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剣聖将軍記 ~足利義輝、死せず~  作者: やま次郎
第五章 ~元亀争乱~
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第二十五幕 勝者と敗者 -旗、折れる-

十一月十八日。

近江国・賤ヶ岳砦


余呉一帯で行なわれている幕府軍と武田軍の戦いで、最も南に位置するのが賤ヶ岳砦である。織田軍の将・丹羽五郎左衛門尉長秀が四〇〇〇を以って砦を守備し、武田典厩信豊と真田左衛門尉信綱がこれを攻めていた。


「ここを落せば敵本陣のある木之本は目の前じゃ。勇め!勇め!」

「御屋形様の見積もりでは、織田の将は戦意が低い。退路は常に空けておけ。敵が退き始めても追ってはならんぞ」


信豊と信綱の両名は、表向き激しく砦を攻め立てつつも何処か遠慮があった。それは武田信玄が織田信長と決着が先になることを予感していたからなのかも知れない。“手向かわなければ逃がしてやる”という意思が如実に感じられた。


「舐められたものだな」


武田軍の攻撃に守将の長秀は怒気を露わにする。


長秀は織田軍の中でも目立つ方ではない。家中でも軍務では佐久間信盛や柴田勝家が上位におり、政務では筆頭家老の林秀貞や堀秀政ら信長の吏僚たちが幅を利かせている。ただ長秀は軍務でも政務でもそつなくこなし、米五郎左と称されるほど信長に重宝された武将だった。


(自分は何を任されても主の期待に応えられる)


当人の中では、その意地も自負もあった。


「絶対に砦は明け渡さん」


長秀は砦の内部から激しく鉄砲を打ち鳴らし、時には岩石や巨木を落として武田勢を一人として寄せ付けなかった。流石の織田軍は鉄砲の保有数が他家に比べて圧倒的で、丹羽隊にも相当数の鉄砲が配備されていた。


「むぅ……、これでは合戦にならんぞ」


抵抗が激しいと悟った信豊と信綱は、攻城の構えを貫きつつ戦況を主へ報せ続けることにした。兵の多寡で決定的な差がない以上、武田の兵を無駄死にさせる訳にはいかないのだ。信玄の戦いは、ここで終わりではない。


「御注進仕る!左衛門尉様に於かれましては、直ちに将軍の本陣を突かれますよう御屋形様よりご命令におざる!」


そうしている中、信綱に信玄から将軍の本陣を突けとの沙汰が伝わる。


「ここで部隊を分けろと?織田勢が突出してくるのではあるまいか」


両名の不安は丹羽勢が攻勢に転じてくることだった。織田は幕府方の中でも兵力で恵まれており、余裕がある。もし丹羽勢が方針を転換してくれば、信豊の軍勢だけでは支えきれないと思った。


「織田は動かぬ、と御屋形様は見ているのでしょう」

「その見立て、間違いないのか」

「御屋形様の下知に背く訳には参りません。典厩殿には申し訳ありませぬが……」

「よい。将軍の陣営は恐らく御屋形様の本陣を攻めることで頭がいっぱいのはずだ。もしここで儂が敗れても勝敗は動かぬが、左衛門尉が将軍の本陣を落せば勝利を得られる。それもただの勝利ではない。ここで上方での戦が終わるという大きな勝利じゃ」

「とは申しても、将軍の本陣。無警戒ではござるまい。我が手勢だけで足りるかどうか」

「千人で正面から当たるより、百人で横合から攻めた方が成果は上がる。父の教えじゃ」


と言って信豊は莞爾に笑った。


信豊の父・信繁は信玄の弟としてその覇道を見事に支えた。信繁のことを“真の武将”と呼ぶ者も少なくなく、信豊の誇りになっている。その信繁は九十九ヵ条から成る家訓を子の信豊に与え、戒めとした。もし信繁が川中島の戦いで死んでいなければ、今という現実はなかったかもしれない。


亡き信繁の言葉に、信綱も覚悟を決める。


「行け。儂も死力を尽くすが、左衛門尉こそ抜かるなよ。あの将軍の本陣は、武芸集団で固められていると聞く。一筋縄では行くまい」

「承知の上にござる。きっちりと真田の六文銭を渡して参る」


こうして真田勢が反転、義輝の陣へ向かったが義輝が細川藤孝を抑えとして残して前進したため、信綱が義輝の陣を襲うことはなかった。


また信豊は兵力差から戦闘継続を困難と判断、一時距離を置いて防戦の構えを執った。


「どうします。武田を攻めますか?」


敵の変化に家臣の一人が主へ伺った。


「いや、武田が手を出して来ないのであれば、こちらからは動かぬ」


有利な展開を目の前に長秀の表情は何処か醒めていた。


「宜しいので?」


いま一度、家臣は伺う。ここで武田の将を討ち取っておけば、目覚しい勲功となる。それを敢えて見逃す利は何なのであろうか。


「我らは長島で大きな痛手を被っておる。武田と交戦し、幕府との義理を果たした以上は無駄な戦は避けるべきだ」

「はっ。なるほど」

「それよりも藤吉郎だ。そなた、ちと岩崎山まで行って奴の尻を叩いて来い」


長秀は軽く舌打ちをしてから羽柴秀吉のいる岩崎山に視線を移した。


どちらが勝利するか未だ不鮮明であるも義輝の参戦によって、もうまもなく合戦は決着するだろう。そうした時、幕府軍の中で唯一合戦を行なっていない羽柴の軍勢は確実に問題視される。そして、それは羽柴の問題に収まらず織田の問題になる。それを長秀は懸念していた。


しかし、長秀の懸念は杞憂に終わるのだった。


=====================================


合戦が始まる当初より静けさを保っていた羽柴の陣は、今では大将の高笑い、いや馬鹿笑いで騒がしくなっていた。


「くっくっくっく……!あーっはっはっはっは!」


将軍参陣の報を聞いてからこれまで、秀吉は床机から立ち上がり馬鹿笑いを続けていた。護衛の兵の肩を叩き、時には腹心の竹中半兵衛重治に無用な悪戯を仕掛けて困らせ、酒を持ってこさせては近臣たちに“前祝い”と称して振舞っている。


「秀吉殿。もうその辺りで止めておきなされ。家臣たちが心配しております」


呆れ顔の半兵衛が水を差すように言った。


「何じゃ。半兵衛ももっと嬉しがれ!我らの勝利が決まったのだぞ!ほれ!ほれ!」


秀吉は半兵衛に近寄り酒を勧めるも、当人は首を左右に振って固辞する。面白くなさそうに秀吉は口をヘの字に曲げると不貞腐(ふてくさ)れたように自分の床机に腰を下ろした。


「儂の見立ては間違っておるか」

「いえ、我らの動き次第でこの合戦の勝敗を左右することは可能です」

「で、どっちじゃ?まさか負けた方がよいと申すのではあるまいな」


眼光鋭く、秀吉は半兵衛を見つめた。


勝っても負けても織田には次がある。戦後のことを考えれば、共倒れとは行かずとも信玄の辛勝であった方が信長にとって都合がよい。


「江北を失えば、貴殿は領民からの支持を失う。乱世の民は、常に強い領主を求めておるが故な。織田様が次なる合戦で信玄を倒し、江北を取り戻したところで貴殿が領主に返り咲くことはないぞ」


ただ土岐光秀の言葉が、秀吉の中には強く残っている。秀吉が江北の領主であり続けるには、この戦いの勝利は絶対なのだ。しかも合戦を秀吉の手で終わらせることが出来れば、その地位は不動となる。


秀吉は信長への忠義こそ篤いが、織田か羽柴かを選ぶとすれば、羽柴を選ぶ。戦国大名としての感覚を秀吉は備えつつあった。


(御屋形様の立場を優先するのならば、負けるのも一策だ。秀吉殿が槍玉に上げられるだろうが、敗れた幕府に織田を追求する力は残されていないでしょう)


また半兵衛も織田家臣として信長の行く末を優先させるかどうか悩んでいた。


(それでも私は、乱世の終焉を見てみたい)


半兵衛はそっと、自分の胸に手を当てた。


持病から自分は人より長く生きられないと思っている。残された時間がどれほどあるかは知れないが、織田と幕府が対立してしまえば確実に乱世は長引く。ここで幕府を勝たせれば、限りなく短い間かもしれないが泰平の世を見て死ぬことが出来るかもしれない。


「秀吉殿、動きましょう」


秀吉より先に、半兵衛が立ち上がる。


「軍師殿がようやく目を覚ましたか。では、参ろう」


表情をパッと明るくさせた秀吉が半兵衛に続いて立ち上がる。そして一つの下知を伝えた。


「余呉湖畔を迂回し、権現坂を通って茂山を目指す。信玄は必ずや我らの動きに動揺して軍列を乱し、味方は奮い立って敵を討ち破り、勝利をもたらすであろう!」


羽柴の陣に、初めての歓声が湧き起こった瞬間であった。


=====================================


山県昌貞を攻めている尼子義久と宇喜多忠家の間に割って入るようにして将軍・足利義輝は参戦した。戦端を開いたのは、山崎に於ける謀叛方との決戦の裏で起こった丹波の合戦で幕府方の捕虜となった稲富祐直であった。


祐直の砲術の腕前を見抜いた土岐光秀が、鉄砲隊の強化を図っていた義輝へ預けていたのだ。義輝は京に滞在した僅かな時間で祐直を呼び出し、余呉での決戦で手柄を立てたなら赦免すると約束、祐直は部下を同行させることを求め、義輝はこれを許した。


急な動員であったために他の部隊に組み込めず、祐直は将軍家奉公衆の鉄砲隊の一部を担うことになった。


「狙いを定めよ。敵は充分に引き付けてから放つのだ」


祐直が丁寧な仕草で配下に指示を出していく。兵たちは声にあわせるようにして肩膝を付いて狙いを定め、山県勢が近づいてくるのをジッと待った。


彼らが扱う火縄銃は三十匁砲であり、通常の火縄銃は二から三匁が主なため十倍の大きさを誇っていることになる。織田軍が美濃表で使ったものより小さいが、敵からすれば充分な脅威だ。


「矢弾を食らわせぃ!」


祐直の号令に合わせて三〇ほどの鉄砲筒が雷鳴の如く火を噴き、将軍参戦を戦場に告げる合図となった。撃たれた山県兵の胸板が大きな衝撃にべっこりとへこみ、即座に動揺が走った。備えとして設けていた竹束も三十匁砲の前には役に立たなかった。


「怯むなッ!あれしきの数、恐れるに足らず!」


不屈の精神で昌貞が叱咤する。ただ兵たちも同様かといえば、そうではない。決して恐れを抱いたわけではないが、当然なように戸惑いはある。


そこへ日置流雪荷派を司る吉田重勝の部隊が矢雨を降らせていく。その後に柳生宗厳率いる武芸集団が怒涛の如く押し寄せるのだから数で勝っていた山県勢も押しに押されまくった。無論、当初から戦闘している尼子、宇喜多の軍勢も息を吹き返してくる。義輝は総大将であるため道を開けなくてはならず、自然と両翼に展開して山県勢を包囲しつつあった。


「進めッ!進めッ!上様に遅れるわけには行かぬ!」


尼子の先頭を山中鹿之助が突っ走り、右翼へ進む。


「我らも遅れるなッ!宇喜多の名を、この戦場に轟かすのだ!」


また宇喜多忠家も自ら槍を取り、配下に混じって左翼への前進を指示する。


「よう働いておる」


家来たちの前進を、義輝は馬上から悠然と眺めていた。


もちろん奉公衆が出撃するほど前線に近づいているため、義輝の周りにも危険がないわけではない。ただ義輝には幾たびの死線を越えてきたという自負があり、脅威を取り除くだけの実力が備わっているという自信もある。


敵と当たってからのゆったりとした前進が、義輝の覇気と伴って兵たちに安心感を与えている。


「ふん!」


何処からか飛来してきた矢を義輝が愛刀で叩き落す。それを目撃した近習たちは、感嘆の息を漏らした。


義輝の間合いはまさに剣の結界とも呼べる領域であり、鉄砲や大量の矢でも降ってこない限りはその身が傷つくことはない。永禄の変、旧三好邸の変、吉野川合戦、伊丹・大物合戦に山崎の合戦とただでさえ天下に五指を数えられる腕前の義輝が経験してきた戦場は、語り尽くせぬほど苛烈を極めている。


(余は、まだ強くなれる)


三十台半ばの義輝は、進化の余地が残っていることを未だ感じていた。このまま師を越えて立場でも実力でも天下一の武士になることも夢ではないかもしれない。そうなれば歴史上初の快挙となり、それは足利幕府の安泰にも繋がるはずだ。


「……いかんな」


これに対し、将軍参戦による山県勢の後退に梃子(てこ)入れの必要性を感じた武田信玄は、即座に動いた。本陣に残る三〇〇〇の兵の一部を割いたのではなく、本陣全軍を自ら率いて義輝に当たったのである。


(ここでの兵力の分散は確固撃破を生むだけだ。勝つには、これしかない)


将軍の軍勢は強い。ただ自分が負けるという思いは今を以ってない。味方の動揺と後退を武田信玄の名で全て呑み込む。


「武田本陣が動きます!こちらへ向かっている模様!」

「来たか、信玄ッ!」


今度は将軍陣営に動揺が走る番だった。ここで信玄が本陣を動かしてくることは、流石に予想していなかった。しかし、考えれば実に理に適っている。ここで信玄が山県勢を支援すれば、それこそ兵力の差は広がり、山を駆け下りる勢いをぶつけることができる。また幕府勢は西近江路を駆けての参戦であり、疲労の色は隠せない。そろそろ勢いに陰りが見え始める頃合だと信玄は読んでいた。


地の利、時の利、人の利を信玄は手にする。後は天の利を手にすれば、天下は得られる。


信玄がふと天に視線をやる。太陽はまもなく南中に差し掛かり、夜が明け過ぎから始まった合戦は、実に二刻余り(四時間)が経過していることが判る。まだ正午には至っておらず、ここで凱歌を得られれば信玄は今日中に京近くまで進むことも可能。そうなれば幕府陣営は建て直しの時間を失う。京は手に入ったも同然だった。


(……勝てる)


信玄の中で勝利が確信に変わろうとした時、見下ろした先に日輪の如き輝きがあった。


馬蘭後立付兜。


縁起物である菖蒲(しょうぶ)の一種である馬藺(ばりん)の葉二十九枚を形どって装飾したもので、後光が差しているような意匠が施されてある。


小柄な羽柴藤吉郎秀吉が自らを大きく見せるため造らせた愛用の兜だった。それが日輪に見えた。


「あれは……、羽柴秀吉か」


信玄が、初めて秀吉の名を口にした。


秀吉の存在は“今孔明”と称される竹中半兵衛重治がいることで信玄の中では評価が低い。しかし、こうまで痛いところを突き、幕下に名軍師を侍らせているというのは主が秀でている証でもある。自分もかつて、山本勘助という名軍師を傍に置いていた故に判る。


「……ちっ」


思わず信玄は、舌を打った。


挿絵(By みてみん)


秀吉のいる位置は信玄の背後に当たる。数は脅威ではない。いま信玄が戦っている目の前の軍勢と羽柴勢を合わせても自軍そう大差はない。単に兵力差がなくなったに過ぎない。とはいえ、秀吉の戦場を見る眼は確かだ。


秀吉は武田信豊と真田昌輝の背後を通ってきた。もし秀吉がどちらかに攻め懸かれば、確実に勝利を手にすることが出来たであろう。ただ同時に失うものがある。


それは時だ。


時を失うということは、その時を得られる者がいるということだ。つまりは信玄ということになり、時を手に入れた信玄は、義輝という幕府軍の根幹を叩き潰すだろう。


(まさか、奴も天下を狙うだけの器量を備えておるというのか)


目先の勝利に捉われないということは、本質を見抜いているということである。それを持っている者は天下広しと云えども多くはないはずだ。


「如何いたしますか」

「無視する。手を出してくれば一隊を割かざるを得んが、将軍を倒すだけの時間を得られればよい。羽柴を倒すのは、信長と共でよい」


信玄は秀吉無視を決め込んだ。


本質を見抜く眼は自分も持っている。ここで保身に走らず将軍を倒せば決着はつくのだ。仮に羽柴に攻められても、将軍を敗走させるまでの時間を稼げれば充分である。ここ一番で耐え抜くのは、慣れている。


「おいおい、半兵衛。これはどうしたことだ?信玄の本陣に動きがまったくないぞ」


茂山から信玄本陣を窺う秀吉は予想を覆す信玄の動きに戸惑いを隠せずにいた。


「……流石は信玄殿です。我らの動きに惑わされず、公方様を倒すつもりなのでしょう」

「う~ん。ならば攻め懸かる他はないか。茂山に陣を移せば、戦わずに勝利できると踏んだのだがな」


一転して渋面を作った秀吉が唸り声を上げる。


武田勢の強さは戦ったことのある秀吉が身を以って知っている。易々と勝たせてはくれないだろうし、江北の領主となって日の浅い秀吉には、配下の兵がどれほど自分の為に戦ってくれるのかという不安もあった。確実に勝てるという合戦なら死力を尽くすだろうが、勝敗が判らぬ戦いでは下手を打てば壊走も有り得る。


その秀吉の不安を拭い去ったのは、やはり半兵衛であった。


「確かに信玄殿は流石でありますが、配下の兵は如何でしょうか。我らの出現に動揺する者も少なくはありますまい」


半兵衛が僅かに頬を緩ませる。


今孔明の笑みは、これからの戦場の動きを物語っていた。


=====================================


最初に大きなどよめきが起こったのは、羽柴勢の通過を知った武田信豊の部隊である。


「羽柴は何処へ向かう気だ?まさか御屋形様の下ではあるまいな」


信豊の眼が左右に動く。


羽柴麾下の蜂須賀が鈴木重泰と戦っていることから、羽柴が動くなら北陸街道方面だと疑わなかった。まさか余呉湖半を通り、尾根沿いに北上するとは誰が予想するだろうか。


しかし、信豊は動けなかった。羽柴に攻め懸かれば丹羽勢が突出してくる可能性があったからだ。同じ織田に属する者として、連携していると見るのが当然と言えた。


「……藤吉郎も重い腰を上げたか。それにしても一番手柄を狙いに行くとは、あれも強欲なことよ」


長秀は秀吉の性格から信玄を狙っての移動だと見抜いていたが、信豊の予想を裏切り、羽柴と丹羽は連携していなかった。ただ長秀も戦国を生きる者の一人である。信豊が背中を見せれば途端に方針を変えて襲い掛かる手筈は整えていた。


また真田昌輝も信豊と似たような理由で動けず、対応を迫られたのは吉川元春と激闘を演じている馬場信春だった。


「このままでは御屋形様が危ない」


重鎮・馬場信春であっても今の状況には焦りを感じていた。


信玄の背後はがら空きである。手の空いている部隊はおらず、羽柴の妨害には自分が動くしかない。吉川の相手は骨の折れる作業だが、何とか余裕を見出すしか主を救う手立てはなかった。幸いにも攻防は一進一退でも山上に布陣する利から形勢は悪くない。


「これより突撃する。手傷を負った者以外は全て儂に続け。儂よりも後ろにおる者は、怠慢と見做す」


その最中、元春の嗅覚が流れの変化を敏感に感じ取っていた。


信春の注意が羽柴に向いたことは、僅かながら兵たちにも伝染する。特に忠義心に篤い武田の兵ならば、誰もが信玄の安否を気にしてしまうのだ。そして羽柴の出現は、幕府軍にとっては好機となる。


「続けーーッ!」


元春の大音声に、まるで火の玉の如く一丸となった吉川勢が馬場勢に攻勢を仕掛けてくる。犠牲をもろともしない突撃は、今の信春の手には余った。


「退くなッ!ここで退けば、羽柴どころではなくなる」


信春が愛槍を振りかざし、兵たちを鼓舞する。


(失態じゃ……!ここで挽回せねば、後がないぞ)


主を守るため羽柴に手当てしようと思った矢先に自分の部隊が窮地に陥ってしまった。焦りが生んだ危機を脱する手段を急いで模索するも一度ついてしまった流れを覆すのは難しい。相手が吉川元春ともなれば、尚更である。


「御屋形様……、申し訳ございませぬ」


信春は失意と共に謝罪の言葉を口にするのだった。


=====================================


同じ頃、足利義輝と武田信玄の戦いは泥沼の乱戦に陥っていた。


「振り払え。寄せ来る者どもは片っ端から打ち倒せ」


腰に乗った信玄の身の回りで迫る幕府勢と味方が戦っている。幕府奉公衆に名を連ねる者の実力は凄まじく、信玄の兵は三人で一人を相手にするのがやっとだった。将軍の名と共に剣豪としても名を馳せている義輝が自らの手で鍛え上げた豪の者たちは、信仰心篤き一向門徒たちでは手に負えない。ただ屍となるまで戦い続ける本願寺の門徒らの執念は凄まじく、奉公衆らは確実に息の根を止めることを求められた。


「ええい、鬱陶しい!」


それは義輝の周りでも起きていた。


既に義輝は馬上の人ではない。自ら手を下さなければならないほど武田の兵は近くまで迫っている。義輝のところまで抜けてくる者も少しずつ数を増やしており、信玄との距離が近くなっていることを感じさせられていた。


「兵庫介!信玄はまだ捉えられぬか!?」


義輝が敵兵の一人を斬り伏せながら、柳生宗厳に首尾を問う。


「敵本陣には取り付いております。されどいま一歩、信玄には届きませぬ」

「……くっ、粘りおるわ」


信玄の力は認めていたとはいえ、こうまで抵抗されれば義輝も苛立ちが募ってくる。勝つための手段を講じ、二重三重に策を重ねながら合戦に挑んだのだ。それを信玄はことごとく防いでくる。勝利まで後一歩まで来ているが、それは相手も同じだった。


(勝負に出るしかない!)


義輝の双眸に光が走る。


「兵庫介!其の方、門下を率いて信玄を討て。ここの守りは憲法だけでよい」


帰京後、馬廻衆を奉公衆に再整備した際に足利将軍家の兵法指南に復帰した吉岡直光を義輝は呼び寄せ、柳生に代わって守備に就くことを下知する。


「上様の守りを疎かには出来ませぬ!」


主君を第一に考えて反発する宗厳を義輝は諭す。


「余の身を案じるならば、信玄を討て。それで合戦は終わる」

「……御意!」


吉岡門下は洛中で名を馳せた一派である。数は多くなくとも義輝を守るには充分な存在である。後は朗報が届くまで、この地で堪え忍ぶだけだ。


煌びやかだった甲冑が泥濘に汚れている。不動国行にも刃こぼれが目立ってきた。後どれほど戦い抜けるか判らない。我慢の勝負である。


「……余は、勝つ!」


一刀の下に敵を斬り伏せ、義輝は勝利を疑わなかった。


=====================================


幾度となく自分の首を狙ってくる敵を信玄は打ち倒し、将軍を目指していた。相手は幕府の奉公衆だ。名のある者も多くいただろう。腕に覚えのある者も多くいたはずだ。生来、信玄は守護大名という家柄に縛られた存在として生きてきたが、素養ある者を愛でる性格である。その恩恵を最も被ったのが、山本勘助だ。


(惜しい者たちを亡くした)


敵とはいえ、その評価が変わることはない。それを殺めていかなければならない残酷さを、信玄は残念に思った。だからこそ、そんな時代を自分が終わらせなくてはならないという思いに駆られてくる。


「幕府奉公衆が一番衆・柳生兵庫介宗厳、武田入道殿と御見受け致した」


そこへ宗厳が乗り込む。柳生の名は、信玄も知っている。


「如何にも信玄じゃ」


信玄は堂々と名乗りに応じた。ここで誤魔化すことも出来たが、守護大名の矜持が許さなかった。


「主命により、その首を貰い受けに参った。御覚悟を召されよ」

「この信玄に、覚悟せよと申すか」


突きつけられた白刃に笑みで返す信玄。古臭く名乗りを上げる宗厳には、そうするだけの自信が窺える。また信玄も簡単にやられるとは思っておらず、余裕を崩さない。


「御屋形様。ここは御任せを」


二人の間に立ち塞がったのは、山県昌貞であった。


「……任せる」


元々信玄の傍を離れて戦っていた昌貞だが、将軍本陣と戦場が近づくに連れて再び主と合流を果たし、近習として主を守護するという役割に戻っていたのだ。


「相手にならぬ。退け」


宗厳は昌貞を並みの者ではないと見抜いたが、構えから自分との実力差は明らかに思えた。格下の相手には興味のない宗厳は、昌貞に退転を促す。


「武士ならば退けぬ時があることくらい、知っておろう」


気迫では、昌貞も負けてはいない。強者と知りつつも挑む覚悟を持っている。


「致し方ない」

「卑怯と罵られることなど承知の上、一騎打ちは応じられんぞ」


昌貞は手で配下に合図を出し、宗厳を囲ませる。宗厳の門下は周囲で戦っており、援護できる者はいない。未だに羽柴の参戦がない以上は、兵の余裕は武田にある。宗厳は一人で昌貞を含める五人と戦わなくてはならなかった。


「行くぞ!」


当然、攻め手は数の多い昌貞となった。五人が円陣を組み、槍を動かして一斉に宗厳を突く。だが五本の槍は全て空を斬った。宗厳は五人の内、一人に狙いを定めると槍撃を紙一重でかわして懐に飛び込み、短刀で首筋を一閃する。


兵は足元から崩れ落ち、絶命。一瞬の動きに動揺を見せた隙を突かれ、隣の兵も斬り付けられて後を追った。


僅かな間に五対一が三対一になる。驚きと動揺は、さらに強くなった。昌貞が配下の二人の様子を窺うが、圧倒的な実力の差に戦意は失われつつある。宗厳ほどの実力者なら、既に見抜かれていると思っていい。つまり現状で宗厳とまともにやり合えるのは、昌貞一人になったということだ。


形勢が一気に傾いた。


「どうしたのだ。もう仕舞いか」


勝ち誇った笑みに、昌貞は動きを止める。横目でチラリと信玄を見ると、何かを覚悟したように首を僅かに縦に振らせた。


(御屋形様、おさらばでござる。どうか勝利を、天下を御取り下さいませ)


もう自分は主の天下を見られない。だが礎には成って見せる。自分の名が天下に残るならば、満足である。


「食らえッ」


次の瞬間、昌貞は手に持っていた槍を宗厳に投げつけた。犬槍と呼ばれ、卑怯者のすることとして蔑まれる戦法だが、それを敢えてやったのには理由がある。


「貰った!」


昌貞は鞘から刀を引き抜いて、斬り懸かる。宗厳が槍を振り払うと判った上での行動であり、武田四天王が一人山県昌景より送られた名刀“吉光”ならば、例え刀に防がれても宗厳の命を確実に奪うことが出来る。


ガキンッ!


大きな金属音が鳴り、白刃が火花を散らせた。


「……なッ!?」


昌貞は眼を見開いた。


吉光の刃なら確実に叩き切れると思っていた宗厳の刀が、刃こぼれ一つ起こしていないのだ。これは想定外だった。


「なかなかの業物よ。だが、この三日月宗近の前には鈍らも同然」


宗厳の持つ刀は天下五剣の中でも最も美しいとされる三日月宗近。永禄の変での功績により賜った名刀は、忠義の証として常に共にある。三日月宗近の前では、名刀・吉光も霞んでしまうも昌貞の狙いはこれで終わりではなかった。


「ならばッ!」


目論見が外れた昌貞が刀を手放して宗厳に組み付いた。


「やれッ!儂と共にこやつを斬ってしまえッ!」


絶叫に似た声で、昌貞は最後の命令を配下に告げる。始めから昌貞は相打ち覚悟だったのだ。上位の者を相手にしてまともな手段が通じるとは思っていない。大事なのは如何にして合戦に勝利し、主を天下人に導くかである。そのために自分の命がどうなろうとも構わなかった。


これに応じて固まっていた配下二人が動く。


ところがである。何処をどうすり抜けたのか、宗厳は昌貞の拘束から抜け出すと横一線に刀を振るい、三人を一片に斬り付けた。


「莫迦な!?」


最後の力を振り絞り、昌貞は主に視線を向けながら絶命していった。これで信玄の周りで守護する者は、輿を担いでいる者たちのみとなった。


「……御屋形様」


輿を担ぐ者たちが、後退りをする。


主を守るためには逃げ出すしかないが、来た道は坂道である。輿を担いだままでは追いつかれてしまうのは想像に難くない。現実的な手段を講じるなら、輿から信玄を降ろし、残った者たちで足止めをしている最中に徒歩で逃げて貰うしかないだろう。


「降ろせ」


途端、信玄が輿を降ろすよう命令する。


兵たちは互いに顔を見合わせるも主の命令は絶対であり、渋々下知に従って輿を降ろした。


「流石は柳生新陰流じゃ。もはや儂の命を奪うことも容易かろう。将軍はよき臣下に恵まれているようじゃ」

「……潔いことで。されど思い違いをなさっておる。上様は臣下に恵まれたのではない。上様の強さに惹かれ、憧れを抱いた者たちが自らの意思で従っているのだ。儂も、その一人に過ぎぬ」

「ほう。あの将軍が強いか」

「少なくとも某よりは。そして貴殿よりも」

「儂よりもか……、くっくっくっく!面白いことを申すものよ」


自分より強いと言われ、信玄はおかしくなり笑いが込み上げてきた。元より義輝を格下とした見做していなかったはずの存在が、いつのまにか上位にいたということか。


「御覚悟を決められよ」

「……儂がか?その台詞、そっくり貴殿に返すとしよう」

「呆けられたか。その程度の人数で、儂は止められぬぞ」


宗厳が眼で担ぎ手たちを威圧する。


相手は六人だが、膂力はあっても武芸に秀でているわけではない。それで負ける要素は微塵も感じていない。


「そなたほどの者が儂に気を取られて周りが見えておらぬとはな」


ふと信玄の視線が南へ向いた。その時である。


「御屋形様ッ!」


三十人ほどの兵が入ってくる。どれも屈強そうな者たちばかりで、その内の一人は見事なまでの甲冑に身を包んでいる。恐らくは武田家中でも重鎮の一人ではないかと思われた。


「……ちっ!お前たち、いったん退くぞ!」


それを見て宗厳は脱兎の如く逃げ出した。味方の支援がままならぬ状況で、この人数を相手にするのは自殺行為である。ここまで追い詰めた以上、機会はまたあるはずで、無理を通す場面ではなかった。


「美濃か、助かった」


信玄を助けたのは、腹心の馬場信春であった。信春は馬廻を引き連れて、信玄の窮地を救ったのである。


「御屋形様こそ、御無事でなりよりにございます。それより将軍は……」

「守りが堅い。いま一歩なのだが、将軍を倒すにはそれでは足りぬ気がする」

「足りぬ……とは」


信春は不安を感じた。


開戦の時と違って信玄の眼に諦めの色が見えたからである。


「将軍は強い。例えあの柳生宗厳を倒したとて、将軍一人で半刻(一時間)は粘りそうじゃ」


柳生宗厳の強さは群を抜いていた。あれほどの武芸者と信玄はあったことがない。その太刀さばきは芸術の類であり、見る者を惹き付ける。そして足利義輝も、同等かそれ以上の強さであるという。永禄の変の脱出劇を考慮しても、討ち取るには相当な犠牲と時間を費やすだろう。


宗厳を見て、信玄は全てを察した。


(なんだ、強いではないか)


認めなくてはならないのだ。ここまで自分を追い詰めた足利義輝という男を。義輝の力は何も上杉謙信や織田信長に支えられただけのものではなかった。義輝自身に天下を統べる力が備わっていたからこそ、ここまでやって来られたのだ。


ならば、信玄が求める正統なる源氏の世は義輝が創るかもしれない。


「美濃、ここまでじゃ」


信玄が、敗北を口にした。


「無念にございます」


信春も悔しそうに表情を歪める。信玄も信春も、もう長く本陣が持たないことを判っているのだ。


馬場信春がここにいる理由が全てである。


信春は吉川元春と戦っていたはずだ。その信春がいるということは、元春に負けたことを意味する。つまり暫くすれば、この地に吉川の兵が押し寄せてくることになり、そうなれば信玄は本陣を支えきれなくなる。それまでに義輝を倒せれば寸でのところで勝利を得られるが、それは不可能だというのが信玄の判断だった。


「美濃、兵をまとめて戦場を脱しよ」

「何を仰せになられます!御屋形様こと先に退かれませ。ここは拙者が引き受けまする。加賀まで戻れば、再起は可能にございます。諦めるのは……」

「無理じゃ、美濃」


腹心の言葉を信玄は首を左右に振って答えた。


「いま加賀へ戻ったところで、すぐに雪が降り出して身動きが取れなくなる。その間に将軍は態勢を立て直し、場合によっては石山も膝を屈するやもしれぬ。信長も息を吹き返す。北国三国だけで、これらと対峙して行くのは、まず無理と思ってよいだろう。……それに、儂の病もある」


信玄は自らの胸に手を当てた。咳が出ることは少ないが、病魔に巣食われているのは常に感じる。


もし持病を抱えていなければ、信春の言葉に従ったかもしれない。北国三国であっても意のままに動かせるならば、幕府に対抗する手段は探せばあるだろう。ただ信玄が天下を手にし、安定させるにはここで勝利しておく必要性が不可欠だった。一度、北陸に戻ってしまえば勝ったところで志半ばで寿命が尽きるのは目に見えている。


「儂は由緒ある武田の人間だ。例え敗れ去り、謀反人となろうとも武田という家は守っていかねばならぬ。有能な家来たちを道連れには出来ぬ。……太郎には、まだお前たちの力が必要なのだ」


信玄は信春の瞳をまっすぐに見据え、どんどんと語気を強めていく。


「よいか。何としても生き残り、甲斐へ戻るのだ。お前たちは主である儂の命に従っただけじゃ。その道理は将軍といえども否定できぬ。罪を全て儂に被せよ。そして太郎を支えるのだ。甲斐は信長に狙われておる。太郎の周りにおる連中だけでは、信長には敵うまい」


武田の礎を築いてきたのは、四名臣と称される者たちだ。


内の一人・春日虎綱は義信に従っているが、山県源四郎昌景は勝頼と行動を共にしている。内藤修理亮昌豊も飛騨におり、信春は近江だ。この四人の内、誰一人として武田存続には欠かすことは出来ない。


「儂が止まれば、幾分か時は稼げよう。途中、飛騨に立ち寄って修理亮と合流し、太郎に従うのだ。あれのことだ、帰参を申し出ても悪いように扱いはすまい。これまでの忠節、大義であった。よう仕えてくれた。時には厳しい言葉で儂を諫めてくれたこともあったのう。儂は美濃という家臣を得られたこと、果報者であったわ」

「……お、御屋形様」


信玄は笑った。


そして信春は主の最後の言葉を聞いて崩れ落ち、嗚咽する。信玄との出会いからこれまでのことが走馬灯のように頭の中を駆け巡っていた。


暫くの後、信玄の本陣は義輝の部隊と吉川元春の軍勢に蹂躙された。信玄は討たれ、その場には風林火山の旗が無数にも転がっていたという。


しかし、そこに馬場信春の亡骸はなかった。




【続く】

またもや一ヶ月ぶりの投稿です。


ようやく長い長い信玄との戦いに決着がつきました。信玄は死に、馬場信春は戦場を脱しています。その他の者たちがどうなったかは次回に描きますので、質問されても回答は控えたいと思っています。信玄の最後にしては様々な意見があるでしょうが、結果が見えた以上は取る手段が明確になった、そして如何にも合理的な信玄を描かせて頂きました。外交的には不義を繰り返す信玄も家臣間とは強い絆で結ばれていたのは史実からも窺えるところです。彼らの動向も今後の武田家の行く末を決める大きな要素になって参ります。


さて今回、秀吉が大きな役割を果たしましたが、信長の思惑とは違う動きとなっています。その信長がどう動いているかは次回に描く予定です。もちろん義輝も信長の動きを見据えた上での活動を行い、最終的に本願寺(石山)とどう決着を図るかで今章は終わる予定です。


次章のタイトルはネタバレにもなりますので、今章最終幕で後書きに書いておきます。


また読者の方々には御心配をおかけしておりましたが、病気の方も回復に向かっており、かつてと比べるとかなり楽になっています。年末年始はほぼ休みなしなので更新ペースに改善が図れるか判りませんが、引き続き応援を宜しくお願いします。


最後に恐らくは今回が今年最後の投稿となると思いますので、一年のお付き合いに感謝を申し上げつつ来年の皆様の健康をお祈りしたいと存じます。


それでは皆様“よいお年を”

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