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噂は大抵、面白半分だ

「開かずの間って知ってるか?」

傑がウキウキとした様子で言ってくる。

ため息を吐く。

「また、お前そんな小学生みたいなこと言ってるのか?」


傑は噂を聞きつけるのが早い。

いつもこういう風に面倒なことに足を突っ込む。

開かずの間だのトイレの花子さんだの、学校の七不思議解明だの、ことあるごとに付き合わされてきた。

こう考えてみると付き合っていた俺も俺なのだが。


「お、もしかして...開かずの間の話とかしちゃってたり...?」

「おう!稲原!お前もこういううわさ話好きなの?」

「うん!結構好きだよ!」

稲原...稲原咲希さん...だっけか。

茶髪をポニーテールでまとめている元気そうな女の子だ。

同じクラスメイトだが話すのはこれが初めてだろうか。

「稲原さんは、噂とか結構好きなんだ。」

「うん!高校入って新聞部にも入るつもりだし、これからは一杯、噂を探らせてもらうからね...!」

今、目がキラリと光った。

間違いない。

この人相当な野次馬だ...


「でさ、この学校にある開かずの間の話なんだけどね、確かこの学校の4階の端の方にある部屋なんだって。誰もそこが開いているのを見たことなくって、中には死体が在るとか......」

いや、流石にそれは無いだろう。

でも開かずの間と言うのがあるのは本当らしい。

「開かずの間ってほんと、どこの学校にもあるんだな...」

確かに使わない部屋が一つぐらいあってもおかしくはない。

「でも、それってどうやって開けるんですか?先生に話してもカギを貸してくれるってわけでもないでしょう?」

「あっ、小日向さん!?」

「うおっ!いつの間に!小日向ちゃんもしかして......影薄い?」

「そんなことないですよー。人を幽霊呼ばわりしないで下さいー。」

小日向さんは唇を尖らせながらそう言った。

「でも確かに、小日向さんの言う通りだな。これは諦めるしかないな。」

正直に言えば、首を突っ込まなくてよくなったのでほっとした。

「ふっふっふ。そこは心配ないのです。私にはちょっとした特技があるのです。」

あからさまに嫌な予感がする。

「ジャーン!!これです!」

出てきたのは針金が二本。

まさかとは思うが......

「私、ピッキングには慣れているのです!簡単な仕組みのドアなら開けられます!」

どうしてそんなことに慣れているんだ...

「じゃあ、カギは開けられるんだ。」

「うん!それで、いつにする?」

「別に今日の放課後で良いよね?佐々木君。」

「俺はオーケーだぜ、トシ!」

「これ、四人で行くことになったのか...」

「いーじゃん。な、俺たち、運命共同体だろ?」

大きなため息。

断ろうと思っていたがその気力がなくなってしまう。

結局、俺の心は弱いのだ。


「で、ここか。4階。」

この学校で言えば最上階。

特に目立った設備もないのでこれまで上がってきたことは無かった。

薄暗く少し冷たい風が吹く。

どこかに隙間でもあるのだろうか。

「ここだけまだ補強工事やってないらしいよ。ちょっと気味悪いよね...」

そういわれると...なんだか少し気持ち悪くなった気がする。

「大丈夫?佐々木君。こういうのもしかして苦手...?」

「ん?...ああ、まだ...大丈夫だ。」

確かに怖いのは少し苦手だが、そこまでという訳ではない。

まぁ...人並みだろうか...?

例えて言うならば、人とホラー映画見るのは大丈夫だが、一人で見るのははばかられる。

それぐらいだ。

「じゃあ、行くよ...」

コツコツと四人の足音が暗い廊下に響き渡る。

なんだか、気だるくなってきた。

いつものとは違う...なんだか嫌な感じだ。

嗚咽感とでもいえばいいのだろうか...

こう...吐き気がする感じ。

これ以上は、あまり進みたくない。

思わず立ち止まる。

「......どうしたの?顔、真っ青だよ...?」

「トシ、どうかしたのか?気持ち悪いのか?」

「い...や。大丈夫...まだ...だい...じょうぶだ。」

足に力が入らなくなって膝から崩れ落ちる。

「ちょっと!!本当に大丈夫?!これって、やばいんじゃない?!」

「ああ、ちょっとやばいかもしれないな。トシ、これって、もしかして...」

傑が眉をしかめている。

普段俺がこうなるときは、ただ単にお腹の調子が悪いとかそういう状態ではないのだ。

「ああ...アレ...みたいだ......でも、だい...じょうぶ...たぶん。」

意識が薄れていく。

どうやら近づかなくても何か発動しているらしい。

視界が霞んできた。

その、瞬間にそれは起こった。

俺の体が消えた。


グルグルと体が回っている。

ゆっくりと眠りに落ちていく。

気持ち悪くもなく、心地いいわけでもない。

でも少し苦しい感じがする。


目を覚ましたのは白い部屋。

そこではゴーンゴーンと鐘の音のようなものが鳴っていた。

奥に何か見える。

アレは............人影?

さぁ、開かずの間編が始まりました!

佐々木を待ち受けているものとは一体...?

そして運命やいかに!?

明日も連続投稿です!

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