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8 増援は欲しいが期待できないこれだけの理由

 人を動かすには金がかかる。

 食料も必要だ。

 一時的な物になるだろうが、逗留する場所も用意しなくてはならない。

 武器防具の調達に修理、衣服その他の生活用品も。

 これらを即座に出せる程の余裕が領主達にあるかどうか。



 どうにもここが心許ない。

 自身が子爵家の末子であるゲールだから分かってしまう。

 貴族は見栄を張らねばならない。

 パーティを開き、着飾らねばならない。

 でないと侮られるからだ。

 そして、権謀術数の対象になる。

 分かりやすく言うとイジメという学校犯罪だ。



 あいつはチョロそう、そう思えば容赦なく暴虐を振るう。

 貴族とはそんな連中だ。

 このあたりは教養のない大衆と同じである。

 心魂において貴族と大衆に違いは無い。



 ただ、貴族には知識がある。

 教養がある。

 この教養を使って相手をいたぶる。

 それだけに厄介な奴等と言える。



 そんな貴族につけいる隙を見せないために、派手な装いをしなくてはならない。

「俺達にはこんな格好に金を注ぎ込む余裕があるんだぜ」と。

 無駄に費やすだけの蓄えがある、下手に手を出せば火傷じゃすまない。

 なぜなら、この貯えを使って、あんたらにたっぷる復讐出来るんだから。

 そう思わせねばならない。

 何とも馬鹿馬鹿しい事である。



 しかし、こんな事をしてれば、平時の備えが減る。

 普段から養っておかねばならない兵が。

 急な出兵に対応できるだけの蓄えが。

 これらを用意できないという事になる。

 まあ、平和な時代ならこれで良い。

 むしろ、貴族の反乱をおさえるために、王家は贅沢を推奨するだろう。

 それで破産したら、

「管理能力がない」

と非難するというおまけ付きで。



 だが、世界は怪物・魔物といった妖精の脅威にさらされている。

 これらが人を襲う野獣以上の脅威としてそこかしこに散らばっている。

 常在戦場とまでは言わないが、常に危機感を持たねばならない。

 それなのに、無駄な散財をしているのが貴族というものだ。



 そんなわけで貴族の懐具合というのは存外厳しい。

 実家の出納帳などからそのあたりをゲールは理解している。

 だから、増援が必要といっても、はいそうですかと領主や実家が応じるとは思えなかった。

 出すとしても小数になるだろうとも。

 それでも増援が来るならまだ良いが。



 仮に増援が来ようとも、それが何時になるのかという問題もある。

 常に兵士を抱えてるならともかく。

 実際には兵士の数はそう多くは無い。

 せいぜい自分の領地の警備をするくらいの人数しかない。

 増援が必要だからと、ならばすぐにとはならない。

 領地の警備に問題が出てしまう。



 それでも兵を出さねばならない時もある。

 緊急事態ならやむをえない。

 では、今回の出来事が早急に対応せねばならないかというと。

 そう受け取られない可能性の方が高いだろう。



 なにせ、今分かってるのはゴブリンの存在だけである。

 数は多いが、それほどの脅威では無い。

 せいぜい、村が一つ潰滅する程度。

 そこまでいかなくても、損害を受ける程度ととられるだろう。

 なら、それでいいんじゃないか、と考えるのが貴族である。

 村一つが損害をうけるだけなら、まあ許容範囲の損失だと。



 村を治める領主はたまったものではないだろう。

 だが、下々から遠く離れた地位の貴族や領主からすればその程度の問題でしかない。

 損害から回復するまで収穫は減るだろうが。

 それもさほど大きな問題では無い。



 なお、こうした損害をうけても年貢などの税率が下がるわけでもなく。

 例年通りの徴収が行われる。

 これもまた、通例である。



 だからこそ、怪物や魔物を見た農民などの大衆は危機感を持つ。

 もし田畑に損害を受けても、今まで通りの納税を求められるのだ。

 田畑が荒らされないよう励むしかない。

 また、働き手が怪我しないよう、死なないよう努めようともする。

 一人でも労働者が賭ければ、それだけ収穫が減るのだから。



 ゲールとしてはそんな負担をさせたくない。

 だから守りをかためていく。

 少しでも死人や怪我人が出ないように。

 また、増援も期待出来ないので、手持ちの戦力で戦えるようにせねばならない。



 となれば、小細工を増やしていくしかない。

 効果は疑わしいが、何も無いよりは良い。

 今すぐにでも襲ってくるかもしれないゴブリン。

 これらに対抗するには、やれる事をやるしかない。

 少しでも勝ち目を増やすために。

 ただ、どう頑張っても勝つのは難しい。

 せいぜい負けない戦をするしかない。



「さて、どうするか」

 今の自分たちに何が出来るのか?

 それを考え、ゴブリンに備えていく。

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