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78 試練の塔①

最近、知り合いとの雑談の中で、自分の書いている小説が本にならないかなー、と自分の今の目標を知り合いに零してみたら、「寝言は寝てから言って」的な事を言われてしまいました(泣)。


今後も精進いたします……。


後、PV数が昨日の時点で200万を突破しておりました!! 皆様、本当にありがとうございます!!

 アメリアの手によって転移させられたマルティナは、突如として目に映る光景が一変した事に驚きと困惑を隠す事が出来なかった。


「っ、一体、何が……?」


 マルティナが転移させられたその場所は先程の小屋から一変し、何処かの屋内にある大きな訓練場を彷彿とさせる様な巨大な空間だった。床は全面が石畳で作られており、耐久性が高そうだと感じさせる。

 だが、辺りに物という物は一切なく、殺風景極まりない。唯一印象的なのは、この空間の最奥にある上層階へと続くであろうと思われる階段だけだ。周囲の光景を見たマルティナは思わず呆然とする。


「……ここは……一体……?」


 マルティナには当然の様にこの場所に見覚えはない。と、ここでマルティナは重要な事に気が付いた。少し前まで自分の手を握ってくれていた筈のクリストフが自分の傍からいなくなっていたのだ。


「っ、クリスはっ!?」


 その事に気が付いたマルティナは慌てて自身の周囲を見渡すが、何処を探してもクリストフの姿は見当たらない。


「クリスっ、何処にいるのっ、クリスっ!?」


 マルティナの脳裏に、クリストフはアメリアによって殺められたのではないかという最悪の可能性が過り、それを払うかの様にマルティナは必死にクリストフの名を叫び続ける。


「クリスっ、お願い返事をしてっ、クリスッ!!」


 すると、必死にクリストフの名を叫ぶマルティナの耳に突如としてアメリアの声が聞こえてきた。


「あはははっ、ティナ、想い人と引き離された気分はどうですか?」

「アメリア……」

「貴女の慌てふためく姿を見るのはいい気分です。態々あの状況を演出した甲斐がありました」


 そう告げるアメリアの声はこの場全体に反響する様に響き渡っている。これでは、この声の主であるアメリアが何処にいるか、全く分からないだろう。

 だが、自分の声がアメリアに届いている事が分かったマルティナはアメリアに聞こえる様に必死に叫ぶ。


「アメリアっ、クリスはっ、クリスは何処なの!?」

「ふふっ、貴女の想い人である彼、クリストフの身柄は私が預かっていますよ」

「そん、なっ……」

「因みに、もう一つ良い事を教えて差し上げます。今の彼の生殺与奪の全ては私が握っている状態です。生かすも殺すも私のさじ加減一つですよ」

「……っ、お願いっ、クリスを、クリスを返してっ」

「勿論、返して差し上げるつもりです。貴女が私の用意したゲームに勝利すれば、ですけれどね」

「ゲーム……? どういう事なの……?」

「彼をあの小屋まで招いたのは、このゲームの景品とする為なのです。だからこそ、貴女がゲームに勝利すれば彼の身柄を貴女に返して差し上げましょう」


 アメリアは心の中で、彼をあの小屋まで招いたのはそれだけが理由ではないのですがね、と小さく呟いた。だが、当然その呟きはマルティナには聞こえない。

 そして、その後もアメリアは更に言葉を続けていく。


「此度のゲーム、名付けるとするなら試練の塔、といった感じでしょうか。貴女はこれからこの塔で試練に立ち向かいその果てに想い人を取り戻すのです。

 では、早速ルール説明に入りましょう。ルールを最後まで聞いてから、参加するかしないかを選んでください」


 その言葉にマルティナは思わず息を飲む。そんな彼女の様子を知ってか知らずか、アメリアは今回のゲームのルール説明を始めた。


「今、貴女がいる場所はとある場所に建てられた大きな塔の一階の部分です。貴女には制限時間内にこの塔を上ってもらいます。ですが、この塔にはそれぞれの階層で番人となる敵が一体だけ配置されています。そして、それらを倒さない限り、次の階層には進めないという仕組みになっています。それらの敵を倒して貴女にはこの塔の最上階である五階を目指してもらいましょう。

 まぁ、分かり易く言うのなら、このゲームは『制限時間内に敵を倒してこの塔の最上階を目指す』という簡単なルールですね。まぁ、学院の魔術学科でトップクラスの成績を収めている貴女なら難しいゲームではないと思いますよ。

 ですが、もし貴女が制限時間内に最上階まで到達できなかった場合、彼の命は失われるのだと思ってください」


 実は、マルティナは学院では魔術学科に属しており、その成績も優秀だった。更には、いざという時の為に戦闘訓練の授業も受けている。その為、マルティナは戦いに関しては素人ではなく、魔術を使った戦闘ならばある程度はこなせるのだ。


「このゲームにおいての貴女の勝利条件ですが、先程言った通り、この塔の最上階である五階まで到達し、クリストフを取り戻す事が出来れば貴女の勝利としましょう。

 そして、貴女の敗北条件ですが、貴女が死んでしまった時、或いはクリストフの命が失われてしまったその時、貴女の敗北となります。

 もし勝利条件と敗北条件の両方を満たしてしまった場合ですが、その時も貴女の敗北となります」

「……分かったわ」

「これが最後の説明ですが、もし貴女がこのゲームに勝利すれば、私はこれから貴方達の命を狙わない事をお約束いたします。その代わり、貴女がゲームに負ければ私からの罰ゲームを受けてもらいましょう。

 さて、ここまでルール説明をしましたが、その上でゲームに参加なさいますか? まぁ、もし貴女がゲームに参加しないという選択をするのならその時点で彼の命は保証出来ないのですが、ね」


 アメリアはゲームに参加するかしないかという選択をマルティナに委ねているが、クリストフの命が掛かっているとあれば、マルティナにはゲームに参加するという選択肢しかない。もし、ゲームに参加しなければクリストフの命の保証が無いというのなら尚更だ。


「……クリスを取り戻す為ならなんだってするわ。そのゲームだって参加する」


 そして、当然の様に、マルティナはゲームに参加するという選択をしてしまった。


「いいでしょう!! 乗り気の様ですね。この男をゲームの景品にした甲斐がありました!! では最後に、これからこのゲームに参加する貴女へのサービスです」


 すると、次の瞬間、マルティナの前に巨大な木箱が現れた。それを見た彼女は訝しげな視線を木箱へと向ける。


「これ、は……?」

「それは、貴女へのプレゼントです。その中にはこれから待ち構える番人達と戦う為に必要になるであろう装備一式が入っています。

 では、これよりゲームを始めましょう!! 貴女の奮戦を期待していますよ、ティナ」


 そして、その声を最後にそれ以降はアメリアの声が一切聞こえなくなった。


「……彼を取り戻すには、行くしかないのね」


 それから数分後、クリストフをアメリアの手から取り戻す為に塔を上る覚悟を決めたマルティナは彼女が用意した箱を開け、その中にある装備一式を取り出して、それらを身に着けていく。そして、彼女はこの場にある唯一の階段を上り、この塔の二階へと向かうのだった。




どうやら、最近なろうの評価システムに変更があったようですね。評価の手順が簡略化されたようで、ワンタッチで簡単に出来る様になったり、☆のシステムへと変わったりしたようですね。自分も、驚くほど簡単に評価ポイントを入れる事が出来る様になったな、と感じています(笑)

評価は執筆のモチベーションに繋がりますので、この機会に評価がまだという方は、是非とも評価の方をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] さりげなくどんな試練をするのか予想できる伏線張るの好き
[良い点] 良いか悪いか微妙ですが、しつこいざまぁですかね? [気になる点] 書籍化…それは甘い罠。 ・昔と違い今は節操なく乱立し過ぎ、それ系の本屋のコーナーに百~数百種類、電子書籍では千越えしてる。…
[一言] あ…… 結末わかってしまったかもしれん。 >クリストフの身柄は私が預かっていますよ >まぁ、分かり易く言うのなら、このゲームは『制限時間内に敵を倒してこの塔の最上階を目指す』という簡単なルー…
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