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性格は環境が作る

あれから沢山ゲームをした。

時々、休憩もしながら本当に多様なゲームをした。

彼女は考えてちゃんとした目的を持ってゲームをするようになった。

つまりは勝つことが目的になったのである。

「うぅ...また負けた...」

「これで俺の三連勝だな!いやぁ、気持ちいいねぇ!」

心がすがすがしい。

特に今までとはゲームに取り組む熱意が違う。

「これって、あっちの世界の時間も進んでんのか?だとしたらすっごい時間遊んでるような気がするんだけど...」

「わかんない。でも多分進んでるとおもう。」

「雨姫、お前何年まであっちの世界にいたんだ?」

「...?高校一年だよ...?」

「違う。そういうことじゃない。」

まぁ、高校一年と聞いて少し驚いたのは事実だが聞きたいことはそれではない。

「西暦だよ。何年?」

「............2003年」


絶句。


「16年前じゃねーか!」

あ、呆れた。

というか年も取らないし、このままここに居たらむしろ若返るのか!?

いや...それは無いだろう。

彼女は多分、考えることをやめていたから頭が退化した?

いや、せざるを得なかった?

「ここ、本当に出られるのか...?」

まさに開かずの間...である。


それから少し時間が経過した。

俺たちはしゃべらないままにその時間は過ぎ去っていった。

「あのね、うたかね...」

ぽつりぽつり、と話し始める。

「ん?どうした?」

彼女の声は今までとは違ったトーンだった。

「16年もここにいたことに気づいてなかったの。」

確かに...この中に長時間いるだけでも時間の感覚が失われてしまうのにそれが年単位でとなると、どれだけ時間が経ったかなんてわからないだろう。

「でも、分かっても外に出たいなんて、思わなかったの。」

「え?」

別に自分はそんなつもりで言ったわけではなかったが、彼女は外の世界のことも考えてしまったらしい。

俺も悩みがあるとすればそれは時間の問題だ。

多分、10時間ぐらいはもう経っているんじゃないかと思う。

現実の時間で言えば真夜中だ。

それでも眠たくもならないので不思議な感覚ではあるが、家族は心配しているだろうと思う。

その中で彼女の反応は意外というか...なんていうんだろう。

「うたかね、お父さんとお母さん居ないの。友達もいなかったし、自分を心配してくれる人なんて一人もいないの。帰るところもどこにもないの。」

「............すまない。」

「別に......これぐらい...だいじょうぶ。」

ウソだ。

まぎれもないウソ。

流石にこれだけの時間、二人きりで話していれば嫌でも分かる。

「ごめん...なさい...うたかの話なんて、聞きたくないよね...」

「そんなことない。話してくれ。俺は雨姫の話がとても聞きたいんだ。」

「ほんと?......だよね。」

「ああ。」



彼女は恵まれていなかった。

幼いころに両親を亡くし、孤児院に引き取られた。

まだ、物心がつく前の話だった。


孤児院の先生は彼女にとてもやさしく接してくれた。

しかし人見知りだった彼女は先生と打ち解けあうことはなかなかできなかった。

孤児院の同じ仲間は、仲間と呼べるような人間ではなかった。

まだ子供でやっていいこと悪いことの見分けがついておらず、彼女に強く嫌がらせをした。


普通の子供ならこれで2パターンに分かれる。

一つ目は負けん気が強くなる子。

もう一つはますます内向的になる子だった。

雨姫宇鷹は典型的な後者だった。

そうして幼児期に人と馴染む方法を教わらず、彼女は小学生になった。


小学生になっても状況が一変することは無かった。

しかし彼女に『友達』ができた。

その人は明るく自分に接してきてくれていたらしい。

一緒に遊んだり、時には一緒にお出かけすることもあったらしい。

しかし、転機が訪れる。


ある日、その『友達』が他のクラスメイトと話しているのを聞いた。

『あんたさぁ、あの子と何で付き合ってるわけぇ?』

『う、うん。まぁ、何となく...気まぐれかな?』

『へぇ!あんな、何もしゃべらないヤツと一緒に居て楽しいの?』

『ああ...えぇと...そうでもない...かも。』

『ふぅん!じゃあ嫌いなんだ!』

『............』

『じゃあ私たちもあんたと同じであの子の事『嫌い』だから『友達』になってあげないとねぇ!』


後から、その会話について尋ねてみると、『友達』はそう言うしか無かった、と言った。

...多分本当にそう言うしか無かったのだろう。

そして『友達』とは次第に疎遠になった。

最初は友達も誤解を解こうとしていたらしいが、次第に口数も減り話さなくなった。

彼女は人が信じられなくなった。

それが大体、小学校低学年の頃の話だ。


『友達』は引っ越した。

なにが原因なのかは知らないが、引っ越す前に何も言ってはくれなかった。

そして、それは彼女にとっての地獄の幕開けだった。


『私達もぉ、あんたとぉ、『友達』になることにしたからぁ、よろしくね!』

明らかに意地の悪そうな女の周りには取り巻きが何人も居た。

下卑た笑みを浮かべている姿が今も脳裏に焼き付いているという。

そこからは凄惨ないじめだった。

本当の友達の居ない彼女に同情するものはおらず、人見知りな彼女は先生に相談することもできなかった。

体中に痣ができ、誰もが知らないフリをした。

孤児院の先生は『どうしたの』とは聞いてくれたが、打開策は検討してくれなかった。

『友達』はただ自分をおもちゃであると思っていた。

彼女は逆らおうとする意志さえもなくしてしまった。


中学校に入って、彼女は少し遠い学校に通うことになった。

幸いなことにいじめグループの人間は違う学校に進み、顔を合わせることもなくなった。

彼女に平穏が訪れたかに思われた。

だが実際はそう甘くは無かった。


どこからか情報が漏れた。

瞬く間に学校中にうわさが広がった。

彼女の周りには見知った顔なんてなかったのに、その顔も合わせたことのない誰かのせいで彼女は利用される存在になった。

その学校にはスクールカーストが存在した。

彼女を最底辺に蹴り落とすのはとても簡単だった。

そして、彼女は再び地獄を味わった。

彼女は人の心を知ろうとする気持ちすら忘れてしまった。


そして高校生になった。

今度は見たことのある顔も多く居たという。

もう先は読めた。

彼女の未来に希望は無かった。

こんな苦しい世界から解放されたいと思った。

彼女は誰も寄り付かないような学校の小さな小部屋に忍び込んだ。

手元に持っていた縄を窓の冊子に引っ掛けた。

何度も結んでは解いた結び目をしっかりとキツく結び直し首をかけた。


「で、目が覚めたらここに居たってわけか。」

「.........そう。」

吐き気のするような話だ。

しかもこれは彼女が悪いというよりも環境が悪すぎた。

そして察しがついた。

これは、彼女のチートだ。

開かずの間編も佳境です!

ダメチーターは本気を出せるのか!?

彼らは開かずの間から抜け出すことはできるのか!?

明日も連続投稿!

PS:エブリスタで18:00から毎時間投稿致します。

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