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第6話 絶対にあきらめない

 次の日、学校に海星はいたけどやっぱり私に声をかけてはくれなかった。

 やっぱり海星は騙されてる。

 そう思いながらも海星に話しかけられないと凹んでしまう。


「はぁ」


「茜、、、」


「春奈。どうしたの?」


「いや、昨日は言い過ぎたと思って。ごめんね」


「全然いいよ。気にしないで」


 あんまり春奈の話聞いてなかったし。


「結局彼氏君とはどうなったの?」


「うん? まだ話せてないけどきっと何とかなるよ」


 まずは泥棒猫を見つけ出してそいつから海星を取り戻す。

 その後は私から海星を奪った復讐をする。


「なんとかってあんた、、、」


「ごめん。私これからやらないといけないことがあるから」


 今は昼休み。

 昨日も海星は昼休みにどこかに行ってしまっていたけど今日も昼休みが始まってすぐにどこかに行ってしまった。

 後をつけようとしたけど春奈に話しかけられて気づいたときには見失っていた。

 もしかしたら今頃泥棒猫の所にいるのかと思うとイライラが止まらない。

 絶対に見つけ出してやる。

 そう誓って今日一日の授業を乗り切った。

 帰りに海星をつけて彼女の正体を探そうとしていた時に、


「秋風ちょっといいか?」


「なんですか?」


 いきなり担任の先生に話しかけられた。

 このままじゃ海星を見失っちゃうけどさすがに無視するわけにはいかないし。

 もう! タイミングが悪い。


「ああ。今日の帰り委員会の仕事があるから言ってくれよってな。朝も言ったと思うけど一応な」


 そうだった。

 そういえば今日は図書委員の仕事があったんだ。


「そうでした。教えてくれてありがとうございます」


「ああ。しっかりな~」


 先生はひらひらと手を振って職員室に戻っていった。


「今日は後をつけれない。でも、帰りにもう一回海星の家に行ってみよう。前は家にいなかったけど今日はいるかもしれないし」


 委員会の仕事は面倒だけどしょうがない。

 時間まで座っていればいいだけだし早く終わらないかな~


 ◇


「やっと終わった」


 あれから二時間ほど時間が経って最終下校時間になった。

 部活をやっている生徒たちもちらほらと家に帰っている。


「よし! 今日はきっと家にいるよね?」


 流石に毎日のように彼女の家に泊まるなんてしないだろうし。

 さっそく海星の家に向けて歩き出した。

 まあ、私の家は海星の家の隣なんだけど。


「よしっ! 行くぞ」


 海星の家の前に立ってインターホンを押そうとして深呼吸して再び押そうとする。

 すると後ろからいきなり声をかけられた。


「なんでお前がここにいるんだよ」


 心底いやそうな顔をしてそういってくる海星に胸が痛くなった。

 そんな顔で見ないでほしい。

 昔みたいに私に優しい笑顔を向けてほしい。


「別にいいでしょ。それよりもなんでこんなに帰ってくるのが遅いの? 海星は部活とかやってなかったよね?」


 本当はこんなことを言いたいわけではなかった。

 でも、なんでか海星と顔を合わせると素直になれなくなっちゃう。


「そうだけど、それが何だよ。別にお前には関係がないだろう?」


「そんなことないよ! 私達恋人でしょ!?」


 そう。

 私たちは恋人なんだ。

 中学の終わりから付き合い始めて二年目。

 だから、関係ないなんてことは無いし海星にそんなことを言ってほしくない。


「何言ってんだよ。捨てたのはお前だろ? 僕はそれに従っただけだ。お前から関係の終わりを告げたんだからお前がそれにごちゃごちゃ言うなよ」


「なんでそんなに酷いこと言うの!? 私達恋人でしょ!」


「僕に酷いことを言ったのはお前のほうだろ? 先に別れを告げたのはお前のほうだろ。出来心か何だか知らないけど僕はもう君と関わりたくない」


「そんな、、、」


「じゃあ、そういう事だから。毎回家の前にいるとかやめてくれよ? 僕はもうお前の顔なんて見たくもないからさ」


「ちょっとま、」


 私の声を無視して海星は扉を閉めてしまった。

 本当に怒ってる。


「やっぱり今まで泥棒猫の所に行ってたのかな」


 きっとそうだ。

 海星は部活はやってなかったし委員会とかもやってなかったからこんな時間に帰ってくるなんてありえない。

 それに、私以外に最近海星がかかわった人間は多分その泥棒猫しかいない。


「絶対にユルサナイ」


 そんなの許せない。

 海星は私のものだ。

 幼馴染で生まれたころから一緒にいて私にいつも微笑みかけてくれた。

 そんな彼を横からいきなり出てきた女に取られるなんてたまったもんじゃない。


「絶対に取り戻す」


 私はそう決心して泥棒猫を探し始めた。


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