第三章
アグルとイブは試験を受けに来ていた。しかし、そこで行われていた試験は至ったシンプルであり、ひどい物だった。
「なんだよ…これが試験なのか?」
「嘘でしょ?なんでこんなことをしてるの…」
高校の試験会場の看板にはたった一つのことが記されていた。
【闘技場にいる200匹の竜を一匹でも従えるか、殺すことが出来たものは学校の入学を認める】
二人はこの看板を見て唖然とした。
「意味もなく竜を殺すだと…ふざけるな!」
アグルが怒りに震えてるとき、とある青年が声をかけてきた。
「この学校の理事長が代わってから何もかもが変わったんだ」
「お前は…あのときの」
そこにいたのはアグルとイブが街の中で見かけた光龍波を放っていた青年だった。その青年はアグルとイブに自己紹介をした。
「俺の名はジンだ。龍神高校の生徒会長をしている。」
「俺の名はアグルだ。」
「私の名前は…」
イブが自己紹介をしようとしたとき、ジンは先に名前を言った。
「イブ…イブ・アグナだろ?」
「なんで私のことを?」
ジンはイブの質問に答えようとしたとき、闘技場で悲鳴が響き渡った
アグル達が闘技場を見ると、一人の少女が倒れていた。そして、何匹もの竜がその少女を囲んでいた。アグルがジンに聞いた。
「おい!この闘技場にはどうやって入るんだ!」
「入り口に書いてあったけど、一人ずつしか入れないんだ!」
「なら…その入り口をぶっ壊して入ればいいんだな」
「おい!そんなことが出来るわけないだろ!竜でも壊せないんだぞ!そんなものをどうやって壊すんだ!」
「簡単だよ!光龍波で壊すんだ!」
アグルはジンの制止の声を聞かずに入り口に走り出した
「アグルはバカなのか?」
「私はやってくれると思う…だって、剣たった一本でイノシシとか倒してたし」
「は?それってあの森の主をか?」
その頃、アグルは闘技場の入り口の前にいた。
「ここだな、おばさんにはやるなって言われてたけど…やらなきゃあの子が危ないんだ!やるしかない」
アグルは入り口に向かって光龍波を放った。その時、闘技場の竜が入り口に殺到していた。アグルはゆっくりと竜に近づいて放った。それは、たった一言であり、恐ろしい響きだった。
「・・・・・・」
周りには聞こえなかった…近くの竜全てには聞こえていた。その場にいたすべての竜がその場で倒れていた。中心にはアグルが立っていた。
イブとジンはその光景を見て唖然とした。
「アグルは…一体何をしたんだ。竜が倒れてる」
「今のは声で黙らせたの?…あんな強力なのみたことない…」
二人はアグルの正体がなんなのかわからなかった。わかったのは、アグルが二つの力を扱うことのできる異質な存在であることだった。