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ガールズトークは男子禁制

俺はその日は内藤と別れ家に帰ることにした。そして、内藤にはあることを頼まれていた。

つまるところ、こういうことだった。雨姫が自分のことをどう思っているか聞いてほしい、と。それと雨姫に好きな人が居るかどうか聞けということだった。

いくら部外者とは言え簡単に聞けと言われても困る。だがアイツの気持ちを思えば聞いてやらんこともない。

心の奥でスイッチが切り替わる音がした。


「あのさ、雨姫。久しぶりの学校どうだった?」

「......普通。」

「だよな。雨姫もだいぶ学校に慣れてきたみたいだからな。」

「でも、リボンのつけ方......」

「アレぐらいなんてことないだろ。気にするな。また覚えればいい。」

「......うん。」


雨姫は流暢には喋らないけれど、その分一言一言に色々な感情がこもっている。今さっきの「うん」は安心した感じの「うん」だった。


「学校も大分慣れて来たし、気になる人も出来たんじゃないか?」

「......!?」


結構自然な流れだ!流石俺!やる気を入れた時の俺は冴えてる!

その時、語り掛けるような声が脳内に響く。


『ほう!面白そうな話じゃな!ぜひワシも混ぜてくれ。』

『いつから入ってきやがった!!ポチ太!』

『最初からじゃよ!小さすぎて気づかれていないとは心外じゃな。』

『出てけ。』

『ワシは面白そうな話を晩御飯の肴にし、良い女を見て目を肥やすだけが生きる理由なんじゃ!嫌じゃ。』

『口出しはするなよ。』

『フンッ!ワシはそこまで野暮ではない!』


「......どしたの?」

「ん?いや、なんでもないんだ。それで、気になってる人とか居ないのか?」

「......いない。」

「ホントかぁ?」


いかんいかん。ついニヤけてしまう。やはり恋バナは青春って感じがする。

青春クソ食らえ派の俺でさえも笑ってしまう。


宗利(むねとし)は?」

「はい!?」


思わぬ逆襲。まさかこのタイミングでそんなことを聞かれるとは!!

俺の好きな人は言うまでもなく小日向さんだ。だがそんなことを馬鹿正直に言うほど俺には恋バナ慣れしているわけではない!


「い、いないけど。」

「嘘。」


鋭い! それとも俺がバレバレなのか?


『ええのぉ。若いモンの話は!』

『うるさい。』


このままではいけない! 相手にペースを握られてしまう! 恋バナなんてものはペースを握った人間が勝つのだ! やる気、出しただろうが!!


「俺には......まぁ気になっている人は居るんだけど。そっちはどうなんだ?」


自分が心を開いたように見せることによって、相手の心も開くように誘導する。

自分が聞いてこいと言われたのは雨姫に気になる人がいるかどうかだ。誰が気になるかまでは聞かなくても良い!


「いない。」

「ホントか。」

「ホント。」

『何じゃ、つまらんのぉ。』

『お前、口出しするなって言っただろうが。この会話の方法、切り替えに結構頭使うんだぞ。』


ホントみたいだ。ここまで来て得られた答えがそれだけと言うのはなんだか釈然としない。

だが雨姫のホントという言葉に嘘は感じられなかった。つまり嘘は言っていない。雨姫はそこまで器用じゃない。


「ちなみにクラスの奴らの事、どう思ってる? だれか嫌いなヤツは居ないか? いたら兄としてネチネチ毒を吐きながらストーカーするぐらいのことはしてやるぞ。」

「......いない。」

「嘘はつかなくて良いんだぞ?」

「いない。みんな良い人。」

「そっか。」


みんな良い人、と言った時に少し表情が曇った。

何かあるのか? 誰か嫌な人間でも居るのか? 人付き合いに慣れていないから、色々な人と話すこと自体が彼女の負担になっているのか?


「良い人過ぎて、困る。」

「......どういうことだ?」

「みんな良い人。自分に優しすぎる。」

「良い事じゃないか。」

「どう接していいか......分からない。」

「そうか。」


その気持ちを言葉にすることは出来ないのだろうと思った。みんなが優しく接してくれるけれど、それに答えることができない。そのことに引け目を感じているのか?


「優しくされた時は素直にありがとうで良いんだよ。それ以上のことを感じる必要はないし、お前にそれ以上のことは誰も求めていない。みんな優しいんだから。」

「......そう?」

「そうだ。......そういえば、アイツはお前にキツく当たったりしてないか? 木原だよ。アイツ調子に乗るとすぐに変な事言い出すから。」

「良い人。」

「内藤はどうだ? 無理な押し付けとかされてないか? アイツ、そこらへん不器用だろ?」

「良い人。」


なんかマズイ予感がしてきた。

良い人という言葉は便利だが、裏を返せば何とも思っていないということだ。特別言うこともないし、悪いこともされていないから、とりあえず良い人という立ち位置なのだ。


「じゃあ......俺は?」

「良い人?」

「何で疑問形なんだよ......」


というか良い人以外の評価の仕方を知らないのか?

これはワンチャンある。内藤の評価は良い人という評価。通常であれば良くも悪くもないということだ。でも雨姫の場合ならその良い人の中にも格付けがあるかもしれない。

もしも内藤の評価が上の方であれば、チャンスはある!

別に応援しているわけではないが。


「宗利は小日向さんのことが好き?」

「......あー、腹減った。メシメシ。」

「晩御飯、もう食べた。」

「......」


鋭い。女の勘というヤツか? やはりバレバレなのか?

もう誤魔化しは効かないのか!?


「まだ気になってるってだけだよ。」

「......言う?」

「小日向さんに言っちゃダメだぞ。絶対だぞ? 絶対言うなよ?」

「分かった。」

「ホントか?」

「うん。」


今の「うん」はどんな「うん」だった!?

全然心が読めなかった!!

これは......俺のうぬぼれが大きいかもしれない。

もしかしたら雨姫の心を読めていなかったかもしれない。考えてみれば、雨姫を子ども扱いしているが実際は10歳も上。俺よりも心理戦で上なのか!?

まだ結果は分からないぞ。内藤。

雨姫......予想以上に掴みにくい性格ですね。

多分、裏表は無いので佐々木君が一人で早とちりしてるだけだと思うのですが......

内藤の恋は果たして成就するのでしょうか?

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