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魔王「その剣、ちょーだい」

魔王「その剣、ちょーだい」7



遠くにあった映像の一つが、突如音を立てて割れた。



何か小石でもぶつけられたように。

ガラス細工のような儚さを伴って。




「結局、あんたの目的って何なのよ。どうしたかったわけ?私と彼女をさ」




私がそう問いかけると、調停者は何も言わず、その腰に差した剣を抜いた。



私もそれを見て、腰の聖剣をいつでも抜ける体制に入った。





「なに、やろうって言うの?」




「いえ、全く」




調停者は近くにあった映像靄に近づいた。


そこでは、私と魔王様が頬っぺたを引っ張り合って喧嘩をしている映像が流れている。




調停者は剣を持たない左手で上着の胸元に手を差し込むと、中から掌大の水晶玉を取り出した。




「もう少し時間がありますから、折角ですし貴女に私のお仕事でも紹介して差し上げましょう」



「なんだ、そりゃ」




調停者がその水晶玉を映像靄に優しく押し当てる。


すると、水晶玉は映像靄の中に飲み込まれ、その姿を消した。






遠くで、映像靄がまた一つ、パリン――と音を立てて割れた。





水晶玉を埋め込んだ映像靄は、そこに映った私と魔王様の姿をぐにゃぐにゃと曖昧にしてしまう。



やがて、そこには別の映像が流れ始めた。




「あ……」



そこに映し出されたのは、




写真でしか見たことが無い――私の母の姿だった。









魔王「その剣、ちょーだい」7 -終-

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