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脱線2
Mは戦地にいく。
隊には女性もいる。
ほか3名の士気もあがる。
重い装備にガラガラと補給物資も引く。
女性が、Mに声をかける。
私、両親の声が聞きたいです、愛していると伝えたい。
確かに、あと数時間も行進すれば、突然の火薬の臭い、弾け、舞う砂ぼこり。前線に出ないとはいえ、どこにだって死は漂う場所に。
それはMが良く知っている。
Mは、ちらりと携帯電話を見て、そのまま彼女に携帯電話を渡した。
彼女は、コールをし、愛している、もしかしたらこれで最後の電話かもしれないから、と、涙しながら会話をしていた。
彼女は、ありがとうございます。とMに電話を返した。
Mは携帯電話を見た。
もうだいぶ前から圏外である。
Mは彼女に尋ねた。
たくさん話が出来たかい?
彼女は答えた。
はい、言いたい事も言えました、たくさん話ができました。ありがとうございます。
Mは、そっと携帯電話をしまった。