チーターであるが故、
頭を回せ。
状況を整理しろ。
敵の能力は物体を何でも(固体に限らず液体でも、もしかすると気体も)体積を増やす能力だ。
また、自分で増やした物体はどういう原理か消すことも出来るらしい。
しかし、自分が生み出したもの以外を消すようなことは無かった。
敵のチートはこんなものか?
他に隠していそうなことは無いか?
勝率を上げろ。
こちらの手札は何だ?
まず、傑。
傑には本気は出すなと言っていたので本気を出すことはできる。
次に小日向さん。
時間停止のチートは決定打になり得る。
任意の物体は動かせるが、生体は動かせず直接的に危害を加えられないというのと連発はできないというのが唯一の欠点だが、停止時間も移動や準備に不足しない。
雨姫は......まだ任意で能力が使えない。
任意で能力が使えれば異空間を利用した凶悪な攻撃も出来るかもしれない。
が......もしできる状態にあっても今の彼女にそれをさせるのは酷だ。
―――—明日も来るわよ。
そうだ、あいつも居た。
店内にいるはずだ。
少し顔を上げる。
居た。
店の角で、オレンジジュースを飲みながらこちらを見ている。
ララのチート、誘導。
相手が近くに居ればどんなことも自発的にさせることができる。
しかし、強制力は少なく今回のような場合に効くかどうかは分からないし、そもそも近づかせる手段がない。
事態の収拾はつけられるかもしれない。
さぁ、駒は揃った。
後はどうするか。
全ては自分にまかされている。
気力を注げ、今に全力を尽くせ。
出来るだけ事態を何事もなかったかのように収拾させる方法を考えろ。
相手も自分も傷つかない最高の方法を考え出せ。
傑が作ってくれたこの時間を無駄にするな。
最良のルートを弾き出せ。
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「大丈夫ですか?俯いてブツブツ独り言、言ってますけど。」
「まぁ、絵面はアレだけど気にしないであげて。」
座ってブツブツと塞ぎ込みながらどこか遠いところを見つめている姿はとてもシュールだ。
結構、頭を使っているのだろうか?
私には想像もつかない。
「飴ちゃん食べます?」
「それやるの大阪のおばちゃんだけじゃないんだな。」
「心外です!」
「............」
反応がない。
「やっぱり何も聞こえてないんですね。すごーい。」
「俺も流石に何も聞こえなくなるまで集中したことは無いよ。何考えたらこんなことになるんだろうな。」
「うーん。」
その間もブツブツ言いながら下を向き続ける。
「えいっ!」
「あっ。」
佐々木君の口の中に飴を押し込む。
もぐもぐとしながら下を向き続ける。
「凄いよね。小日向さん。やることが大胆というか肝っ玉が据わってる。」
「そう......ですか?そんなに特別な事をしたつもりはないんですけど。」
新崎さんが期待した顔でこちらを見てくる。
「で、俺のは?」
「これは頑張ってる人へのご褒美ですから。」
「俺も頑張ってたんだけどなぁ......」
「ふふっウソです!どうぞ。」
飴を差し出す。
「いただきま......すっぱ!!これ何?!」
「梅干し味です。」
「トシ......お前、やべぇよ。」
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「なんだか、騒がしくなってきたな。」
「えぇ。外が少し。」
見ると体育館の裏から変な物体が覗いている。
「やばそうだな。」
「何かは分かりませんけど、とても嫌な感じがします。」
佐々木君の方を見る。
ブツブツという独り言がピタリと止まった。
新崎さんの服の袖を引っ張って佐々木君の方をさす。
「お、ちょうど終わったみたいだな。」
「すまん。どのくらいかかった?」
「30分はかかってないぐらいだな。お前が考えてる間にあんなのができてるよ。」
「知ってる。」
「お前、一応必要なことは見てるよな。」
「作戦を説明する。手短に済ませよう。」
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「――――という訳だ。」
「了解。ほんとお前、人にムチャさせるよね。」
「出来るだろ?」
「もちろん。」
「小日向さんは......」
「私が実際にするのタイミングを合わせて時を止めるだけじゃないですか。」
「根幹なんですけどね。」
「もちろん一秒もずらしません!」
外に出ていく前、ララにも一言かけておこう。
「お前の力を借りることになるかもしれない。着いて来てくれるか?」
「私が呼ばれて行かないわけがないじゃない。でも前線で戦えっていうのは困るかしら。」
「もちろんそんなことはしなくて良い。」
「そ。ではどこに行くのかしら?と言っても検討はついているけれど。」
ララは外を眺めた。
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「やっと来たか!ところでもう一人はどこに行った?」
今は俺一人だ。
トシ達は別の準備をしている。
「あいつが居ると本気が出せないんでね。置いてきた。」
「ほう?なめられたものだな。」
まずは俺があいつと戦う。
勝てればそれでいいがもしも勝てなかった時の為にトシは別案を用意してくれている。
だから、今回の勝利条件は戦って勝つことだが、それだけじゃない。
おびき寄せる事だ。
「ここからは本気で行かせてもらう。」
ふぅっと息を吐き出しながら全身に力を籠める。
骨格を基礎から変えていく。
「そうはさせん!お前の肉体強化になど付き合っていられるか!!」
伸びてくる金属柱。
肉体強化、外質硬化。
「なッ!?」
「片手で十分、そんなテキトーな攻撃でどうにか出来ると思うなよ。」
チーターがチーターである所以は人間を逸脱しているから。
ただの筋肉バカであれば凄い人で終わりだろう。
内臓の位置を修正し、指先にまで強化を張り巡らせる。
バァンッ!!
「いともたやすく......握りつぶすだと?」
「今さっきもこれぐらいならやってただろうが。」
骨格変形!!
骨格を異常なまでに広げたことで体中から血が噴き出す。
肉体強化で無理矢理に出血を抑えつつ、変形を繰り返す。
肥大化と硬質化を繰り返す。
「なんだ......その体は......人間なのか?」
相手の顔が引き攣ったようになる。
「バケモンだよ。バケモンじゃなけりゃチーターを名乗ってねぇ。」
改めて深呼吸する。
新鮮な空気が傷口をヒリヒリと刺激する。
「モードチェンジ:phase3『怪物殺し』
足の筋肉に全身の筋肉を使いながら血液を送る。
弾き出された弾丸のように走る。
「速いッ!」
「ぼさっとすんじゃねぇぞ!!」
勢いを柔軟に生かした回し蹴り。
何かの材質で出来た盾を粉々に粉砕する。
「もういっちょ!」
止められた回し蹴りを軸にして放つ空中かかと落とし。
「ぬぅん!!」
「チッ」
近距離だと相手の物質を作り出すのが速すぎる。
多分反射神経で本能的に作り出しているんだろう。
瞬間。
俺の中の危険信号が鳴り響く。
横っ飛びした瞬間に破裂する地面。
いや、これは......
「上かッ!」
「やられてばかりでは、来てもらった甲斐が無いのでね。」
巨大で意味不明なオブジェクトが鎮座する。
「細かいモノは時間をかけないと作れないんでね。」
醜悪な笑み。
この状況が、追い詰められても、それが最高に楽しいと目が語っている。
「さぁ、始めようか!!」
「頭がイカレてる奴は好きにはなれねぇな。」
傑が本気を開放!
ここからが本当の戦闘です!
次の回はもっと戦闘描写に力入れて書きますよ!!
傑、どんだけ強いねんって話ですが、それはいつかやる過去編で説明されるでしょう。
今は戦闘をお楽しみください!!




