あまりのアルブレヒトの魔力の強大さに絶句していた。


 そしてリウィアも、

(兄の仇を討つことを忘れていた……)

 あまりにも力が違いすぎる。


「こんなの絶対に人間じゃないわ」


 呻くように言った。


「絶対に化け物よ……。悪魔だわ、こんな奴」


 人がすこしずつ集まってきた。

 『俺たち最強伝説』のメンバーたちだ。

 だが、歴戦の勇士たちも目の前に広がる非現実的な光景には息を飲むしかなかった。


「先輩! いまの爆発は……!?」


「彼のせいだよ」

 戦士Aがアルブレヒトを顎で差した。

「信じられんが、彼ひとりでやったんだ。この目で見た。プルシアの言うとおり古代魔術エンシェントの使い手かもしれん」


「じゃあ、さっきの笛も先輩が……」

「ああ、だがお前らは手を出すな。お前らが束になってかかってもこいつには勝てん。無駄に死ぬだけだから」



(これでやっと一人目……)



 アルブレヒトは目を閉じた。


 十五年間、この事だけを考えて生きてきた。


 全力だった。


 ありったけの魔力をぶつけたのだ。


 たとえ魔王だろうと肉片一つ残さずに消え去っているだろう。



「しかし、たぶん生きとるじゃろ」

 ドワーフCの発言に、皆が耳を疑った。



「あんた、本気で言ってんの……?」

 リヴィアはまじまじとドワーフCを見た。


「本当に古代王朝エンシェントの生き残りかもしれん。でも、古代魔術エンシェントと社長が戦っても社長が勝つ」


「あんたたち、本気で言っているの? 人肉食べて脳みそおかしくなったんじゃないの?」


 すると戦士AとドワーフCは呆れ顔をした。


「君は本気で言っているのか? 人間だってただの動物だよ。それで頭がおかしくことはない」


「知能が他の動物よりも高いだけで他の動物と変わらん」


「うちの社長はすごいんだ。なにしろ『神の国』から来たからな」


「『神の国』?」


「知らないのか? 古代王朝エンシェントの時代には迷宮がたくさん作られていたことを。

 この黒水晶の迷宮だって古代王朝エンシェントのものだよ。

 当時の人々は迷宮が神の国への入り口だと信じていた。

 うちの社長はその国から来たんだ」


「そんな迷信信じるなんてやっぱり頭が……」


 不意に。

 人の集まりが真っ二つに割れた。


 その表情がどれも恐怖に強張っていた。


 大松清明だった。


 全裸だった。


 傷一つない。


 驚いたのはそれだけではない。


 大松清明の両肩に乗っているもの……。



 それは、犬の首であった。

 二つの犬の首。

 イサキオスから聞いた黒水晶の邪神の姿そのものであった。

読んでいただいてありがとうございました。

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