第一章
一人の少年がこの地【竜の住む丘】を駆け抜けていく。
「おばさーーん!」
「誰がおばさんだって?お姉さんだろ!アグル」
一人のお姉さん?が少年アグルの頭を殴る
「なにすんだよ!」
殴られた頭を
押さえながら涙目になってしまった。この程度で痛がってたら竜使いになんてなれないと、アグルは思った。
「アグル!あんた、ちゃんと中央都市【ドラン】に行く準備は出来た のかい?忘れ物しても届けられないんだからね」
「ふん、そんなのとっくに終わってるよ!まったく…」
ふてくされながらアグルは思った。もうすぐ自分も西龍神校に
入学するのだと
「ああ、早く行きたいなぁ」
荷物を点検してたおばさんが顔を上げた
「まったく…あそこはそんなに生半可なところじゃないからね?弱音 を吐いて帰ってくるんじゃないよ!」
「わかってるよ!すぐ子供扱いする…」
そんなことを言いながら顔はとても輝いていた
「それじゃ、行ってくる!ありがとな、おばさん」
「お姉さんだろ?まったく」
「はいはい、お・ね・え・さ・ん」
アグルはしっかり強調してお姉さんと呼んだ
「分かればいいんだよ!…いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
アグルは生まれ育った地を後にした。
~出会い~
深い森の中、アグルは走っていた。
「はぁ、はぁ、くそ!なんだよこいつ!」
アグルの後ろには巨大なイノシシがいた
何故そのイノシシに襲われてるかと言えば、隣の
こいつのせいだろう
「ごめんなさい、巻き込んでしまって…」
一人の少女がアグルに謝りながら走っている、どうやら
イノシシを刺激してしまったらしい。
「仕方ないよ!てかさ、このままじゃ追い付かれる」
「え?だってまだまだ距離があるよ?」
「お前なぁ、ずっとこのスピードを維持するのは無理だろ!
まったく…仕方ない!あいつには悪いがやるしかないな」
アグルは腰に吊るしていた片手剣を手に持ってイノシシに向かっていった。そして、その剣を
「すまないな」
謝りながらイノシシを斬った。その斬撃は少女にはほとんど見えなかった それほど恐るべきスピードだった
「ごめんな…お前に悪気は無かったのにな…」
「大丈夫?」
少女がアグルに向かって歩いてきた
「まったく、あまり無害の動物は殺したくないんだよ!」
「ごめんなさい」
「次からは気を付けろよ!…ところでお前の名前は?」
少女はきょとんとした後、慌てて名を名乗った
「イブ…イブ・ラグナ」
「ラグナ?どこかで聞いた名前だなぁ」
アグルが思い出そうとしたとき、少女イブが慌てて話を逸らした
「あ、あなたの名前も教えてください!」
「俺の名はアグルって言うんだ。よろしくな」
手を差し出すアグル、イブはその手を取って握手を交わした
「よろしくお願いします」
アグルはこの時、あることを思った
(可愛いなぁ…でも、何でこんなところに一人でいたんだ?)
二人は一緒に、森の奥の方へ歩いていった