表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士ゲール・ホッドによる討伐伝 ~あるいは、一人の騎士が英雄になるまでのサーガ~  作者: よぎそーと
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/56

52 まずはオークを削っていく

 狩人のエドは用意されたそれを弓につがえる。

 一見、矢のように見えるそれ。

 だが、それは尾羽をつけた細長い棒。

 鏃のついてない、殺傷力無いものだ。

 その先端には、集めてもらったものが入った袋がくくりつけられている。

 それを番えて、矢を放つ。

 狙う場所は風に教えられてるので問題は無い。

 目で見えなくても届ける事が出来る。



 空に向かって放たれた袋つきの矢。

 それは進むに従い頭を下に向けていく。

 そして、遠く離れた場所にいた妖精の軍勢の向かっていく。



 そして、彼等の頭上で袋の結び目がほころび。

 中に詰まっていた花粉が飛び散る。

 それにあわせて、祈祷師によって風が動き、花粉が周囲に拡がる。

 そこにいたオークとオーガを包むように。



 それはオーガには特に効果をもたらさなかった。

 せいぜい、鼻がむずむずするというか痒いような感覚をおぼえた程度だ。

 だが、共にいたオークには絶大な効果をもたらした。

 拡がった花粉を吸い込んだすぐに、鼻を押さえて身をよじる事になる。



 隠れ里の民に集めてもらったものだ。

 刺激性の強い花粉で、まとめて吸ったらクシャミが止まらなくなる。

 少量なら鼻がむずむずする程度で済むのだが。

 鼻がきく者なら堪えられないものだとか。

 オークには効果的だろうとゲールは考えた。



 豚は鼻がきく。

 その豚と同じ頭をしてるオークも鼻がきく種族として知られている。

 そんなオークに刺激性の香りを振り掛けたらどうなるか。

 答えは今ここにある。

 鼻をおさえて身をよじり、地面に体を横たえて悶絶している。

 オーク部隊の多くがほぼ戦力にならなくなった。

 もっとも、集める事が出来た花粉の量はそれほど多くは無い。 

 せいぜい半分が戦力外になったというところ。

 まだ半分は残ってる。

 それでも戦わずして戦力を削ることが出来た。



 それらもいずれは回復するだろう。

 だが、今すぐではない。

 当面の間、あと数時間でもいい。

 その間身動きがとれなければ良い。

 住民の避難を完了させる事が出来る。



 そんなオークの中にゲールは突進していく。

 動けないオークを少しでも始末するために。

 被害をうけたオークを助けようとした者達を止めるために。

 救助のために動けば隙が出来る。

 そこを狙えば、損害を与えることが出来る。

 救助しようとしていた者達が手傷を負う。

 そうなれば、救助される側になる。



 そうなるよう願って攻撃を仕掛けていく。

 通りすがりに一太刀。

 離脱して戻ってまた一撃。

 敵の戦列に平行するように走りながら矢を射かけ。

 様々な形で敵に攻撃を仕掛ける。



 損害自体は大した事はない。

 だが、攻撃を受けてる者達は対処におわれる。

 そうなれば進軍は滞る。

 敵の動きを止めるという目的をゲールは達成している。

 それだけで十分だった。



 ただ、敵も無策ではない。

 離れた所に居るなら、石を投げたり弓で矢を放つ。

 それらのほとんどは木々に阻まれてゲールに当たらないが。

 それでも反撃はしていく。



 また、魔術兵も迎撃を始める。

 魔力の塊を矢として放ち、ゲールを倒そうとする。

 しかし、魔力の矢が届く前にゲールは効果範囲から離脱する。

 放てば必ず当たるという魔力の矢。

 しかし、射程距離は20メートルほど。

 それ以上の距離まで魔力が形を保てないのだ。

 これは魔術師の持つ魔力の強さによっても変わってくるが。

 この場にいる魔術兵はおおむねこれくらいしか届かない。

 そして、ゲールはこの距離の外にすぐに飛び出してしまう。



 反撃らしい反撃も出来ず、妖精の軍勢は一方的に攻撃されていく。

 やむなくオーガ指揮官は決断を下す。

「負傷者とオークは下がらせろ」

 傷を受けた者と鼻を潰されたオーク。

 これらを撤退させる。

 また、これらの搬送にまだ動けるオークをあてる。

 これらの鼻が潰されれば、更に被害が拡大する。

 そうなるくらいなら、怪我人などの付き添いに使った方がまだマシである。



 こうして敵部隊は主力の半分を失う。

 残ったのはオーガ兵と人間魔術兵の部隊だけ。

 まだ100人ほどはいるが、それでも戦力は大幅に減ってしまった。

「やってくれる」

 いらだたしげにオーガ指揮官は敵を詰った。

 だが、同時に評価もしていた。

 敵はバカでは無いと。

「厄介な事になった」

「まさしく」

 隣に控えるオーガ司祭も頷いた。



気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


 ファンティアにて新しい話を出してる。

 時代劇っぽい何か

 見本は活動報告にもあげてるので、そちらをまずは見てもらえれば


 ↓


時代劇風味のお話「 一子相伝 」の販売開始、および見本

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/719397/blogkey/3344443/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/fanclubs/478732


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ