一番好きなおもちゃ♥
ガチャ…。
一戸建て、階段を登った先にある玄関をあける。
大きいかて言われれば
かなりの大きさのある家。
ふぅー…、明日から休み入るんに
丁度いい発散できたわ。
機嫌よくかえってきた俺が
「あ?」
靴を脱いでいる時
いつもないはずの
無造作に置かれた一足の
靴が目にはいる。
────────ヤバい。
口角が自然と上がってしまう。
悠長にしていた動きを早め
すぐに靴を脱ぎすてリビングへとむかった。
リビングの扉をゆっくりと開き
のぞいた俺の視線は、テ-ブルより奥に
こっちに背をむけ立っている“その子”を捉えた。
「久々やんなぁ、咲夜?」
多分、今俺ニヤニヤしてるんやろなぁ。
だって、俺の一番のおもちゃが
俺の家におるんやもん。
しかも、目の前に………やで?
俺の声にビクッと肩を揺らし
ゆっくりとこっちを振り向く咲夜。
あぁー、かわええ。
さっきまでとは訳が違う、
テンションが上がり過ぎてヤバい。
でも、そんな俺のテンションは一気に下がる。
「……ッ…。あ…、あぁ。
せやな…久々……。
そ、それより…
あんたに電話きてんねん
出てやりや………。」
いつもの様にビクつく咲夜は
可愛くて良かったんやけど……、
誰や電話て。
テ-ブルより向こう。
そっと置かれた受話器を握る。
俺と咲夜の時間潰さんとってほしいわ。
苛々する
「はい?どちらさん?」
苛々をわかりやすく表にだし尋ねる。
「はぁ、お前か…。
何の用や?
さっきアホみたいな面した奴四人来てはったわ。」
受話器越しから聞こえた声に、
溜め息が出た。
『あ…えと…すいません…ッ…。
この間の…兄貴にバレ…ちゃって……
本当……す、…すいませんっ!!
ご、ごめんな……さい…。』
この電話越しで必死に謝ってるんが
中1で俺のおもちゃの吉田や。
さっきゆーてたやろ?
「良かったなぁ…。
俺とお前、中学違ぉーて。
それに、丁度今さっき…兄貴さん等が
お前の代わりになってくれたから
……………もうええよ?
帰ってきたらちゃーんと褒めてやってな」
「よう“逃げんでおれたな”ってな」
『ッ…………。』
そう伝え、電話を切る。
はぁ、折角の咲夜との時間が
台無しやん
ま、今からが楽しみなんやけどな?
隣のデカいテレビが置かれた部屋で
ソファ-にもたれかかり
何度も冷や汗とともに溜め息を吐く咲夜。
ホンマ、かわええ。
賀川 咲夜【カガワ サクヤ】
──────俺の従兄弟で、
俺が“一番好きなおもちゃ”や。