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51 オークとオーガの軍勢への突撃

 ゲール達に脅威を与えるオークとオーガの軍勢。

 彼等はその体力でもって山肌を進んでいく。

 慣れない山道は彼等にとっても厳しいが。

 そうは思わせないほどの速度で登っていく。



 とはいえ、彼等も楽が出来てるわけではない。

 やはり消耗は激しい。

 どうしても休憩を挟まねばならなくなる。

 おかげで進みはどうしても遅くなる。



 だが、それなれそれでと考えもする。

 この休憩を利用して偵察・物見を出していく。

 周囲に何が潜んでるのか分からないからだ。

 どうしても様子をさぐる必要が出てくる。



 なら、休んでる間にやれば良い。

 その偵察に出す事で、疲れてるものに余計な披露をかける事になるが。

 交代でこまめに何組か出す事で幾らか解決する。

 一度偵察に出た者は、その後に幾らかの休憩をとる。

 その休憩の間に別の者が偵察に出る。

 こうしてなんとか全体に休みを取らせながら先へと進む。



 指揮官は用心という言葉をしっかりと身につけてる。

 蛮勇と勇気を間違えたりはしない。

 はっきりと存在する敵を見据えて慎重になり。

 決して無理はしなかった。



 なにせ地の利は敵にある。

 どこでどのように仕掛けてくるか分からない。

 用心をするのは当たり前だ。



 それでも簡単に負けるとも思っていない。

 オーガ指揮官の率いる部隊もそれなりのものだ。

 80匹のオーク2個小隊。

 70匹のオーガ2個小隊。

 30人の人間魔術兵2個小隊。

 指揮官周辺を合わせれば合計200になる部隊だ。

 同等の軍勢でも無ければ蹴散らされる事はない。

 そう考えてもいた。



 間違ってはいない。

 これだけの戦力であれば2倍3倍の数の人間の軍勢とも渡り合える。

 オークとオーガはそれだけ強力な戦士だ。

 人間の魔術兵30人も大きな戦力である。

 これが効果的に戦えば、人数以上の戦闘力を発揮する。



 だからといって油断は出来ないが。

 さすがに全滅はありえないと思っていた。



 油断とは言えないだろう。

 実際、これだけの数を相手に出来る軍勢はそうはいない。

 ハーピーや巨大虫を全滅させて。

 ゴブリンを消滅させた敵である。

 侮る事は出来ない。

 それでも自分たちは強力な戦力であるという自負が、いささか警戒を緩めていたのかもしれない。



 その隙をつくかのように、軍勢の中に切り込む者がいた。

 長く伸びた列を横に断ち切るように。

 木々の間から出て来たそれに対応が遅れた。

「敵襲!」

 かろうじて上がったその声が、周囲に戦闘態勢をとらせていく。



 ゲールは単身で突撃をかけていった。

 馬の機動力で敵を横切り、出会い頭に切りつける。

 そのまま通り過ぎて敵列から離れる。

 仕留めたかどうかは確認できない。

 そんな暇は無い。



 これを受けてオークやオーガも警戒を強めていく。

 武器を手に、盾を構えて次に供える。

 だが、ゲールはあえてそのまま森の中に姿を隠す。

 連続して何度も仕掛ければ、どうしても敵に構えをとらせる。

 そうなればゲールの突撃も失敗するようになる。

 今、そんなわけにはいかなかった。



 それに、目的は敵を倒す事ではない。

 敵を警戒させる事。

 緊張を強いて不安を大きくする。

 いつ襲ってくるか分からない敵に意識を集中させる。

 そうして精神的な疲弊を誘う。



 そうしてればいずれ気分が滅入る。

 本来の力が出せなくなる。

 それを狙っていく。



 同時に、敵の足を鈍らせる。

 警戒してれば進行は遅くなる。

 そうれなれば時間が稼げる。

 ほんのわずかであっても、今はこの時間が欲しい。



 そして、敵に警戒を続けさせるために突撃を繰り返す。

 間を置いて、時間をかけて。

 すぐには攻撃をせず。

 敵が幾らか進んだ所でまた突撃を行う。

 そうしてから、今度は連続で突撃を行う。

 間を開けてくるものと思ってる敵の不意を突くように。



 突撃だけではない。

 手にした弓で矢を射かける。

 事前に頼んでおいた風の加護のおかげで、矢は通常よりも速く飛ぶ。

 その速度は威力になって敵を襲う。

 鎧で覆われていても、分厚い筋肉があっても。

 ゲールの矢はオークやオーガを貫いた。



 もとよりゲールは鎧のない部分を狙う。

 兜がおおわない顔面や。

 籠手がおおわない上腕部分。

 鎧が守らない太腿部分。

 こういった所に射かけていく。

 そこに当たった敵は、盛大に肉と骨を吹き飛ばされていった。

 頭は破裂し、手足は命中したところから千切れた。



 もっとも風の加護はそう長くは続かない。

 一度使えば、数発射かけたところで終わる。

 それでも敵に与える心理的な効果は絶大だった。

 進軍はより遅れる。

 森に消えていくゲールを怖れて。



 敵も対策はとる。

 魔術兵による探知の魔術で周辺を警戒する。

 しかし、魔術を継続的に使い続ける事は難しい。

 消耗が大きいのだ。

 それに効果範囲にも限界がある。

 魔術兵を中心にした直径数十メートルの範囲。

 これが潜んでる存在を見つけられる限界だ。

 馬ならば瞬時に駆け抜ける事が出来る。

 そして、遠く離れてすぐに探知範囲から脱出する。



 ろくな対応がとれないまま、オークとオーガは損害を出していく。

 全体からすれば小さなものだが、無視できるわけがない。

 対処できない敵に仲間がやられてるのだ。

 次は自分かも知れないと思うのが人情である。

 それでも勇気を失う事はなかったが。

 いつ襲ってくるか分からない敵に、妖精達の軍勢は神経をはりつめていった。



 それを見てゲールは次の攻撃に移る。

 敵は一撃離脱を続けるゲールに注意をはらってる。

 他の可能性に意識が向かなくなってる。

 そこをついて、ゲールは攻撃の第二弾を放つ。



「今だ、やれ」

 風にのった声は、離れた所にいる仲間に届く。

 それを聞いたエドは、用意されたものを矢にくくりつけて射かけていった。



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 時代劇っぽい何か

 見本は活動報告にもあげてるので、そちらをまずは見てもらえれば


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