岐阜金華山ウラ話
標高三二九メートルの岐阜金華山(かつては、稲葉山と呼ばれて
いた)山頂にそびえる岐阜城。山麓には、名和昆虫博物館、岐阜歴
史博物館、岐阜公園、伊奈波神社、護国神社、崇福寺、常在寺、正
法寺大仏殿、そしてナガラガワフレーバー、長良川デパート湊町店
と、見どころも多くある。
また、金華山には馬ノ背登山道、百曲り登山道、七曲り登山道、
めい想の小径といった登山道もあり、山ガールの姿も多くみかける。
ハイキングに至っては、東坂、大釜、鼻高、達目、唐釜、大参道ハ
イキングコースと、六つのハイキングコースがある。
個人的には、今までに足しげく利用したのは、金華山ドライブウ
エイであろう。若い頃の、彼女とのデートコースということもあり、
このドライブウエイを何度も走った。それも夜に走ることが多かっ
た。と言うのも、いちばんの目的は岐阜市街の美しい夜景を見るこ
とであり、これが当時の若者のトレンドでもあった。
展望台駐車場に車を止め、(他のカップルが多いときは、車が止
められないことも)夜景を眺めながらあれこれと話をしていたもの
である。そして必ず、岐阜公園側から上り、岩戸公園側に下りてい
った。それはなぜかはあえて書かないが、ドライブウエイを一度で
も走ったことのある人なら、誰もが必然的に理解するであろう。
(これも金華山ウラ話のひとつになるのかもしれないが……)
さて本題にはいろう。このような思い出ある金華山に関連する、
金華山読本《金華山だより》を出版いた講師の記念講演、『金華山
ウラ話』が、各務原市中央図書館で開催されることをチラシで見て
知り、これは是非とも聴かねばなるまいと、定員に達する前にさっ
そく申し込んだ。
当日、図書館ロビーでの開催であった。始まる前に『ウラキンカ
ザンだより』と書かれたプリントを渡された。そこには、二十項目
にわたってウラ話の見出しが……たとえば『幻の金華山山頂湧出!
金華鉱泉』、『山上巨大隠れ岩窟』、『禁断の非公式ウラミチ地図』
などなどといった、なにやらあやしげな感じもしないではないが、
面白そうなタイトルが並んでいた。
そんな項目の中で、興味津々と聴いたのが、岐阜城といえば織田
信長の居城でもあったが、『華麗なる信長帝国、天空の石垣』、
『新説!裏金華山に忍者の隠れ里が!?』、『幻の滝、三連爆をつ
いに発見!』などであった。二十項目すべてを聴くには、講演時間
の制限もあり、聴くことは出来なかったが、当時の懐かしい思いを
巡らせながら一時間半ほど聴いてきた。
先に書いた、ハイキング・コースのひとつである『めい想の小径』
は、友達に誘われて過去に二度ほど登ったことがある。この友達は、
岐阜市内に住んでいた。暇をみつけては、金華山をハイキングして
いて、登山は慣れたものであった。あるとき、
「一度金華山に登ってみないか……?」
まさか登山に誘われるとは思ってもみなかったが、当時は今と違
って体力もあり、
「おう、一度チャレンジしてみるか!」
と、気楽に返事をしたのはいいが、いざ登ってみるとこれがけっ
こう辛かったことを覚えている。二度目の登山のときは、少しコー
スを変更してくれたおかげで、前よりは楽であった。
ここで講師の『金華山ウラ話』を、ちょいと整理してみることに。
『リス村にいるリスはタイワンリス!』……昭和十一年に岐阜公園
を中心に、《躍進日本大博覧会》が開催されたおりに、見せ物とし
てタイワンリスが持ち込まれた。このリスが山中に逃げて野生化し、
その後に調教をして昭和四十年に、『リス村』を開業し現在に至っ
ている。
『金華山にライオンがいた!』……金華山の麓には岐阜公園がある。
昭和三十四年頃は、この公園に動物園があった。ライオンをはじ
め、ペンギン、ワニ、ウミガメ、ペリカンといった動物が飼育され
ていた。
この頃、学校の遠足で行ったことがあり、何となく覚えがある。
『長良川交通公園があった!』……昭和四十二年に開業し、夏は流
れるプール、冬はアイス・スケートが楽しめた。夏は行ったことは
ないが、冬にはスケートをしに友達とよく行ったものである。
『山水庵 鈴虫茶屋』……長良川の南側に、岩山を背に造られた和
風の店であったが、今はもう無いということだった。流しそうめん
や味噌田楽が有名で、もう十年くらい前になるだろうか、友達と一
度だけ味噌田楽を食べに入ったことがある。
今回の講演では、新発見もあり、懐かしさもありと、心ゆくまで
愉しんできました。帰りぎわに、金華山読本『金華山だより』の小
雑誌が棚に並んでいるのを見ていると、
「よかったら自由に持っていってください」
とスタッフに声をかけられ、各種十冊ほどもらって帰ってきた。
年に一度、岐阜グランドホテルで、岐阜信用金庫主催の講演会が
開催されると、いつも聴きに行っている。そのときには、長良川畔
から金華山山頂に凛と佇む岐阜城を眺めております。