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55 飛びだしてきた奴等との対決

 離脱したオーガ兵10匹。

 それらは快速号の足跡を追いかけていく。

 緩やかな山の斜面を登り、木々の間を進む。

 妖樹・妖花はないが、生い茂る植物が邪魔になる。

 それらを踏みつけながら進み、彼等は迎撃を受けた。



 最初は耳にうるさいざわめきだった。

 風が騒いでるのかと思ったが、それにしても音が大きい。

 すぐにそれが魔術やマジナイの類いだと察し、オーガ達は口々に警戒を周りの仲間に促した。

 だが、その声すらもろくに届かない。

 音による声の遮断が始まった。



 また、騒音と言える音は集中力を削っていく。

 意識の集中には雑音はかなり邪魔になる。

 オーガ達はそんな雑音に知らず知らず考えも行動も雑になっていく。

 本人の自覚もないままに。



 更にそんなオーガ兵を包むようにキラキラと瞬く光りがあらわれる。

 一つ二つではない。

 10匹のオーガ兵全体を包むように数多くがだ。

 一つ一つは豆電球程度にもならない小さなものだ。

 それがクリスマスツリーを飾る電球のように閃く。

 目が自然と光りに襲われ、視覚を奪っていく。

 意識の集中も更に削がれていく。



 いずれも隠れ里の祈祷師達が起こしたものだ。

 直接的な殺傷力はないが、相手の能力を低下させる。

 肉体能力に変化はないけども。

 意識や五感を低下させる。

 こうなると人間を超える運動能力も正しく発揮されない。

 オーガ兵は種族として持ってる優位性を失っていく。



 いずれもゲールの策だった。

 かつてゴブリンに仕掛けたものと同じ。

 一度に敵を殲滅出来ないなら、まずは本来の能力を発揮できないようにする。

 そうしてから一匹一匹確実に仕留めていく。

 それをオーガ相手に行っていく。



 そんなオーガ兵士を、まずは弓矢が襲っていく。

 ゲールとエドが放つ矢がオーガを襲う。

 風の加護を受けて威力を上げて。

 これで何匹かのオークが致命傷になった。



 特にエドの矢がすさまじい。

 狙いの正確さで急所を確実に貫いていく。

 鎧の覆ってない部分を狙う矢がオーガを確実に仕留めていった。

 ほぼ一撃でオーガ兵が死んでいく。



 とはいえ、加護も長続きしない。

 ゲールとエドで6発。

 これが限界だった。

 祈祷師達は風の雑音や瞬く光の方に力を割いてる。

 それ以上の支援はほぼ不可能。

 矢による遠距離攻撃の支援はこれで打ち止めになる。



 それでも、残ったオーガは4匹。

 ここまで減ればどうにかなる。

 ゲールは剣と盾に武器を持ち替えてオーガに突進する。

 槍をもつカイルが、武装した隠れ里の民が続く。



 ゲールは盾をかざしながら突進し、オーガ兵に近付く。

 そのオーガはゲールの接近に気付き、武器を振り上げた。

 だが、点滅する光に邪魔されて狙いが定まらない。

 ここだと思った所に重く長い金棒を振り落とすが。

 そこにゲールはいない。

 距離感が狂い、ゲールの手前に振り下ろしてしまった。



 そんな金棒を持つ腕にゲールは剣を振り下ろす。

 籠手と肩当ての間、剥き出しの上腕を狙う。

 刃は肉を切り裂いて血管に届く。

 切断された血管から、血が勢いよく吹き出した。

 生命力に優れたオーガなので、すぐには死なないが。

 致命傷になったのは間違いない。



 そんなオーガは、溢れ出る血を気にする事無く金棒を振り上げる。

 二度三度と金棒が振り回される。

 だが、そこで力尽きたのか、オーガは膝をついた。

 そのまま地面に倒れ、二度と動かなくなる。



 カイルは更に凄まじい。

 オーガの振り回す金棒を気にせず突進する。

 振り下ろされた金棒はカイルに当たろうとする。

 だが、その前に樹木に当たって動きを止めた。

 目をくらます光のせいで、そこに太い樹木が立ってる事に気がつかなかったのだ。

 おかげで体の正面ががら空きになり。

 兜に覆われてない顔面が見える。

 そこにある眉間にカイルは容赦なく穂先を突き刺した。

 骨すら突き破った槍がオーガの脳を貫く。



 それをすぐに引き抜いたカイルは、すぐ近くにいたオーガに向かう。

 そちらも光に目をやられてるのか、目くら滅法に金棒を振り回す。

 オーガの力で振り回されるそれは、本来ならば鎧ごと骨を粉砕する威力を持っていた。

 だが、今は周りの木々の枝や幹に当たってこうげきを阻まれている。

 おかげで隙だらけだ。



 そんな隙を逃さず、カイルは槍を繰り出す。

 今度はオーガの首元、胴体との境目にある急所を狙って。

 鋭く繰り出された槍は、ねらい通りにオーガの喉を突き破る。

 そこを貫かれたオーガは程なく絶命していった。



 更に隠れ里の者達も続く。

 10人ほどでオーガを取り囲んだ彼等は、手にした斧や山刀を叩き込んでいく。

 狙いも何もない、力任せに振り下ろすだけの攻撃。

 それでも、囲んで一斉に飛びかかれば凄まじい威力になる。

 振り下ろされる分厚い刃の多くは鎧に当たったが。

 幾つかは剥き出しになってる部分に当たる。

 顔が、腕が、太腿が肉片になっていく。

 これらを粉砕されたオーガは、この中で最も悲惨な最後を迎えた。



 追いかけてきたオーガは全滅した。

 他の敵は山火事の現場へと向かっている。

 避難が終わるまでの時間は稼げそうだった。

 ゲール達も少しずつ後退しながら脱出を試みる。



 ただ、その前に。

 死体を残すのも何なので、オーガ兵を肉食のカエルのいる水辺まで持っていった。

 すぐにカエルがやってきて、オーガ兵の死体を水に引き摺っていく。

 そして卵を植え付けた。

 死体はこうして隠滅された。



 そしてゲール達は最後に洞窟の中に入っていき。

 無事に脱出する事となる。



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 ファンティアにて新しい話を出してる。

 時代劇っぽい何か

 見本は活動報告にもあげてるので、そちらをまずは見てもらえれば


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