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勇者に告ぐ  作者: 鈴木チセ
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王は操り人形

私はこの王宮で働く役人だ。この王宮では表向きは国の中心。しかし、実際は王は操り人形だ。操り人形というのは揶揄していう言葉ではない。本当に、王は動かないのだ。いつ、いかなる時も王座から立ち上がることはない。王の部屋も形だけのもので、ずっと王は部屋に帰っていない。そして、皇太子殿下とお話しすることさえない。ただ、目を開き、王座に勇者が来るのを待ち続けおられる。その姿を見た国民は王を死体と噂し、画家はその堂々たる姿に感銘し、何枚もの肖像画を描いた。そして、私たち役人は王を勇者の操り人形と呼んだ。彼がきてから国はおかしくなってしまった。勇者が何をしようとも、罰せられることはない。彼はどれだけ人々の金品を盗み、魔物をけしかけ、農場を荒らしただろう。しかし、私たちは王を諌めることはしない。過去に王を諌めた大臣は、勇者への醜い嫉妬だと笑われた上に、勇者の名誉を損ねたとして追放になってしまった。忠臣と名高く、王自身も勇者が来るまでは右腕と認めたあの方を追い出すような王に今更誰がついていくというのだろう。忠臣であった大臣でさえそのような扱いなのだ。私達には首がいくつあっても足りないだろう。しかし王は悪くない。なぜかそんな気がするのだ。最近では何者かが頭の中で王を名君と呼び、勇者を褒め称え始めている。きっと王にもこの異変が来てあのようになってしまったのだろうか。

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