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竜撃のロキ  作者: 81MONSTER
プロローグ【始まりの福音】
2/2

第2話【竜撃者レイア】



 竜撃ギルドが創設されてから、私の友人が何頭か討たれてしまった。



 私が知る限りでは、竜を撃てる人間は三人しかいない。

 その内の一人は、すでにこの世に存在しない。



 数少ない竜撃者ドラゴンスレイヤーを愚かにも、人間自らが処刑したのだ。



「アンタ、女だてらにどうして竜撃を?」



 剣士風の男が、声を掛けて来た。風貌こそは剣士であったが、腕輪型の魔力ブースターを付けている。

 恐らく、魔術を使用するタイプの剣士なのだろう。



「人を探している。気安く話し掛けないでくれ」



 素っ気なく答えると男は一瞬、顔をしかめはしたが仲間たちの元へ帰っていった。

 どうして人間と言うのは、こうも愚かしいのだろうか

 彼女の時もそうだった。




 かつて私には、人間の友が居た。彼女は竜である私から見ても、美しい女であった。

 想わず見惚れてしまうほどである。



 彼女の名は、レイア。



 高潔な心を持った素晴らしい友だ。私は彼女の事が好きであったし、きっと彼女も同じ気持ちであったに違いない。

 誤解がないように、彼女に言った事がある。




 ――私はレイアが好きだ。だが、それは友としてだ。人間で言うところの恋だとか、愛と言う物は、我々には存在しない。




 驚いたような顔をしてはいたが、彼女は直ぐに大笑いをしていた。



 見識な彼女の事だ。私が言うまでもなく、理解し得れた事ではあった。浅はかな発言をしたと、珍しく羞恥の念を覚えていた事を記憶している。



 それに彼女はヴァリアンテの王妃であり、王の子供を身籠っていた。

 王を心の底から愛しているように思えた。



 ところがその王は、愚かしくも彼女を処刑した。カイザー・ドラゴンと逢っていた事が原因だ。

 彼女は私と手を結び、王国を乗っ取ろうとしていたと懸念したのだ。

 彼女は娘が産まれたその日に、王達に処刑された。



 怒り狂った私は、彼女の娘を奪い、王国を滅ぼした。

 彼女の娘に私は己の魔力と名を分け与え、育てる事にした。


 娘は清らかに育ち、彼女に瓜二つに育った。そして今日、娘は二十歳の誕生日を迎えた。




「竜が出たぞ!!」



 直ぐ近くで、怒号が鳴り響いていた。

 火竜ファイヤー・ドラゴンの鳴き声で在った。

 船の外を見ると、溶岩の中から火竜ファイヤー・ドラゴンが姿を現していた。



「全員、戦闘配備に着け!!」



 この船の船長らしき初老の男が、ときの声を上げる。



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