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上に立つものは意固地になってはならない

棒倒し、一回戦目は1組と2組だ。

なんと一回戦目から自分の出番である。

もう少し高校生がどれぐらいのレベルなのか見極める時間が欲しかった。

...まぁ、見たら見たでやる気が失せてしまうのだが。

重い腰を上げてコート内に入る。

皆の様子を見てみると...少し不安げな顔をしている。

やはり、初めてすることは何をしていいか分からないらしい。

こちらに一人の男が近づいてくる。

頭を丸刈りにした少年だ。

「すまない。君、佐々木君だっけか。後ろで棒を持っていてくれないだろうか。棒を持つのに5人ぐらい必要なんだがあと一人足りなくてな。初めて話す内容がこんな内容で悪い。俺は、内藤徹也だ。よろしく、」

言葉を一気に畳みかけて来たな。

その圧倒されるような雰囲気に自分のような人間は少し気落ちしてしまうが、もちろん相手にそんなつもりはないらしい。

握手を求められているので応じながら、なんと言葉を返せば良いか考える。

「あー、内藤君?俺は棒を持っておけば良いのね?これからよろしく。」

動揺していたが何とか言葉を返せるように努力する。

やはり、初対面の人と話すのは少し苦手だ。

それこそやる気でもないと声がなかなか出てこない。

でも後ろのポジション。

これは良い。

何より、走らなくて済むのが嬉しい。

それに、指示を出してくれる人が居て少しホッとした感じもある。

俺は後ろで持っている棒を倒されないように守っていれば良いだけ。

そう思っている間に試合開始のホイッスルが鳴った。


他のクラスも固唾を飲んで見守る第一試合。

ホイッスルが鳴った瞬間にどちらかが敵に飛び掛かるかと思ったが、意外にもそんなことはなかった。

どちらかの出方をうかがっているのである。

この中には仕掛けに行きたい人もいるだろうが一人で行っても話にならないことを知っているのである。

ピリピリとひりつくような空気が場を満たしている。

しかし誰かが先陣を切らなければ始まらない。

またこの感じだ。

焦りがにじみ出始める。

ちょうど近くに傑が居た。

小声で傑を呼ぶ。

「お前、先陣切ってくれないか。このままでは話にならないし、何より誰が出ても一緒だ。この雰囲気なら棒を持っている奴以外の男を警戒すればいけるはずだろ。あの様子だと女子もそんなに動きそうにはない。」

「オーケー。でも一人であれを倒せるかは知らないぞ。」

「何人か誘えよ。3人居ればグループの法則ていうのが発動するらしいぜ。」

「そうなのか。ふーん。」

一人は個人、二人はペア、三人はグループとみなす考え方だ。

三人のほうが同調圧力が大きく働きやすくなる。

「まぁ、多けりゃ多いほうが良いもんな!」

傑にとってはそんなことはどうでも良いらしい。

傑は手早く何人かに声をかけた。

そのコミュニケーション能力は俺には真似できないと苦笑いする。

「じゃあ、行くぞ。3、2、1、ゴー!」

何人かが一斉に走り出した。


勝負の決着は一瞬だった。

その何人かの動きに反応できたのはほんの数人であり、止めることもかなわず、最後は傑がチートを使い棒をつかんでそのまま倒したのだった。

あっけないが、確実な勝利。

敵どころか味方も何人かは呆気にとられていた。

その中には内藤徹也の姿もあった。

「どうして一度、俺に話さなかったんだ!もしもあれが上手くいってなかったら、逆に攻撃されて負けていたかもしれなかったんだぞ!今回は相手も動転していたからまだ良かったが、次はそうはいかないだろう。次は絶対に報告するように。」

内藤は矢継ぎ早にそう言った。

「わかった、分かったって。ゴメンな。つい、早とちりしちまったよ。」

傑はそう言って平謝りしている。

謝る気があるのか否かは定かではない。

「チッ。」

内藤は舌打ちし踵を返す。

傑は顔を上げてヘラヘラとし、もうちょっと優しくても良いじゃねぇの、と言いながら別れた。


3組vs4組ではホイッスルが鳴った瞬間に両者動き出し総力戦の様を挺した。

結局ごり押しで押し切った4組が勝利を収めた。

5組vs6組では6組に策士が居たらしく機敏に攻守を切り替えて圧勝した。

7組vs8組では8組が仲間割れしたらしく自滅、7組が攻めて棒を倒した。

そして第二試合vs4組が始まろうとしていた。


ここからは二回戦ということもあり、もっと緊張が走るかと思われたが以外にもそうでは無かった。

いわゆる慣れという奴である。

緊張というよりは皆で戦って勝とうという意思の方が強い、と言った方が正しい。

「良いか。相手が攻めてきた瞬間に皆で守りにつく。そして俺たちが攻める。」

その俺たちの中には傑の姿もあった。

数人の男たちで攻め落とそうという計画だった。

なかなか良くできた計画だとは思う。

急ごしらえだったということを考慮に入れればこれ以上の計画もあまり思い浮かばない。

ただ、そんなに上手くいくだろうか......

オリエンテーション棒倒し、二回戦目の開幕です!

計画は果たしてうまくいくのか。

明日も18時に連続投稿!

よろしくお願いいたします(圧力)

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