10円玉が勝手に動くって、それだけで普通にオカルトだよね。
一ヶ月、時間が飛びます。
「いい?やるよ?」
「私はいつでも良いです~」
「どうせ、何も起きないとは思うけどね」
「「オカルトは否定するものじゃないよ(です~)」」
「あ、はい」
五月のとある日の放課後。
私たち以外の誰もいない教室の一角で、オカルト研究会所属の友達、『滝畑 美香』と『遠藤 文江』の二人からゴチャゴチャ言われる。
こんな感じで始めること、それは………、
「「「コックリさんコックリさんお出で下さい」」」
『コックリさん』。
オカ研の二人が言うには、この学校では同時に三人までなら『コックリさん』が必ず成功するとのこと。
今日はその検証がしたかったらしく、暇だった私が証明者と強制的にされたわけ。
スルスルと指が動き、指し示された言葉は、
【はい】
オカルト否定派の私としては、否定したいものだった。
「来たね…」
「何のタメもなかったです~」
「ねえ?誰が動かしたの?」
「「おい…まだ言うか…?」」
ススッ
【俺だよ、俺。コックリさん。お前等が呼んだんだろ?】
うわ!?
また勝手に指が動いた!?
ホントにコックリさん?!
でも、何だろう…。
何か、軽い……。
【いやー、しっかし女子高生三人に囲まれるって良いね!最近はぺチャパイの小中学生ばかりでさー。俺はロリに興味はねえっての】
しかも、何かエロい……。
ほら、二人も引いてるもん。
「ほら、二人ともしっかりして!愛しのコックリさんだよ!」
私は二人を励ました。
でも…、
「「いやあ、無理」」
だよね。
【お前等呪うぞ…?】
あ、コックリさんちょっと怒ってる?
よし、とりあえず訊いてみよう。
「コックリさんコックリさん、怒ってますか?」
さあ!どう反応する!?
【分かってんなら俺帰って良い?麻雀誘れてんだけどさ】
………これは相当お冠ですね。
てか、都市伝説が麻雀って…………。
「あっあの!」
【どうした美香ちゃん?】
名前分かった?!
コックリさんスゲエッ!!
ところで美香。
コックリさんに何を聞くつもりなの?
「C組の橋本君は誰が好きなんですか?!」
ああ、あのアイドルみたいにイケメンで、女子にモテモテ、一部男子からもモテモテの橋本君か。
【元総番の林だけど?】
林さん=男
橋本君=男
……………………………。
ゲイッ?!
あの爽やかイケメンの橋本君がゲイッ?!
「イヤアァァァァァァーーーーー!!!!」
ダッ!!
「ああ!?美香がショックでどこかへいくです~!」
「いいの!ほっといてあげなさい!」
10円玉から指を離し、どこかに走り去る美香。
そりゃ逃げたくもなるって。
それより、
「何で嘘吐かなかったのよ!?」
美香錯乱しちゃったじゃない!
【あー、こっちのルールで俺嘘吐けないんだわ。でも誤魔化すなり何なりすりゃ良かったな。謝る】
あれ?エロイくせにこいつ話せる?
「じゃ~私も質問です~」
【よっしゃ来い!巨乳メガネちゃん!!】
誰かこの変態黙らせて。
どうせ私は貧乳ペチャパイよ!
身長だけは165cmあるけどね!
でも、文江はいったい、何を訊く気なんだろうか?
「邦恵のストーカーは誰です~?」
………………………ん?
というわけで、最初の都市伝説は『コックリさん』です。
ちなみに、邦恵の名前には由来がありますが、友達二人は適当も良いとこという事実。