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第4話 きっと騙されてるんだよ

 とはいったものの、やっぱりなんだか話しかけにくくて放課後まで目が合ってもそらしてしまった。

 流石にこのままではだめだと思って校門を出ようとしている海星に声をかけた。


「海星、、、」


 本当は謝るつもりだったけど海星の顔を見ると続きの言葉が出てこなかった。

 いつもみたいに恥ずかしいという気持ちもあったけどそれよりも海星が私を見る目が怖かった。

 朝見たときよりも冷たい目で見つめ返してくる海星を前にそれ以上の言葉が続かなかった。


「関わるなって言ったはずだが?」


 海星は心底不愉快そうな顔で私にそういった。

 今までで見たことが無い怖い顔。

 聞いたことないくらいの怖い声。

 私は海星が本気で怒ってるって今初めて気が付いた。


「そんなこと言わないで! ごめんなさい。本当に出来心だったの」


 とっさに謝らなきゃと思ってそう口にしたけど海星は私の言葉に聞く耳を持ってくれなかった。


「それで人に何を言ってもいいのか? そんなわけないだろう。やめてくれ」


 海星は私を横目で見ながら吐き捨てるようにそういった。


「まってよ、まってよぉぉぉ」


 そんな海星を私は泣きながら止めることしかできなくて、

 でも、海星は振り返ることもせずに校門から出て行った。


 ◇


「茜大丈夫?」


「全然大丈夫じゃない」


 私はあの後騒ぎを聞きつけてやってきた春奈の家にやってきていた。


「まあ、だろうね。何があったの? あの彼氏君が茜にそんなに酷い仕打ちするなんてあんまり想像つかないんだけど?」


「えっとね、」


 私は少し前に海星に言った事をそのまま春奈に言った。

 このまま一人で悩んでても何にもならないと思ったから。


「それは絶対茜が悪い。というかそんなこと言ったの? ちょっと引くわ」


「いや、私も言い過ぎたと思ってるし」


「言い過ぎたどころかあそこまで彼氏君が怒るのも納得だわ。そんなこと言われたら十年の恋だって冷めるわ」


「でも、海星新しい彼女できたって言ってきたんだよ? 怒ってるにしてもそれは言っちゃだめじゃない!?」


「別にいいでしょ。だってあんたは冗談だって思ってるかもしれないけど言われた側は本当に振られたと思ってるわけじゃん? しかも最低な形で。そこに他の女の子に優しくされちゃったら惚れちゃうんじゃない?」


 春奈は呆れたように首を振りながらそういっていた。

 じゃあ、もしかして本当に海星に新しい彼女ができたっていうの?


「で、でも」


「そもそも、あんたに彼氏君のことをどうこう言う資格なんてないのわかってる? 振ったのはあんたなんだよ? しかも聞いた感じ最低な感じで。なのにまだ彼女づらしてるほうが気持ち悪いよ。本当に」


「じゃあ、私はどうすれば、」


「どうしようもないんじゃない? おとなしく彼氏君をあきらめるくらいしかないでしょ」


「いやだぁ~」


 海星が他の女の子に取られるなんて嫌だ。

 そんなこと想像するだけで気分が悪くなる。

 そうだ。海星はきっとその女に騙されてるんだよ。

 そうに違いない。


「本当にそう思ってたなら冗談でもあんなこと言うんじゃなかったわね。覆水盆に返らずってやつよ。あきらめなさい」


 春奈がなにかいってるけどそんなのはどうでもいい。

 私が海星を助けてあげないと。

 海星は騙されてるんだから私が目を覚まさせてあげないと。

 それから春奈の家をでてすぐに海星の家に私は向かった。

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