友達から何かをしてもらって理由を聞いてみたら、割とエグイ理由なことってあるよね。
学校の七不思議
どこの学校にも大概あるあれ。
ちなみに、作者はこれまで小中高専と通ってきたが、そのどこにも七不思議はなかった。
………無かったのかねぇ?
いや、ただの怪談話なら………、トイレの鏡を夜中の3時に見ると死んじゃうとか………後、(長くなるので割愛)。
「あのさあ」
「どしたよ?」
深夜、草木も眠る丑三つ時。
そんな時間に、
「なんで深夜の学校に来ないといけないわけ?」
しかも前回のも合わせて、これで二回目。
「今回は自分とこの学校だけどな」
いや、場所は関係ないんだ。
深夜に若い女の子を連れ出していることが問題なんだ。
「カハハ!産まれてからそれなりに生きているが、女の子と夜遊びして問題を起こしたことはないから安心しな」
そうじゃないし、それは最低限の保障だ。
「で?何で私を連れてきたの?」
「学校の七不思議体験ツアー!イェー!」
さあ、帰って寝なおそう。
「待て待て待て待て!娘たちに許可を取れたのが今日だけなんだ!もうこっちの世界に首を突っ込んじゃった自分のためにもマジで帰んないで!!」
駆柳君が必死に引き止めるので、とりあえず残ってあげる。
この感じだと、無理やりにでもツアーに入れられそうだし。
というか、娘さんに頭が上がらないんだね。
「さて、邦恵ちゃんの了解もとれたことだし、早速一つ目の七不思議」
「なになに?」
「校門に着いている、学校の名前が書いてある看板を見てみな」
「え?………あ、名前が変わってる」
昼の間は『都立明銘高等学校』だったのが、『徒立冥命考問学校』に変わっている。
明銘高校七不思議。
其の壱。
昼と夜とで校名が変わる。
ちなみに、どちらも『みょうめい』と読む。
そんなこんなで私と弧月君は夜の冥命高校にいる。
「じゃあ、ちゃきちゃき行くぞ~。七不思議その弐」
「待って、何で私が七不思議を知らなきゃいけないの?」
さっきからすっごく気になってたことだ。
私の問いににっこり笑った弧月君は、
「こっちの世界に首を突っ込んじゃったからには、割と深いところまで知ってもらわないと、口封じとかで殺されかねないから。浅ければ今の内にとサックリとやられて、深すぎると問題ありでバッサリやられる。それを回避するために、知っているが故に生かさざるおえない状況にするため」
割とガチで薄ら暗い理由を、あっさりそう言い放った。
「ふざけ「七不思議その弐は、必ず成功するコックリさん(同時に二組まで)だ」あれ?!何でかぶせたの?!」
くそう!
表現の自由とか、人権の侵害で訴えてやる!!
「残念ながら俺に戸籍はない。よって法の裁きも受けない」
「心読まれた?!そして何で二組まで?!」
「簡単簡単。俺はコックリさん時限定で分身が出来るけど、本体込みで三体までなんだよね」
「あれ?三体だったら同時に三組まで……?」
「一体は日常生活。残り二体でコックリさん」
「ああ」
納得した。
でもいつか訴えてやる。
「はい、七不思議その三。アレを見てー」
「ん?」
駆柳君が指差す先を見た私の目に飛び込んで来たものは、
「ん?おう、こっつん」
「よう、金ちゃん」
動く二宮金次郎の銅像だった。
「てことはその三は………」
「深夜に徘徊する金次郎像」
「徘徊ゆーな!」
まあ、確かに校内限定であれば徘徊ではないだろう。
ていうか親しげだなあ、おい。
「ところで金ちゃん」
「ん?どうした?」
「エロ本見えてるぞ?制服ものの」
「え?」
ああ、それはさっきから気になっていた。
「あ、ああ………」
「あ?」
あ、顔真っ赤だ。
「うわあああああぁぁぁぁっっ!!!!!」
「走って逃げた?!」
「金ちゃんは昔からああだったからな」
うわ!?
もうあんなに遠くにいる!!
「はい、じゃあ金ちゃんが恥ずかしさのあまり逃げ出したから四つ目いこーか」
ああ、ほっとくんだ……、金次郎………。
はい。
というわけで、今章からは都市伝説の定番、学校の七不思議です。