第5話 VIVAN《変態》と呼ばれた男(前編)
OP3 「チャバンヌ」
また夢から覚める、濡れた瞼を開ける
狂おしいほど思い残す、遠い日の無力さを呪う
身を焼かれるような考察も糧にはなろうか
憧れに焦がれるまま燃やし続けている
キラキラお星様宿したあなたのeyes
カラカラ渇いて可哀想なlack of愛?
全てをROCKSから救う眩しい光
僕にだけ落ちる影はあなたの声?
致命的な欠落をくれたね
身勝手な虚星、狂わされた性?
お願い、声を聞かせて、声を聞かせて
絡まって歪んでしまった糸さえ
(ほどいて)くれたのはあなただけ、あなただけ
お願い、僕を見ていて、僕を見ていて
宿命に刻まれた痛みさえ武器にして
いつかの航海すら照らせるように
あなたがいないと生きていけない
何もかも捧げてしまってもいい
あなたのeyeがまだ足らない
欠けた箇所は推理で埋めたらいい?
致命的、致命的、致命的な愛(ホームズ&アイリーン)
運命的、運命的、運命的な出会い(ホームズ&ワトソン)
必然的、必然的、必然的な解(ホームズ&ポワロ)
僕を見ていてね、最愛のチャバンヌ!
チ。...チ。....チ。...チ。....
独房の時計が静かに音を立てている。既に時刻は午前2時を過ぎ、月明かりに照らされている独房はどこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。そこには、一人の男が壁を背にして座っていた。
???「アマテラスオオミカミ、イエスキリスト、アブラハム、アッラーヤ...誰でもいい...助けてくれ。おれはこんなところで死にたくねぇ~。」
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翌朝 ワトソン邸
私の名前はジョン・B・ワトソン。超有能考察評論家だ。彼はシャーロック・D・ホームズ。知る人ぞ知る超変態考察者だ。私は彼とコンビを組み、2年の時を経て、不可能と言われるワンピース解読について挑んでいる。
私は朝食に食パンとホットミルクをチョイスした。食パンをトースターで焼いている間に目玉焼きを作り、こんがり焼けたパンの上に乗せて食べるのが日課である。飲み物にホットミルクを選ぶのは、カルシウム不足になることを防ぐためでもある。些細なことでイライラしてしまうと、とてもじゃないがあの変態と行動をともにすることはできないからね。
朝食をとりながら、ぼんやりとテレビをつけ、朝のニュースをラジオ感覚で聞ききながら新聞を読んでいた。私が新聞を読み終え、ホットミルクを飲んでいる最中に、いきなりそれが飛び込んできた。
ニュースキャスター「次のニュースです。昨夜未明、ある男性がTTSに不法侵入しようと試み、現行犯逮捕されました。」
ワトソン(相変わらず頭のおかしい奴も一定数居るようだな。)
ニュースキャスター「男は犯行の動機として、どうしても聞きたいことがあり、その衝動を抑えることができなかったと供述しており、また、自身はシャーロック・D・ホームズであると意味不明な言動をしており、警察は薬物乱用もしくはテロの疑いで捜査を進めていくとのことです。」
ワトソン「ぷしゅうーーーー」
思わず飲んでいたホットミルクを吹き出してしまう。
ワトソン(えぇ...あいつ何やってんだよ。さすがに引くよ...モノホンのホームズさんもこれにはどん引きだよ。)
ニュースキャスター「えぇ~、TTSでその男の知り合いの何人かにインタビューしましたので、それではご覧ください。」
インタビュー映像
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学生時代の担任の先生「あぁ~、ホームズ君ねぇ~。いつかやると思ってましたよ。彼は高校時代から変わってましてね。『俺は令和のホームズになる』ってよく言ってましたね。きっと名探偵コナンの読みすぎですかね~。ただ、あいつ...高校時代は平成だったはずなんですがねぇ~。なんで令和だって分かったんですかね~。」
ワトソン(そんなこと。この作者が考えてるわけないだろう。)
高校時代の友人「ホームズは確かに変わった子です。それは本当ですけど。でも、人を無闇矢鱈に傷つける子じゃないんです。悪い子じゃないんです。ただ...ただただ彼は...へ...変態なだけなんです。」
ワトソン(フォ...フォローになってないよ...アイリーン)
テレビ画面へ
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ニュースキャスター「以上で映像は終わりです。ここで、本日のゲスト、東京科学技術大学で教授...かの『どんと恋考察検証』の大ベストセラーを執筆した。野崎次郎さんにお話を伺いましょう。野崎さん...この事件についてどう思われますか?」
野崎「まぁ、悲しい事件でありますよね。彼も私のような優秀な相談相手が居ればこんなことにはならなかったかもしれません。まぁ、ただ私に相談すると彼もたちまちこの本の通りに論破されて傷ついてしまうかもしれませんがね。ふっはっはっはっはは。」
ワトソン(なんでだろう。妙に鼻につくやつだな)
ブゥー...ブゥー...ブゥー
ワトソンのスマホのバイブ音が鳴り響く。
ワトソン「もしもし、ワトソンです。あぁ、ポワロさん...ニュースは見たかって。えぇ、今ちょうど見ていますよ...ホームズの件のニュースを。いえいえ、ポワロさんの手は煩わせませんよ。私の方で・・・えぇ・・・今回は任せてほしいと・・・珍しいですね...ポワロさんが協力的なのは・・・何?・・・少し伝手を頼ってみると・・・はぁ...分かりました。今回はお任せしたいと思います。何かあれば、またご連絡を...それでは。」
ワトソン(まったく、次から次へと面倒事を引き起こしてくれるよ...あの変態は・・・しかし、ポワロさんには伝手があると・・・どんな伝手があるっていうのだろう。まぁ、変に邪魔をすると火の粉が降りかかってきそうだから...今回は任せるとするかな。)
そう決断するとワトソンは、朝食をたいらげ仕事に向かうのであった。
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拘置所 面会室
俺の名はシャーロック・D・ホームズ。わけあって、今・・・拘置所に身柄を拘束されている。本名をこの作者がまだ決めかねているため、尋問官に名前を聞かれた俺は、とっさに佐藤和真と名乗ってしまったが、嘘を看破する魔道具を尋問官に使用されていたためソッコーで嘘がばれてしまった。さらに、嘘をついてしまったが為に尋問官への心証が悪くなった結果、拘置所にて拘束されていたが、深夜にエクスプロージョンなる謎の放火が行われることもなく、一人寂しく拘置所にて一晩を過ごしていた。先ほど、警官から面会の申し出を受けたとのことで面会室にて待機している。こうして、面会室で椅子に座っていると、これはもしや安楽椅子探偵っぽいのではと...一度やって見たかったと...不謹慎にもこのシチュエーションにちょっと喜んでいるのであった。
タっ、タっ、タっタ(人が歩いてくる物音)
しばらくすると、面会室のドアが開き、二人の男女が入ってきた。男の方はスーツを着ており、ガタイもよく、ダンディな男のように見えた。スーツ超しからでもわかる、その大きな大胸筋から学生時代にラクビーでもやっていたのだろうかと思ってしまうほどである。もう一人の女は高飛車そうでプライドも高く、まるで、元カレの遺言状の主人公のような女性のように見えた。じっと観察していると、その女性と目が合ってしまった。目が合った瞬間、互いにしかめっ面をし、ほぼ同時に互いに呟いてしまった。
ホームズ&その女性「げっ・・」
ガタイの良い男「どうしたのかね。毛利君...早く席に着きなさい。面会時間も限られているんだ。手短に済ませよう。」
毛利麗子「すいません。偽澤さん。少し驚いてしまいまして、ニュースを目にした時から覚悟していましたが・・・まさか本当にこの男が捕まっているとは...願わくば同性同名の誰かであってほしかったもので。」
ホームズ「シャーロック・D・ホームズで同性同名になるのは、こと日本ではいささか無理があるだろう。」
毛利麗子「黙りなさいホームズ。日本じゃなくてもそんなアホな名前あんたしか名乗んないわよ。」
そう言い放ちながら席に着くと隣のダンディな男こと偽澤がすぐに話を始めた。
偽澤「初めましてホームズ君。今回面会に来たのは、実はポワロからの頼み事でね。彼の話を聞いて頂けないかとお願いされてね。はじめは断ろうかとも思ったが、少し気が変わってね...もしかしたら、VIVANのネームドキャラに会えるかもしれないかもと・・・。私も仕事柄VIVANには何人も会ってはいるが、コードネームをもらっているのは、ポワロくらいしか会ったことがなくてね。物珍しさ目当てに君に会いに来たわけだよ。それで、単刀直入に聞こう。お前が...VIVANか?」
そう言われるとホームズはうっすらと笑みを浮かべ頷いた。
ホームズ「もしかして、VIVANTの原作者の方ですか。お会いできて光栄です。貴方にお会いするためにTTSにお伺いしたのですが、何か誤解があったようで・・・今このような状況になっております。」
*本当は偽澤でなく福澤ですが、この作品がフィクションであり、またVIVANTとは全く関連のない作品であることを強調したいため、偽澤と表記しています。間違っても本家本元に迷惑をかけないよう静に、この作品をお楽しみください。
毛利「いったいどう転べばこんな状況になるのよ・・・」
っと頬に手を当てながら若干呆れた顔をして冷たく言い放った。
偽澤「それで、私にどうしても聞きたかったこととは何かね。」
ホームズ「はい、どうしても聞きたかったことはありますが、まず、それを聞く前に話をしなければならないことが幾つかあるのですがよろしいでしょうか?」
偽澤「構わないが、面会時間も限られている。手短に頼むよ。」
ホームズ「善処いたします。」
そう言うとホームズは、徐に額をトントンと叩き、頭のギアを上げ始めた。
ホームズ「そう...そうだな。まず私の聞きたいことを話す前に、まずVIVANTのドラマに仕掛けられた幾つもの謎について解き明かさなければならない。」
毛利「謎?・・・」
ホームズ「おや、気づかないかいルブラン。このドラマに仕掛けられた幾つもの謎...そうだな...こだわりとも言っていいものに。」
偽澤「ルブラン?」
ホームズ「学生時代のあだ名ですよ。もしかして存じ上げませんでしたか?彼女はVI...」
毛利「ホームズ・・・」
そういうと、彼女はホームズを睨み上げ威嚇にも似た表情を浮かべた。
ホームズ(なるほど、それについては秘密ってわけね)
ホームズ「話を戻しましょう。VIVANTというドラマには、ドラマ本来の面白さにあまり関係のない謎のこだわりが施されている。まず、この謎を紐解いていきましょう。」
偽澤(こだわり・・・まさかな?)
ホームズ「まず、このドラマは異常なほど数字にこだわって制作されています。私の推理が正しければ登場人物に以下の数字が付与されていることになっているはず。口頭で説明するとかえってわかりづらいので箇条書にして解説していこう。」
乃木憂助・・・VIVANTの主人公であり、Fというもう一つの人格を持つ。乃木の乃は分解すると数字の13となることから、乃木には13の意味が付与されている。
野崎守・・・警視庁公安部外事第4課課長であり、付与された数字は0である。ゼロは警察庁警備局警備企画課に属しており、任務は全国で行われる協力者運営の管理と警視庁公安部・各道府県警察本部警備部に存在する直属部隊(作業班などと呼ばれる)への指示と教育であることから推理した。まぁ、コナン知識から得たものですが・・・
黒須駿・・・別班の工作員。黒須から、Xが連想され、Xはローマ数字では10であることから、10が付与されている。
鈴木祥・・・公安部外事第4課の捜査官。山本の身柄を捕獲する際に、放送当時意味の解らない十字を描いて神に祈るシーンが放送されており、十字マンと愛されていた。今思えば、この違和感から、私はこのドラマを考察してみようと思った。
柚木薫・・・WHI(世界医療機構)の医師。VIVANTの表紙を飾った際にVIVANTのIの位置に立っていたことから、I...ローマ数字で言えば1なので柚木さんには数字の1が付与されている。
ホームズ「このように、VIVANTはいくつかの登場人物に数字が付与されています。」
毛利「それで・・・もし仮にあなたの言った通り数字が付与されているからってなんだっていうの?」
偽澤「・・・・」
そう言われるとホームズはどこから取り出したかわからない伊達眼鏡を掛けてゆっくりと言い放った。
ホームズ「ふふ...失礼ながらお嬢様・・・この程度真相がお判りにならないとは・・・お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」
毛利「なななななな...なっ!誰がアホですって?大体あんたにお嬢様って呼ばれる筋合いはないわよ!」
ホームズ「学生時代...私や”彼”を執事のように扱き使ってきたお方の発言とは思えませんね。あれですか?あれ?好きな子に意地悪したくなる的な?その女の子バージョン的な?あれですか?」
毛利「きぃーーー!!クビよ!クビ!クビ!」
偽澤(毛利君にこんな一面があったなんて!少し萌える。)
ホームズ「いくらお嬢様の目が節穴であっても、読者の皆々様は違いますよね。それでも、この謎解きには少々時間がかかると思いますので・・・ですから...どうでしょう・・・”謎解きはゴールデンウィークのあとで”...がよろしいかと」
そうゆうとホームズはどこから取り出したかわからない伊達眼鏡をくいっとするのであった。
VIVAN《変態》と呼ばれた男(前編) 完
今回は、私の目が節穴でございました。登場人物を増やすと話が長くなることを忘れており、全然終わらない状況を作りだしてしまった。夜なべすれば何とかいけるやろっと高を括っていたら、どう頑張っても終わる未来が見えないので、前編と後編に分けました。第5話の考察は、考察というより妄察に近いものなので、一話完結にしたかったのに申し訳ない。そのための苦し紛れの謎ディーでございます。次回は5月11日としましょう。遅れたお詫びに、お嬢様のご期待にたがわぬ結末をお約束いたします(すっとぼけ)。それと、もしかしてなんですが、この作品・・・ワンピーススタッフにばれてないですよね?結構極限までひっそりやってる自信があったのですが、自分が思っているよりも、ひっそり出来ていない?まぁ、バレていようがいまいが、見つけることさえ困難なこの作品を定期的に読みにくる変態達のためにも、当初計画したところまでは突き進んでいく所存です。この作品を生み出してしまったからには、綺麗に締めくくることがたとえできなかったとしても終わらせてあげたいんですよね。ホームズのためにも、自分のためにも。それでは、また。