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9 人手は集まった、頭数だけは

 ありがたい事に、ゴブリンの襲撃は無い。

 思ったよりも平穏な日々が続いている。

 見張りの報告でも、特に大きな動きは無いという。

 警戒は取り越し苦労か、と思ってしまう。

 だが、そんなわけがない。



 ゴブリンは確かにそこにいる。

 ならば、何かしらの動きを見せるはず。

 それは確実に村への襲撃になるだろう。

 怪物や魔物は人を襲うものなのだから。



 まして妖精たるゴブリン達の悪辣さは広く知られてる事である。

 人に怪我をおわせ、殺してしまう悪さを平気でやる。

 悪巫山戯を愉しんでやるのが妖精の妖精たる所以だ。

 何もしないわけがない。



 そんなゴブリンが相手なのだ。

 監視や注意をゆるめるわけにはいかない。



 そして、対抗できる戦力も出来るだけ揃えておきたい。

 その為にゲールは手の空いてる者に協力を求めていった。

 もっとも人手ギリギリの農村に手隙の人間がいるはずもないが。



 ただ、それでも何人かの人間がゲールの所にまわされてきた。

 ほんのわずかだが頭数が増えたのは嬉しい。

 しかし、素直に喜ぶわけにもいかない。

 人手が足りない中から捻り出された者達なのだ。

 まともなわけがない。



 いわゆる問題児。

 ゲールの所によこされたのはそんな連中だ。

 田畑の手伝いもろくにせず、目を盗んでは仕事を放り出す。

 そして娯楽代わりに暴れまわる。

 同じような不良同士で殴り合いに興じるような連中だ。

 もっとも、村の人間に手を出す程にはバカではない。

 農作業で鍛えた筋骨隆々の農民とぶつかるほどの度胸は無い。

 状況を見てのらりくらりと行動する。

 そういう意味でも問題児である。



 そんな連中がゲールの所にやってきた。

 厄介者をていよく押しつてる。

 ゲールもそんな背景をよく理解していた。

 というよりサイトが見抜いていた。

「やってくれますね」

 ウンザリした調子で説明を終えるサイトに、

「まったくだ」

 ゲールも同意見だった。



 とはいえ、ゲールもこれは予想していた。

 そう簡単に使える人間を寄越すわけがないと。

 貴族として民衆と接してるとこういう事がよくある。

 兵役ではない一般的な労働でも、人を徴用するとこうなる。

 使えないロクデナシが送り込まれてくると。

 だから対策もしっかり存在する。



「頼めるか?」

「まあ、なんとかしましょう」

 苦笑しながら従士の一人が応える。

「ただ、上手くいくか分かりませんが」

「かまわんよ」

 ゲールとて全てが上手くいくとは思ってない。

「出来るだけでいいからやってくれ」

「分かりました」



 そうしてゲールに応えた従士がロクデナシ共の前に出る。

 背丈はゲールよりもわずかに高く180センチを超える。

 体の厚みは倍以上。

 ゲールに付けられた従士の中では一番の力持ちだ。

 それがロクデナシ共の前に出て、

「おーい、集まれ」

 声をかける。



 当然、従わない連中がでてくる。

 何人かは言われた通りに男の前に出てくるが。

 そうでない奴等もいる。

 見るからに柄の悪そうな輩だ。

 ゲールを見て笑っている。

 嘲ってるのがよく分かる。



 そんな連中のところに向かい、



 ドスン!



 男は容赦なく拳を叩き込んでいった。

 嘲っていた連中全員を。

 その全てを一撃で膝をつかせる。

 重い衝撃を叩き込まれた連中は、そこから立ちあがる事が出来ない。



「集まれ」

 そういうと男は膝をついてる連中の頭を蹴り上げた。

 身動きがとれないほどの衝撃を受けてるのは分かってる。

 だが、容赦はしない。

 集まれと言って集まらなかった。

 それが悪いのだ。

 痛くて辛くて動けません、などという言い分けは聞かない。

「早く集まれ」

 動きだすまで、言われた所に集まるまで男は容赦なく拳や蹴りを叩き込んでいく。



 それを見たゲールと従士達は苦笑いを浮かべていく。

「いつもの事だけど」

「あれは勘弁してもらいたいですね」

 ゲールとサイトはここまで手荒く扱われた事はない。

 だが、こういう光景を何度も見てきた。

 その度に思うのだ。

 こうはなりたくないと。

「グロスデン、相変わらずだな」

「まったくです」

 男の名を口にしながら二人は苦笑する。

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