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愛より優れたものなどない

雨姫を救った時、ふと外を見てみるとそこには太陽が沈みかけていた。

いや、違う。

少し見続けていると......上がっている。

太陽が上がりかけていた。

「これ、いつだよ......」


「で、お前は俺が家に泊まってたことにしたんだな。」

「そういうことだ。感謝しとけよ、トシ。」

傑がふんぞり返っている。

今の時刻は6時半。

当然、教室の中に他に誰も居るはずはない。

「それで、うちにはどう伝えたんだ...?」

「どうって...お前がうちにどうしても泊まりたいっていうから仕方なく泊めてやることにしたって。」

はぁー、と長いため息を吐く。

これは、長い説明が必要になりそうである。

「で、その子が例のチート使いか?」

そう。

雨姫はずっと俺の後ろで隠れていた。

小日向さんよりも頭一つ分ぐらい小さいその身長では、中学生...いや小学生に見られてもおかしくはないが......

「実は俺たちと同じ高校一年だ。」

「は?冗談キツイぜ?トシ。そんな小さい子が高校生な訳.........マジ?」

俺の二の腕が痛い。

雨姫が掴むというよりも、怒りやら何やらで腕の皮をつねる方向に走りかけている。

...だったら直接言えば良いのに...

「この子は雨姫宇鷹。ちょうど16年前ぐらいに失踪してるはずだ。」

「おう。じゃあ実質30歳越えな訳だ。もう何でも信じられる気がしてきたぜ。」

この会話で全部、分かってしまうところが...イケメンというか超速理解というか......


「その子どうするんだ?まさか一緒に授業受けるなんてこと、するわけないよなぁ?」

「そう...だな。でも、保健室も預かってくれないだろうし、職員室も預かってくれないだろうなぁ。」

「どうするんだ?」

「どう...しようかなぁ...?」

ここまでノープランである。

6時半か...しょうがない...

「一回、家に帰ろうか。」


「おにーちゃん。朝帰りでオンナ連れて帰ってくるなんて、それはまずいんじゃないかな?」

流石の妹もドン引き。

俺の場合も多分そうなるから想定済みである。

「父さんと母さん、呼んでくれるか?」


「で、宗利、その子をどうしたいって?」

雨姫は椅子に座っている俺の陰に隠れている。

「この子を俺たちの家族に迎えてもらえないだろうか。」

ふぅー、と一同でため息を吐く。

頑張って状況を整理しようとしている感じだろうか。

細かく状況を話せば話すほどややこしくなってしまいそうである。


父が重たく口を開く。

「宗利、その子もお前とおんなじなのか?」

この言葉に色々な意味が含められていることを俺は知っている。

「…………ああ、同じだ。」

同じチート使いである、という意味。

「だったら父としては賛成だ。」

「なら私も良いと思います。」

もう1つの意味は俺と同じく、

「大体、おにーちゃんが賛成じゃないから決まらなかった事の方が多いんだから!よろしくね!うたかおねーちゃん!」

………帰る場所が無かったという意味である。


その後、俺は学校を休むという連絡をして、父と雨姫と一緒に色々な場所を回った。

戸籍を確認しようとしたら、丁度6年前に失踪認定で死亡扱いされている事が分かり、そのために色々な手続きをした。

……戸籍上は32歳という馬鹿げた数字になってしまったが、まぁ仕方ないだろう。

そしてうちの高校への編入……と言っても雨姫はうちの高校に入学したまま行方不明になっていて、着ていた制服は当時のものだったというだけなのだが……手続きなどを済ませた後、雨姫に縁のある所に行った。


そこは古ぼけた孤児院だった。

何人かの子供の騒ぐ声が聞こえる。

戸の周りを見てみるがインターホンの類はない。

仕方なく戸をトントンと叩いてみる。

「はーい!」

ガラガラと音を立てて戸が開く。

現れたのは少しやせ気味の四十代ぐらいの女性だった。

「あのー...どちら様ですか...?」

こちらをまじまじと見つめている。

雨姫は...まだ後ろに隠れたままである。

しょうがないから自分の体から引きはがし、その人の前に出させてみる。

「あっ、ちょ......」

「う、たか、ちゃん...?宇鷹ちゃん!!」

その女性の瞳は潤んでいた。

そしてすぐに雨姫に駆け寄るとがしっと抱きしめた。

「どこで...なにしてた...の...!お母さん...頑張って...さがし...てたん...だよ...?」

「ごめ...んなさい...おばさん。」

涙で顔にスジができるほど泣いていた。

人の目など気にする余裕もない。

そして年齢や容姿に対する疑問など、そこにはなかった。

あるのはただ無償の愛だった。


そして五月のはじめ。

もう、かなり高校生活にも慣れてきた頃。

「今日は転校生がやって来てくれました!雨姫宇鷹ちゃんです!」

「あまひめ...うたか...です...よろしく...おねがいします。」

小柄な制服を身にまとわせた少女が新たなクラスメイトの一員になったのだった。

開かずの間編、堂々完結です!

また新しい仲間が増えたダメチーター。

次は何が起こるのでしょうか!

少し幕間を挟むかも...?

明日も連続投稿!

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