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さ?最い?終し?ゆ?話?

 あれから一週間。

 私はずっと自分の部屋に引きこもっていた。

 なんにもやる気が起きない。

 息を吸うことですら億劫だった。

 海星に拒絶された。

 その事実が辛すぎて悲しすぎて何もやる気が起きない。


「なんで私あんなこと言っちゃったんだろ」


 思い返すのは冗談で海星を振ってしまったことだ。

 流石にやり過ぎたと思うし、私が海星の立場なら同じ行動をとっていたかもしれない。

 そんなことはわかっていても認めたくなかった。

 今までずっと一緒にいた幼馴染で私の唯一無二の大切な人から嫌われてしまったんだ。

 悔やんでも悔やみきれない。


「でも、付き合うのが早すぎるよ、」


 今回の件は私が全面的に悪いけど、でもすぐに彼女を作るのはおかしいと思う。

 海星が弱っているところに付け込んだの?

 でも、海星と藤音紫苑に接点なんてなかったし。


「もうどうでもいいか」


 海星と面と向かって拒絶された。

 しかも顔も見たくないといわれてしまった。

 これ以上考えても何にもならない。

 ただ虚しいだけだ。


「ごめんね海星。私海星を諦められない」


 きっと私のこの感情は簡単には消えない。

 だって、生まれてからずっと抱いていたものなんだもん。

 私は何としてでもあの女から海星を奪い返す。


「もう手段は選ばないよ。でも、バレないようにしないとね」


 まずは距離を取って時間を空けてそれから行動に移そう。

 それまでは学校で抜け殻を演じよう。

 何の気力もないような無気力な人間を。

 そうしたら誰も私を疑わないし警戒しない。

 きっとどうでもいい存在として流すだけになる。

 そうなったとき、私は行動に移す。


「もうミスはしない。なんとしてでも私は海星を手に入れる」


 考えているとなんだか楽しくなってきた。

 幸い両親からお金はたくさんもらっているのでどうとでもできる。

 そうと決めたら明日から学校に行かないと。

 半年くらいかけてゆっくりやればいい。

 だって藤音紫苑は三年生。

 来年には学校からいなくなる。

 それから行動しても全然遅くない。

 焦って失敗するより断然まし。


「待っててね海星。絶対に私があなたを手に入れるんだから」


 独りしかいない部屋の中で私は笑う。

 笑い続ける。

 いつの日か海星を手に入れる日を夢見て笑い続ける。


「あははははははははははははははははははは」


 

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