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町長は頭が痛い
「町長、またやられました!」
目の前にあるのは割られた壺。中のものはすべて取られていた。
「何故、こんなセコセコと、、、、。」
思い当たるのはやつだけだ。そう。勇者の皮をかぶった悪魔。ここの壺は職人たちが丹精込めて焼き上げてくれたもの。それを叩き割るとは。しかし、あんなのでも勇者は勇者だ。私たちには何も出来ない。どれだけ痛めつけられても私たちは動きを止めることは出来ない。一生、あいつらにいたぶられ続けるのだろう。破壊された壺も少しの時間さえあれば私たちは壺を元の位置に戻す。それが上からのお達しだからだ。町長として、皆の代表として、奴に物申してやろう。そう思うのに私の口はいつも言いたくもない歓迎の言葉を口にしてしまうのだ。