同盟
はじめて来た異国の地、首都セレスニアの市場に訪れていた俺とカヤは天真爛漫なお姫さまことサクラ姫にさっそく振り回されていた。言葉もわからない異国の地でよくもあんなにはしゃげるものだ。
「ユキナガ!通訳!此奴はなんと言っておるのだ?」
「ハイハイ、えーとですね観光ですか麗しいお嬢さんと仰っておりますね姫、あと色々サービスしてくれるみたいですよ。」
「なぬ!?サービスとな!ならば店主よこれとこれとあとこれもくれ!」
姫は商品と思わしき雑貨に指をさす。
「すみません、これで足りますか?」
俺も初めて使う異国の通貨、足りているか店主に確認をとる、すると店主はにっこり笑いながら問題ないというジェスチャーを送ってくれた。それを見て少しホッとした。
キラキラした目を輝かせながら雑貨をみる姫は俺の苦悩など気にもとめていないだろう。
「す、すみませんユキナガ様、本当ならば止めなければならないところ。」
「いいさ、喜んでいる姿が見えてよかった」
「あんちゃん、観光かい?ここらでは珍しい格好だが」
「ええセレスと新たに同盟したヤマトの者です。」
「おおヤマトの!あんちゃんが噂のサムライという奴かい?俺はマックス、見ての通り雑貨屋の店主だ。」
「噂ほどかどうかは分かりませんが私はヤマトのサムライ、名は幸長シドウと言います。以後お見知りおきを。」
「おうおうカタイな、気楽に行こうぜユキナガ!!」
なんというかこの国の人たちはこんなお調子者だらけなのか?まあ堅苦しいのもあまり好きではないのでありがたいが。
「まあ観光ではなくあくまで仕事ですマックス殿」
「おうそうか、まあ仕事でも観光でも関係ねえ!またいつでも寄ってくれよ、いろいろサービスするからよ」
「ユキナガ!!さっきから此奴はなんと言っておるのだ!!通訳してくれ!」
「またいつでも来てください色々サービスしますよって言ってます。」
「む!そうか!ならばまた来るぞ。」
にっこり笑うサクラ姫は年相応の表情を見せた、さっきまで戦争について顔を曇らせていたが、やはりそんな顔は彼女には似合わない、姫がずっと笑っていられる様に頑張らないとな。
「それはそうとカヤ!」
少し離れて見ていたカヤのもとに姫は小走りで走る、どうかされましたか?と尋ねるカヤに姫は
「そなたにはいつも世話になっておるからなこれはそのお礼じゃ!!」
そう言って姫は赤い布のようなものを彼女に渡した。