夢航路
遠い昔に描いた航路を
ずっとまっすぐ目指してきた
遥か遠くに見据えた島は
陽炎のようにいつも揺らぐ
たとえどんなに遠くとも
その道のりが困難でも
諦めずに船を進め続ければ
いつか必ずたどり着くのだと
そうどこかで信じていた
けれどどうだろう
気が付けば船はあまりに重く
必要なもの 余計なものを詰め込み過ぎて
その速度はあまりに鈍い
いつしか風は凪いでいる
櫂を取る腕は動かない
ずっと進んできたはずなのに
彼我の距離はずっと変わらぬままだった
嘆く
もっと力が強ければ
もっと速く進めただろうか
もっと機に敏ければ
もっと風を受けられただろうか
もっと心の大きければ
もっと励ましを得られただろうか
けれどもう遅い
幻を追う期はもう去った
蜃気楼は蜃気楼のまま
淡く揺らいでいるだけだ
確かに
少し周りを見渡せば 悠々と漕ぎ付く者はいくらもいる
けれど
自分にはそれができない
それだけのことなのだ
だから
もう諦めなければならない
そう、自分に言い聞かせながら
現実へと 大きく舵を切った