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失業ドラゴン〜リストラされました〜  作者: みなみ
Ⅰ 1人で生きるもん
5/16

4 変化しました

洞に戻ってきた僕は、魚を前に悩んでいた。


「これ、どうやって食べよう・・・」


野生のドラゴンとしては、生で食べるのが正解なんだろうけど・・・


「お腹壊しそうだよね・・・」


火炎で焼くのが良いんだろうけど、不器用な僕じゃ消し炭にしちゃう未来しか見えない。

勇者さま達は、野宿の時ってどうやって魚を料理してたっけ?

一生懸命思い出そうと頑張ったけど、僕は毎回、火炎を吐いて火を起こした後は、キャンプの近くで遊んでいたので、料理している姿を見ていない。

じゃあ、出された料理はどんな物だっただろう・・・

確か、木の枝に頭から串刺しにされていた。


・・・・・・絶望的だ。


僕は不器用なドラゴンだ。

魚を串刺しにするなんて、人間には簡単な事でも、僕には難しすぎる。


どうしよう・・・


僕がキッズドラゴンだったら、’’竜人化’’して串刺しなんて簡単に出来るのに・・・

山にいた同じ年頃のベビー達は、殆どが’’一部変化’’出来てたけど、僕はそれさえも出来ない。


僕たちドラゴンは、2つの形態を使い分けながら暮らしている。

’’ドラゴン形態’’ と’’竜人形態’’だ。

ベビーの頃から、仲間たちと遊びながら練習し、一部変化から覚えていく。

そして完全な’’竜人化’’が出来ると、’’キッズドラゴン’’になれるのだ。


「ちゃんと’’竜人化’’の練習しておけば良かった・・・」


勇者さまの仲間になってからは、全く練習をしていなかったので、僕は未だに’’一部変化’’すら出来ないままである。

何とか’’手’’だけでも変化できれば・・・


僕は勇者さま達の姿を思い出し、手を変化させる様に意識を集中した。


「ゔぅぅぅぅ〜」


目を閉じてイメージを膨らませなていく。

頭を撫でてもらった時の’’手’’の感触、道具を使っていた時の’’指’’の動き。

思い出したそれらを自分の手に変化するようイメージする。


「変わらないなぁ。」


なんども挑戦するが、やはり簡単には出来ない。

しかし!頑張って捕まえた魚を諦めることは出来ない!!

ここで諦めたら、’’餓死’’のフラグが立ってしまう!


僕は、日が暮れるまで’’一部変化’’に挑戦し続けた。


頑張った甲斐もあり、徐々に見慣れた手から少し歪だけど、’’人間の手’’に変化して来た。

もう料理ぐらいなら出来そうだけど、折角こんなに頑張ったんだから、どうせなら完璧を目指したい。

僕は更に集中力を高めて’’手’’の変化を進めてみた。


「やったぁ!!」


目の前には’’5歳くらいの子供の手’’に変化した自分の手が。

とうとう成功したのだ!


今までこんなに必死に練習した事ってなかったよなぁ。


変化した’’手’’を感慨深く見つめる。

もっと早くから頑張って練習しておけば良かったな。

’’自分には出来ない’’って決めつけて何もしなかった’’今までの自分’’が悔やまれる。


これからは毎日いっぱい練習して、早く’’竜人化’’出来るように頑張ろう!


決意を新たにした所で、本題の魚料理に取り掛かることにした。

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