1 不思議な空間
「なぁ魔王、何なんだ? このただ白い空間は。」
勇者が魔王に問う。
「う~ん、クリエイトフィールドっていう魔法だけど何もないね、大きな扉でも付ける?」
魔王が勇者に聞く。
「等価交換するのかよ、ティーセットとテーブルでも良さげだなここ。」
「じゃあ、両方付けるかな。」
魔王はそう言うと、白い空間にティーセットとテーブル、そして木の模様が描かれた巨大な扉を造り出した。
「こんなものかな、扉って外と繋げる? 誰か来るかも知れないし。」
「そうだな、洞窟の奥にでも繋げとくか。」
十年来の友人のように会話をしているが、この二人、お互いの名前も知らないのだ。
「そう言えば勇者君、キミ名前なんて言うの?」
「勇者と魔王で良くないか? こっちに来てから勇者としか呼ばれてなくてな、慣れないんだよ。」
「あー僕も魔王としか呼ばれてないなー」
そう言えば、と魔王が続ける。
「ここ、人が来るかも知れないでしょ、名前、何て言うか決めようよ。」
「う~む、ホワイトルームとかはあれだしなぁ、精●と時●部屋はダメだしなぁ.......」
「「う~ん」」
「絶対☆領域とかどう思う?」
「いいんじゃないかな、いいと思うぜじゃあここは絶対☆領域だな......ってんな訳あるかー! もっと真面目に考えろよ。」
「じゃあ、勇者と魔王の部屋とかは?」
「まぁそこら辺が妥当だな、玉ねぎみたいな髪型のおばさん出てきそうだけど。」
そんな話をしていると、扉を開けて誰かが入ってきた。
「勇者! 見つけたぞ、こんなところに居たのか!」
魔王 どちら様ですか?勇者君はぼっちのハズじゃあ。
勇者 否定出来ない......一体誰だ。