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婚約破棄を告げられ、処刑されかけた悪役令嬢は復讐令嬢になりました ~古代魔術で裏切り者達を断罪する復讐劇~  作者: YUU
第三章

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58 捕食する怪物

三週間ほど更新も出来ずに申し訳ありませんでした。年末という魔境でかなり悪戦苦闘しておりました。(今年は例年を凌ぐ程の忙しさでした……)

おかげでこの小説に関する事が何も出来ていません。ですが、それも落ち着いてきたので、今後は何とか更新速度を元に戻したいと思っております。


また、リハビリ感覚で書いている側面もあるので、おかしな所があるかもしれませんがご了承ください。

「ギャアアアアアアアアアア!!」

「っ!! 散れぇっ!!」


 怪物が叫び声を上げながら、彼等が集まっている場所へと駆け寄っていく。だが、その直後、一つの場所に集まっていると怪物に一網打尽にされると考えたネビルは大声で散開する様に指示を出した。その指示を聞いた他の者達はすぐさま散開して、次々と怪物から距離を取っていく。


「グルルルルルルッ」


 そして、怪物は、先程までネビル達が集まっていた地点まで到達したかと思うと、散開した彼等を見て唸る様な声を出した。狙っていた獲物達が四方八方に散った事で少し困惑していたのだろうか。

 その後、怪物は散開した彼等の姿を一人ずつその目に収めていく。怪物のその目はまるで獲物を選別しようとする獣の目だった。


 そして、怪物は誰を狙うかを定めたのだろう。直後、彼等の内の一人を獲物だと定めた怪物は、一瞬だけ口元を歪めた直後、脇目も振らずにその獲物だと定めた男の方へと直進していく。


「くっ、私かっ!?」

「グアアアアアアアアア!!」


 怪物は四肢を上手く使い地面を蹴る事で加速していく。その速度は大地を駆ける野生の獣を遥かに凌ぐ程の速度だった。

 だが、怪物に狙われた男にしてみれば、自分の方へと一直線に向かってきているという事は、怪物の動きが単調であるという事でもあった。そして、彼が選んだ武器は成人男性の肩までの長さがありそうな大剣だった。これを上手く使えば、怪物の突進を受け止められるかもしれないと考えた男は、大剣の腹を怪物に向ける様に構える。

 その直後、男は持っていた大剣の腹で、一直線に自分の方へと向かってきている怪物の突進を受け止めた。


「今だっ!! やれっ!!」


 怪物の突進を受け止めた男はその直後にそう叫ぶと、その声に反応した他の武器を持った男達は今の状態を好機と捉え、各々の武器を構えて怪物の方へと走りながら向かって行った。そして、彼等は走る勢いをそのままに一斉に持っている武器を怪物に目掛けて振るう。


 だが、怪物は回避や防御をする仕草を見せることは無い。怪物には、そこまでの思考能力は無かったのだろう。そして、怪物は辺りにいる男達が振るった武器による一撃をそのまま受けてしまった。


「グギャアアアアアアアアアアアアア!!」


 そんな怪物の叫び声がこの場に響き渡る。彼等が怪物に与えた傷口からは血であろうと思われる赤い液体が零れ出ていた。


 それを見た彼等は一瞬だけ、満足げな笑みを浮かべた。思いの外、呆気なく怪物に手傷を負わせる事が出来たのが嬉しかったのだろう。


 だが、怪物の体に変化が起きたのは、彼等が満足げな笑みを浮かべたその直後だった。


 ―――――グチャ、グチャ、グチャ、グチャ


 なんと、そんな音と共に先程彼等が与えた傷がまるで再生するかの如く、傷が塞がっていっているのだ。そして、怪物が傷を負ってから十数秒後には先程出来た傷は完全に塞がってしまっていた。


「そんな……」


 怪物のそのあまりの再生速度に彼等は思わず呆然としてしまった。だが、その思考の空白は怪物にとってみれば大きな隙でしか無い。


「グギャアアアアアアアアアアアア!!」


 傷が完全に治った怪物のその叫び声で我に戻った彼等は今にも自分達に襲い掛かろうとしている怪物の姿を目にすると慌てた様子でその場から退避しようとする。


 だが、全員がその叫び声への反応と退避の判断をあの一瞬でできる訳では無かった。彼等の内の一人の男は、一瞬だけ退避の判断が遅れてしまったのだ。この場において、一瞬の判断の遅れは致命的な隙となる。


「っ、しまっ!!」

「グギャアアアアアアアアアア!!」


 怪物にしてみれば、逃げ遅れた男は絶好の得物だったのだろう。そして、怪物は逃げ遅れた男に狙いを定めるとその鋭利な爪を以って、男の足の付け根を切り裂いた。逃げ遅れた男は足の付け根を切り裂かれた事で姿勢を崩し、片足を地面へと付けてしまう。

 その直後、逃げ遅れた男は怪物に覆い被さられる様に押し倒されてしまった。


「っ、くっ!!」


 男は慌てて逃げようとするが、怪物に乗りかかられている為にうまく逃げる事が出来ない。すると、怪物は無数の鋭利な牙が目立つその口を大きく開き、そのまま男の右足へと口を近づけていった。


「な、なにを……」


 だが、怪物は男の言葉に反応を示す事は無い。直後、怪物は、グシャリ、という何かを噛み千切った様な音と共に男の右足を勢い良く捕食する。


「ぎゃああああああああああああああああああ!!」


 男は右足を喰われた痛みから思わず耳を覆いたくなる様な甲高い絶叫を上げた。

 そして、痛みで絶叫を上げる男を横目に、怪物は咀嚼する様にモグモグと口を動かしていた。怪物が口を動かす度、ゴリッ、ゴリッという音がこの場に響き渡る。

 それは、怪物が男の足にあった骨を砕く音だ。怪物は足の骨をその牙で砕いて飲み込もうとしているのだ。やがて、怪物は咀嚼を終え、嚥下したような様子を見せたかと思うと、口元を歪める。そして、再び口を大きく開き、今度はその口を男の残されたもう一つの足の方へと近づけた。直後、右足を失い、悶絶する男に残されていた左足をも勢い良く捕食してしまう。


「痛い痛い痛い痛い!! があああああああああああああああああ!!」


 両足を怪物に喰われた男は再び叫び声を上げるが、怪物はそれを気にする事無く、先程の光景を再現するかの様に再び口の中にある男の足の骨と肉を咀嚼し、嚥下した。


 そして、怪物は男の両足を食らった後、捕食の対象を今度は腕へと定め、一気にその左腕、右腕と続けて喰らっていく。両足を失った後、あまりの痛みに男は気を失ってしまい、両腕を食らわれた時には、もう痛みによる絶叫を上げる事すら出来なくなっていた。


 怪物に自らの体を喰われている男は四肢を喰われる度、その傷口から膨大な血が流れだす。その大量の血は『血染めの闘技場』の名の通りに、この闘技場を埋め尽くさんと地面へと広がっていく。


「グギャアアアアアアアア!!」


 怪物は男の両足、両手を喰らった後、次に胴体を食らい、最後には残った頭部すら一口でペロリと捕食していく。


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 そして、怪物は男の体、その全てを自らの腹に収めた直後、満足げな叫び声を上げるのだった。




もしこの作品を面白いと思って頂けるなら、ブックマーク登録、ポイント評価をして頂ければ幸いです。今後の更新への大きな励みになりますので、是非ともよろしくお願い致します!!


感想やレビューもお待ちしておりますので、是非よろしくお願いいたします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 逃げ場なんてないんだから一人食べられてるのを眺めて無いで攻撃しようよ。
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