0. 初めての対面
はじめて対面したその青年は、まるで、檻の中で牙を隠す獣のように美しかった。
隷属の身に堕とされていた、と聞いていたけど。
思ったより身綺麗にされている。
よく手入れされた艶やかな海色の髪に、透き通るような白い肌。
こんな姿にされるのは、彼の意志ではない気がした。
「いかようにでもお使いください」
この人に言葉を教えた人間は、とことん従うことを、身に染み込ませたのだろう。
上流階級が使うなめらかな発音で、へりくだる物言いをさせて。
まるで奴隷というより執事のように。
「まずは何から致しましょう」
彼がにこりと涼やかな笑みを浮かべて問うてくる。
首筋にナイフを突きつけられているような気分になる。
この人にとって私は敵、搾取してくる方でしかない。
自由にさせればすぐに喉笛を噛みちぎられそうだし、おそらくできるほどの力を持っている。
正直、どうして彼と対峙することになったのか、リヴィアにもよくわかっていない。
彼がここにいるという情報がリヴィアの元に届いたのは、つい先ほどのことだった。
なぜ私がお世話係なのか、誰も説明してくれなかった。
ここに連れてきた大人たちに向けて、心の中で恨み言を送っておく。
笑顔の奥で、温度のない瞳がこちらを見る。
お腹を空かせた肉食魚と対峙しているみたいだと、リヴィアは思った。
きっと、あまり間違っていないだろう。




