真相究明をしたい気持ちは、誰にでもあるよね。
ふと気が付いたら、最終回が想像できないという事実。
「だからって、別室で刑事よろしくの取調べってどうだよ……」
「同感です」
「当然の権利」
「「いや、それはおかしい」」
駆柳君が待機していた部屋で、二人を席に座らせてライトを当てる。
しかし、雪華さんの学校の事情で来ているのに、当の本人がいないというのは、いったいどういうことか。
「で?二人はどういう関係なの?」
「「学校の先輩と後輩」」
「ああ、同中だったのね」
駆柳君は今一年生だから、中学生のときの話ってことだよね。
「残念、違うんだ」
大げさな身振りで言う駆柳君。
正直、イラッ、とくる。
「そもそも明銘高校の成り立ちから説明する必要があるんだが--------」
取調べの結果、私の通う明銘高校には夜の顔、『冥命考校』があり、見た目と実年齢が一致しない『化け物』である駆柳君はそっちでは参年生で、妃姫子さんは壱年生ということが分かった。
三年生ではなく、参年生。
一年生ではなく、壱年生なのがミソらしい。
が、
「それはそれとして、妃姫子さんは何で『赤い紙青い紙』なんてしてたの?」
肝心なとこはそこ。
その問いに対し妃姫子さんは、
「いやー、前は夜の校舎で人を引き摺ってたんですけどね?いや、死ぬまでなんてとんでもない!ちゃんと良い感じで止めていましたよ!で、まあ、三人目の時にですね、どうやらその人がマゾだったみたいで死ぬほど喜んでたんですよぉ。それを見たら何か引いちゃってそれっきりにしてたんですね。そしたら暇になっちゃって。だから新しいキャラ付けも兼ねてやってたんですよ」
……………。
「「軽いっ!!?」」
私と弧月君が思わずハモってしまうほど、彼女の理由は軽かった。
「て、邦恵ちゃん!そのライトは頭をカチ割るためにあるんじゃないぞ!?気持ちは分かるが落ち着けええぇぇっっ!!!!」
思わず暴走してしまった私を弧月君が後ろから羽交い絞めにする。
でも離して!
この女の頭は私がカチ割んないと!!!
そんなこんなのドタバタが終わり、妃姫子さんにもう二度と『赤い紙青い紙』をしないと誓ってもらった後、深夜の校舎内を私達は歩いていた。
「でな、雪華の親父と俺は半世紀近く前に兄弟杯を酌み交わしたんだ。で、俺のほうが年上だから俺が兄貴と」
「「いや、だからって姪と呼ぶのはおかしい」」
私と妃姫子さんは今、弧月君が雪華さんを姪と呼ぶ理由を聞いている。
杯を交わした相手の子供だからって、姪と呼ぶ?
普通?
コックリさんという時点で知ってはいたけど、この人に常識ってもんはないのかね?
あ、そもそも人じゃなかったか。
どっちにしろ、ムカつくー。
そして夜は明けてくる。
「カロロロロロロロ………………」
新たな火種とともに。
何か来ましたね。