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2021 3 19

どうしてこうなったのだろう。私はあんなに彼女のことを思っていたのに、彼女のことが好きで好きで、どうしようもなく愛おしくて、狂おしいほどに愛していたのに。一体いつから彼女が私にとっての恐怖の対象となったのだろう。私はもう彼女を愛せない。

私が彼女に会ったのは三年前の企業説明会の時だった。当時私が働く会社では修復不可能なほど社内の人間関係トラブルが悪化し退職者が相次ぎ深刻な人手不足が続いた。さらに追い討ちをかけるかの如く去った退職者や我が社に対してのアンチによってネットでの低評価や根も葉もない噂話によって就職志願者が全くと言っていいほど現れてくれなかった。腹を立てた上層部は誰でもいいから捕まえてこいと社員に脅しをかけ私が働く部署も渋々企業説明会へと参加することになった。外は梅雨が明けて眩しいほどに快晴であり燦々と照りつける太陽はアスファルトに投げ出されたミミズを容赦無く焼き殺す。わざわざ上の言うこと何て聞かなくてもいいのに。蜃気楼で視界が歪む猛暑日の歩道を私と上司はただ黙々と歩く。上司は誰とでも仲良く接することができるコミニュケーションおばけだがその分本音を隠すのも卓越している。しかし今回はそのあまりの暑さに集中力が削がれたのか珍しく私に面倒だと一言呟いた。こんな日もあるんだなと思っているうちに我々が目指していた目的地へと到着した。外見はコンクリート一色でとても簡素であり辺りを見渡しても緑が少ない。模型サイズで表すなら敷地内に箱が数個置いてあるだけな個性のない造り。ここで時を過ごしていたと思うと改めて酷かったなと心の中で頷く。私立○○短期大学。私と上司の母校であり今回の企業説明会の会場でもある。この大学は情報通信学から自動車整備部など短期的に技術を身につけ資格を取り即戦力として社会へと貢献するということを主な目的として掲げている場所である。二年制ということもあり上級生や次に進学してくる下級生との関係性も薄く職人気質な人やコミニュケーションの苦手な人が学生人口の主な割合を占めているため横の繋がりはあっても縦の繋がりは比べると薄気味である。もう少し関係性持っとけばな。二度とも戻れない日々への執着と現在でも中々治らないコミュ障が相乗効果を生み私の心は過去へのタイムスリップを欲している。時間は二度と戻らない、過去は変えいて在校生であろう知らない顔の女の子とできれば見たくない顔が並んでいた。おお久しぶりだな。人を見下すような笑みで私たちを一瞥しているのは当時大変お世話になった青野先生。全校生徒並びに全職員から嫌われているある意味での才能の持ち主である。会うのは二年ぶりくらいなので見た目も眼の内に潜む嫌な闇も対して変わっていなかった。帰りたい。私の小さな願いもかき消され覚える気もない説明を空返事で受け答え私と上司は二階の空き教室へ案内された。生徒はまだ授業中ですので終わり次第説明会を始めさせていただきます。それまではここで待機をお願いしますと係の先生が説明をし部屋を出ていった。周りには今回参加する数組の企業説明者たちが静かに座っていた。残暑にもかかわらずこの部屋にはエアコンが存在しない。あるのは職員室のみ。設置された数台の明らかに古そうな扇風機から今にも壊れて取れそうな羽根の回る音と開けっぱなしになった窓の外から人間に対する謙虚のかけらもない蝉の声や誰のためかもわからず日常の形式として動かしている自動車の音が静寂な室内へ不規則に反響する。懐かしいな。初めに口を開いたのは上司であった。そうですね、何度かここで授業しました。私も形式で返す。この教室ではメインの授業は行わないためあまり馴染みはないがれっきとした過去の思い出である。られない。わかっているからこそこの現実には目を背けたくなる。一階の玄関には簡易的な受付が設置されていて在校生であろう知らない顔の女の子とできれば見たくない顔が並んでいた。おお久しぶりだな。人を見下すような笑みで私たちを一瞥しているのは当時大変お世話になった青野先生。全校生徒並びに全職員から嫌われているある意味での才能の持ち主である。会うのは二年ぶりくらいなので見た目も眼の内に潜む嫌な闇も対して変わっていなかった。帰りたい。私の小さな願いもかき消され覚える気もない説明を空返事で受け答え私と上司は二階の空き教室へ案内された。生徒はまだ授業中ですので終わり次第説明会を始めさせていただきます。それまではここで待機をお願いしますと係の先生が説明をし部屋を出ていった。周りには今回参加する数組の企業説明者たちが静かに座っていた。残暑にもかかわらずこの部屋にはエアコンが存在しない。あるのは職員室のみ。設置された数台の明らかに古そうな扇風機から今にも壊れて取れそうな羽根の回る音と開けっぱなしになった窓の外から人間に対する謙虚のかけらもない蝉の声や誰のためかもわからず日常の形式として動かしている自動車の音が静寂な室内へ不規則に反響する。懐かしいな。初めに口を開いたのは上司であった。そうですね、何度かここで授業しました。私も形式で返す。この教室ではメインの授業は行わないためあまり馴染みはないがれっきとした過去の思い出である。何をしたわけでもないのにじんわりと懐かしさが込み上げてくる。そうしているうちにお待たせしましたと係の先生に案内され説明会会場へと案内された。

案内されたのは三階の広い教室でここでは主に文化祭準備やレクリエーションなどを行なっていた。私たちは入口から最も遠い角の窓側で照りつける日差しが見事に当たる場所であった。あっつ。私と上司は同じく口にした。上司が説明用のパソコンを開いて準備をしている。ふと私は何をするんだろうと思った。そういえば上司から何も聞かされてないし聞いてもいなかった。今更と思ったが聞かないことには始まらないので聞いてみることにした。私は何をすればいいですか?お前は今日隣で座ってるだけでいいよ、俺が説明するから。、、、いよいよ私が今日ここにきた意味がなくなった。こんな炎天下の中本来なら実に有意義な休日を送っていたであろう今日という日を会社の為に仕方なく返上してはるばるやってきたというのに。私の脳内では在校生に囲まれながらあまり慣れないプレゼンテーションをしている上司とその隣でただ呆然と座っているだけの私の姿を想像していた。とても嫌だ、場違いだ。きっと見ているこの子たちはこいつは何者なんだろうと思うに決まっている。説明会はまだ始まってもいないのにこれから会うであろう無垢な人という恐怖に私は怯えている。だめだ、考えるな。考えれば考えるほど私の中では負の感情が洪水となり荒波を立てながら身体中を襲い破壊していく。逃げたくても逃げれない、逃げる勇気も無い。嫌だと後ろを向いても時間は職務を全うし私を置いて淡々と進んでいく。心臓が痛い、吐き気がする。入り口から一番遠い席に座っているはずなのにその奥から聞こえてくる階段を登るたくさんの波の音が鼓膜を通して私の脳内へと鮮明に受信される。来てしまった、もう始まってしまう。入り口から押し寄せるこれからを担うであろう色鮮やかな蛹たちは私にとっては死を知らせる悪魔でしかなかった。

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