村娘です。勇者パーティにただの村娘がいますよ?抜けれませんとは?追放ざまぁも出来ないので追放して下さい。お願い致します。(村娘二人目)
とある宿屋にて、勇者パーティ全員が集まっていた。
勇者様、聖女様、騎士様、そして、村娘の私。
私の目の前の勇者様は、ご立腹のようだ。
「何が不満だって言うのだ」
私は、ここ三ヶ月程、勇者パーティにいます。
パーティに護衛されている、とかではないです。
本当に……メンバーとしてなんですっ。
村娘の私が、勇者パーティをいまだに抜けさせて貰えていないなんて……。 ある?
「不満なんて……。だから……私はただの村娘。村人なんです」
「不満がないだと? なら、満足と言う事じゃないか」
…………。
まって、まってよ。私は村娘だって。
戦闘なんて出来ないし、むしろ自分の身すら守れない。
戦力増強どころかマイナスですよ?
「金か?俺たちの金じゃ足りないのか?」
「いえ、国家予算に組み込まれるぐらいですから、貰いすぎかと」
神様。金でつってくる勇者です。
人選ミスですか?
「まぁまぁ、落ち着いて。別にいいじゃない」
聖女様、私は落ち着いています。
いいじゃないと言えるあなたは本当に聖女様?
聖女じゃなくて、脳ミソ幼女様だったの?
「いいことを教えてあげるは村娘ちゃん、かわいいは正義よ」
騎士が重い口を開く。
「かわいいは、正義だっ」
言い方よ。私が幼女って思ったから読んだの?
騎士も意味わかってます?
物理耐性以外にも、かわいさの耐性も上げとけよっ。
勇者もつづく。
「かわいいには……誰も勝てない」
かわいいで魔王倒す気なの?
お、お前のかわいさには勝てない。
俺の負けだ。殺せ。
って魔王なる?ねぇなる?
かわいいで魔王を倒した伝説の勇者の話をきかせてーって子供が言うの?
そんなの聞いちゃったら、私だったらその子の将来大丈夫かなってなるよ。
カンカンカンカンッー。カンカンカンカンッー。
警報の鐘だ。
どこからともなく聞こえた。
「ドラゴンだーっ」
「みんな、行くぞっ」
ガシッ。
私も? と思った瞬間、騎士に担がれていた。
ギルドさーん。ここに人さらいがいまーす。
私達はまるまると大きなドラゴンの前にいた。
前衛は騎士、その後に勇者、後方に聖女。
私はそのまた後方の姫……じゃなかった村娘だ。
目の前で三人が必死に戦っている。
やはりと言うべきか、圧倒的だ。
勇者パーティだけあって強い。なかなかやるな。
そぅ、私は見ているだけ。
ちょっとだけ、カッコ良く言ってみると……。
私はただ、みんなの帰りを、祈っているだけなの。
戦場じゃなくてもいいよね?
「危ないっ」
死ぬ間際の最後のドラゴンブレス。
そして、ドラゴンは倒れた。
一番弱そうな私を狙ったのか?
私のパーティよりは賢い。
さすがと認めよう。私こそが最弱である。
私が死んで、このパーティに村人が入らない事を祈ろう。
私は目を閉じた。
アーメン私。殺したのは、目の前の三人です。
…………。
「キャアアアアーっ」
私の声ではない。目を開けると、聖女様が私の盾になっていた。
「聖女様、ど、どうして?」
「村娘ちゃん……。あなたは……正義」
…………。 バカ?
その後、騎士のポーションで聖女は回復した。
その時には、騒ぎを聞き付けた人達が集まっていた。
勇者は勇者らしくしている。
「みんな、やったぜ」
おぉー。スゲー。流石だと声があがる。
ちょっと、ほら、勇者さん。
周りをよく見て、勇者様と聖女様と騎士様と……誰?って顔してるよ。
「さぁ、俺達の次の冒険に、出発だっ」
冒険しないから私、村人なんだよ?
クスッとなる所はありましたか?
こちら、連載版も投稿してます。
よかったらそちらも、読んでみて下さいね。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
コメディーに祝福を。