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EX.2 序盤で手に入れていい装備じゃないと思うわ(side:長名馴染)

「僕の名はレオン・ラインハルトだ」

「勇者……?」

「そう、勇者だ。レオンはこの世界の勇者。歴代最強、世界最強、不敗の勇者。一騎当千、万夫不当、人類の希望にして最後の砦。それが勇者レオン・ラインハルト」


 女王様がそう補足した。

 凄い称号ね。

 かなり強いのが肌で感じ取れるわ。

 これ私達いる?

 少なくとも今の私達じゃ全員でかかっても簡単にあしらわれるだろうし。


「僕に出来ることなんて高が知れてるさ。万能ではあるが全能ではない。最強ではあるが無敵ではない。だから君達が呼ばれたんだ。だから頼む。僕達に、この世界に力を貸してほしい」


 そう言って彼は頭を下げた。


「ところで……貴殿らに異性を宛てがおうと思うのだが、好みはあるか?」

「それは遠慮しておきます。ここにいる全員、恋人がいますので……」


 他の男なんて見る気はないもの。

 私達が愛するのは蕾だけ。

 それに、男性陣も全員彼女持ちだしね。


「それは遠慮しておきます。ここにいる全員、恋人がいますので……」

「ふむ、そうだったか。であれば付き人は同性になるようにしよう」


 よかった。

 例え異性を宛がわれても靡くつもりはないけど、身の回りの世話を異性にしてもらうのはちょっとね。


「すまないな。この世界の事情に巻き込んで、家族や友人だけでなく、恋人とも引き離してしまうことになって」


 本心から申し訳なさそうにしている。

 やっぱり、悪い人ではなさそうなのよね。


 それにしても、大魔王討伐にどれだけ時間がかかるか分からないけど、数年くらいは蕾と会えないのかぁ……。

 寂しいわね……。

 今までずっと一緒だったのに……。


 でも……。


「ねえ星歌」

「馴染の思ってる通りだと思うわ」


 ただの勘だったけど、星歌が肯定するなら間違いないわね。

 蕾、この世界に来てるわよね。

 魔法陣の外に投げ飛ばしたと思ったんだけど、間に合わなかったのかしら。

 多分私が投げ飛ばしたせいで逸れてしまったのね。

 この世界の何処かにはいると思うのだけど。


「蕾、私達と再会するまでに何人現地妻増やしてくると思う?」

「最低5人、かしら」


 増えるわねぇ……。


「ライ、というのは誰かな?」

「蕾は私達の彼氏です!」

「私、達? そちらの世界は一夫一妻制で複数人相手は不誠実だとされると伝わっているが……」

「まあ、そうですね。でも私達は全員納得した上でと言うか……そもそも私達の方から押し切って蕾にハーレム認めさせたので……」


 正直な話一番最後まで渋ってたの蕾だしね。

 私と星歌の時でさえ幼馴染なのと小さい頃の結婚の約束持ち出して蕾に強引に認めさせたし。

 他の皆に関しては星歌の洗脳教育でハーレムを受け入れるようにしてもまだ渋ってた。

 まあ蕾の家の事情を考えたら二股とか全員の同意があっても受け入れ難いのは理解できるけどね。


 正直洗脳されてる時の蕾には同情してるわ。

 NTR同人誌読み聞かせASMRとか劇物すぎるもの。

 脳破壊された蕾が可哀そうで仕方がなかった。

 星歌って普段は都合のいい女ぶってるけどそういうところあるわよね。


「渋りまくってたけど1回認めさせればこっちのものよ」

「高校入ってたった1年で19人も彼女増えたし」


 最後まで渋ってた癖に1回受け入れたらガンガン女の子堕としていっちゃうんだから。

 義理とはいえ家族全員堕とした時はとうとうここまで来たかと呆れたわね。

 いや実際にはとっくに堕ちてはいたのでしょうけど。

 お母さんまで堕としちゃうし。


「それは中々ユニークな子だね。僕も一度会ってみたかったかな」

「それでは、そろそろ行きましょうか」




―――――




 イリーナさんとレオンさんに着いて行き、長い廊下を歩いていた。


「この世界の宗教について教えておこうか。この世界で信仰されているのは神聖教会、七大神を信仰する宗教だ。君達の世界では考えられない事かもしれないが、こっちの世界では神が実在し、現世に干渉する。もちろん、七大神以外にも土着神とかの神は存在するけど、1番力を持っているのは七大神だ。例外は邪神くらいのものだ」


 普人族(ヒューマン)を創りし最高神にして創造神、地の女神クリアス。

 龍人族(ドラゴニュート)創りし龍神にして運命神、闇の女神ディスティーク。

 夢魔族(サキュバス)創りし愛神にして時空神、光の女神タイライト。

 人魚族(マーメイド)創りし海神にして生命神、水の女神ライクア。

 獣人族(ビースト)創りし獣神にして武神、火の女神ブレイム。

 森人族(エルフ)創りし精霊神にして魔導神、雷の女神メイニング。

 山人族(ドワーフ)創りし鍛冶神にして商業神、風の女神トレクロン。


 この7柱の神を信仰するのが神聖教会だそうだ。


「この神聖教会のお陰で人々は安寧を享受することが出来ていると言っても過言ではない。ただ問題もあってね。最近は減ったが、一部ではまだ人間至上主義が残ってるんだよね」


 それは最高神に生み出された普人族(ヒューマン)が一番偉いという思想らしい。


「本来なら、どの種族も対等なはずなのだけどね。嘆かわしきかな、種族間の対立というものはどこにでもあるものさ」


 普人族(ヒューマン)による亜人差別以外にも亜人同士の対立もあり、一時期はそれはもう酷いものだったという。

 魔人族との戦いも魔王もほったらかして人類同士での壮大な内ゲバで滅びかけたらしい。


普人族(ヒューマン)は亜人を虐殺したり奴隷化したり、森人族(エルフ)山人族(ドワーフ)と仲が悪いし、龍人族(ドラゴニュート)は基本他の種族を見下してるしでそれはもう散々だった。まあ、それも今ではだいぶ薄れてはいるのだけどね」

夢魔族(サキュバス)は魔物とか魔人族とは違うんですね」

「ああ、魔物としては淫魔族(エンプーサ)が該当するだろう。愛の女神でもあるタイライト様が創りし夢魔族(サキュバス)はれっきとした人類だ。まあ女性しかいないから大抵はハーフなのだけど」


 誰彼構わず襲う淫魔族(エンプーサ)と違って夢魔族(サキュバス)は生涯でたった1人の男を愛する種族なんだそうだ。

 というより、何があってもたった1人しか愛せないらしい。

 例えその男が死んでしまっても。

 だからその相手が死んだら精を吸収出来ずに死んでしまうそうだ。

 他には夢や精神への干渉が得意という特徴を持ち、凌辱などによるトラウマ、悪夢といったものを治療する仕事に就いていることが多いらしい。


「昔は男の夢魔族(インキュバス)もいたのだけど、夢魔同士では繁殖が出来ない上、性格が歪んでるという欠陥を持っていたらしい。最終的に神罰で滅ぼされたと伝わっているよ」


 魔王に神罰を落とせないのだろうか。


「神罰は自身が生み出した種族にしか落とせないんだよ。それに、そもそも女神たちは人ではなく神の価値観で動いているからね……人類がそれに振り回されることもあったりするくらいだ」


 あー、上位者的な価値観。

 それなら仕方ないわね。


「さて、着いたよ。ここが宝物庫だ」


 レオンさんが金で装飾された大扉を開く。

 そこには数多の金銀財宝が輝いていた。


「うわぁ……」

「『無冠の大剣』、『吸魂の槍』『宝玉の魔杖』、『天地開闢』、『射殺す業弓』、『白日の聖衣』、『比翼連理』……凄い装備ばかりね」


 妖愛が解析していく。

 妖愛が言うには、どれも最高品質のものだそうだ。


「この服は?」

「破廉恥! 不健全よ!」

「いやそういうことを聞いてるんじゃなくて……」

「もー、ようっち落ち着きなよー」


 妖愛はムッツリなんだから……。


「おおっ! この世界にもあるじゃないですか刀! 『聖殺夜奪堕天切セイサツヨダツダテンギリ』と『七天八祷夜理光シチテンバットウヨリミツ』です!」

「『千子村正(センゴムラマサ)』と『観世正宗(カンゼマサムネ)』よ?」


 掠りもしてないじゃないの。

 伊織はネーミングセンスがちょっとアレよね。

 厨二病というか、ヤンキーみたいというか……。


「というかなんで私たちの世界の刀が?」

「勇者召喚の影響か、時々君たちの世界から色々なものが流れ着いてくることがあるんだよ。僕の聖剣も、そちらの世界から流れ着いた聖剣の概念によって変質したからね。今は『光輝放つ王の剣(エクスカリバー)』だ」


 エクスカリバー……アーサー王の剣ね。

 私たちの世界から概念すら流れ着いたってことは、スキル名が私たちの世界の英雄や神の名を冠しているのもその影響かしら。


「ガヴェスター家には僕の聖剣に匹敵する『日輪纏う灼熱の剣(ガラティーン)』が継承されてるし、他にも『薙ぎ倒す比類なき輝槍(ロンゴミニアド)』や『無駄なき琴弓(フェイルノート)』なんてのもある」

「有名なのばっかりね」


 どれもアーサー王伝説に登場する円卓の騎士の武器だ。


「これは……」


 何かに惹かれるように視界に入れたのは黄金の装飾が施された大剣。

 柄は長く、刀身は広い。

 クレイモアと呼ばれる剣に一番近い形状だろうか。

 鈍色の刀身には赤いラインが何本も刻まれている。

 柄を握りしめると、まるでそれが自然かのように手に馴染んだ。


「おや? それを手に取ったのかい? となると選ばれたんだね」

「選ばれた?」

「それは『祈りなるかな(マルミア)、救星の剣(ドワーズ)』。僕の聖剣すら上回る世界最高の剣と言っても過言ではないだろう」

「救星の剣……」

「君達の世界の剣がこの世界の星の中心に落ち、星脈、霊脈、龍脈を流れ、その力を取り込んだことで産まれた星剣。神剣すら上回る幻想の奇跡。僕でさえ、扱うのは一振りが限界だったそれに、君はどうやら選ばれたらしい」


 確か、アーサー王伝説に登場する、エクスカリバーすら上回る剣、だったかしら。

 鍛冶神ヘパイストスによってヘラクレスのために鍛えられたものらしい。

 それなら確かに、そこまで凄く言われるのも当然だろう。


 私はそんな凄い剣に選ばれたのね。

 勇者だからかしら。

 それとも、ヘラクレスの名を冠するスキルを持ってるから?


「私はこれにします」


 星歌が手に取ったのは大きな十字型の純白の盾。

 それには赤い十字が刻まれ、十字の中心には女性の肖像が描かれていた。


「それの名前は『聖母象りし神血の盾イーコール・プリドウェン』だよ。それも異世界から流れ着いたものが変質したものだ」

「全員、装備を選び終わったみたいですね」


 これから私たちはどうするのかしら。


「これから1ヶ月の訓練をします。そしてその後は迷宮(ダンジョン)で実戦訓練を積んで貰います。ですので今日はゆっくりお休みください」


【真名】山田(ヤマダ)星美(ホシミ)

天職(クラス)聖女(セイント)

【性別】女性

【身長/体重】166cm/52kg

【属性】混沌・善

【特技】水泳、翻訳、暗記

【趣味】博物館巡り、星見

【好きなもの】伝承、伝説、神話、叙事詩

【嫌いなもの】冤罪、いじめ

【苦手なもの】書類仕事、教頭

【備考】

歴史好きな担任教師で水泳部顧問。

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