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悪友も教師も人生を彩るスパイスだ

新崎(しんざき)(すぐる)

俺の悪友であり、保育園からの付き合いであり、ずっとクラスも同じ、出席番号も決まって1つ下である。

行事も何かと一緒になり、席替えがクジ引きであろうが席もわりと近くを陣取る。

コイツはいつも面倒事を持ってくる。

正直言ってろくなことがない。

コイツが一緒に付いてくることは偶然ではなく必然なのではないかと錯覚する。

例えるなら……そう、まるで運命の黒い糸で首輪に繋がれて引きずり回されているような感じである。


運動神経抜群、勉学は勉強しなくてもわりといい成績を取り続ける天才肌、眉目秀麗とまでは言い難いがそれでもクラスの中では1番カッコいいとされている。

身長は170cmの俺よりも高く体格も頑丈だ。

というのもコイツはチーターである。

チートは『身体強化』

運動神経もこれで補強している部分が大きいのかと思いきや運動センスの類はチートとは関係ないらしく、身体強化と自前の運動神経で運動が出来るらしい。

俺は良くも悪くも平凡なので、少しだけ、少しだけだが羨ましかったりする。


性格はわりと自信家であり、そのくせ努力は好きな事以外は全くと言っていいほどしないタイプである。

何かにつけて鼻につく。

だがプライドはそんなに高くない。

というのもアイツは自分のできる事を理解しており、できる事以上の事で誇ることはしない。

自分以上に相手が出来れば素直に認め、相手が出来なければ挑発紛いの事もする。

だから他人からの人望も厚く、かと言って人を見下したりはしない。

俺からしてみれば『純粋にちょっとイラッとする人間』って感じだ。


口癖は『俺とお前は運命共同体だからな。』である。

何かにつけて結構な頻度でこの口癖を言い、そしてキリッとカッコつける。

笑顔と言うよりはドヤ顔に近く少しイラッとする。

顔が良いので余計にタチが悪い。


つまり、俺の唯一無二の悪友である。


「俺達の高校生活が始まろうとしてるんだぜ。もう少し良い顔しろよ。スマイルだぜ、スマイル。それともその眉間に刻まれたシワは治らないのか?」

「お前が居なけりゃ刻まれてねぇよ。それにお前がここに来るまで俺は高校生活がちょっと楽しみだったんだ。」

「いやぁ、何かそこまで言われると逆に照れるね。」

「そのポジティブを分けてくれ。そしてここに現れた事を後悔しろ。」

ニヤニヤと笑いながらいつものように毒を吐く新崎にこちらも皮肉を返す。

まぁ挨拶みたいなものだ。


そう言っている間に始業のチャイムが鳴る。

ガラガラとドアが音を立てて開く。

「あだッ!」

教壇の段差につまづきながら入ってきたのは自分と年があまり変わらないであろう若い女性であった。

両手に持った教材と配布物が床にバラバラと散らばる。

最前列に座った女子の1人が手際よくかき集めて若い女性に手渡す。

「あ……ありがとう…ございます。」

小声で顔を赤らめながらそう言ってやっとの思いで教壇の上に立つと、ふぅと一息ついて黒板に名前を描き始めた。

身長は…150よりも小さいんじゃないのか?

名前が見えやすいようにわざわざ手を伸ばして高い所に書かれた文字は『城崎小梅』だった。

教卓が邪魔だったのか教壇の横の方に立って周りを見渡した。

「私が、あなた達の新しい先生になった城崎(きのさき)小梅(こうめ)です!あなた達は高校一年生ですが、私も先生として一年生なので一緒にこれから頑張っていきましょう!」

まだ新しく汚れ1つないスーツを着ていたが、正直な感想を言うと子供が背伸びをしたような印象を受けてしまった。

「これからよろしくお願いしますね!」

ペコリとお辞儀をする。

こちらも少し会釈を返した。

「早速、連絡事項ですが……えっと……特には…あっ、明日宿泊研修がありましたね!えー、事前に聞いていると思いますが一泊二日の宿泊研修では高校生としての心構えを身につけて貰おうと思います!お友達を沢山作って楽しい高校生活にしたいですね!」

……ここでそんな事は放っておいてくれと言うのはあまりに酷だろう。

友達……かぁ…

作るのはそんなに得意ではないので少し不安である。

「それでは皆さん心に残る高校生活を過ごして下さいね!」

最早お決まりと言える起立、礼、着席、をした後、教室に再び賑やかさが戻った。

「担任の先生、可愛い人でしたね。」

「そう……ですね。」

俺としてはあの担任では少し不安であったが、小日向さんと話すとそんな事すらなんでもないような感じがする。

やはり小日向さんはいい人だなぁとつくづく思ったのであった。

宗利の悪友である新崎傑と小さい新任教師である城崎小梅の登場です。

一体、彼らはどんな面倒事を持ってきてくれるのか!

明日も18:00に連続投稿!

どうぞよろしくお願いします。

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