7 増援を待ちつつ守りを固める
報告書を書き上げ、村の警備にあたる。
ゴブリンの監視を出来るだけ増やし、出方をうかがう。
そんな日々をゲールは続けていた。
他にやりようが無かった。
本来、ゲールはゴブリン退治にやってきていた。
通例通りに10匹程度だったら、蹴散らして終わりになるはずだった。
しかし、実際には50匹ほども存在する。
如何に騎士とはいえ、数人の従士と共に片づけられる数を超えている。
故に増援を求めて報告書を出した。
その間に村が攻められた場合に備えながら。
この備えであるが、そんな大した事は出来ない。
簡素な防壁や障害物を置くくらいがせいぜいだ。
堅固な城塞など望むべくもない。
なので、小細工程度の足止めを幾つか用意するに留まる。
この足止めも、実際に動きを止めるものではない。
進軍を遅らせる程度のものだ。
具体的に言えば、通り道に凸凹になるように小さな穴を幾つも掘ったり。
草むらに草を結んだ足を引っかける仕掛けを作ったり。
あとは鳴子と連動する罠を作ったり。
足りない時間で出来るのはこの程度だ。
それでも無いよりは良い。
相手の動きが鈍れば、それだけ時間を稼げる。
また、鈍った所で攻撃を仕掛ければそれだけ有利に事を進められる。
凸凹になった道の上で右往左往してる所に弓で矢を射かけたり。
石を投げつけるのでも良い。
なんなら、槍などの長柄武器で遠くから仕留めても良い。
戦いやすい状況を作り出せればそれで良い。
戦果は増えて損害は減る。
仕掛けが見破られても良い。
相手がそれで警戒して足が鈍れば時間が稼げる。
致命傷を与えられなくても、行動が鈍ればとれる手は増えていく。
劣勢のゲールにとって、こういった余裕が少しでも欲しかった。
何故に時間が欲しいのか?
それは援軍が到着するまで保たせるためだ。
報告書は出した。
ゴブリンが予想以上に多い事も伝えた。
だが、兵が出されるかどうかは分からない。
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【よぎそーとのネグラ 】
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